【完結】ヒーローとヒロインの為に殺される脇役令嬢ですが、その運命変えさせて頂きます!

Rohdea

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34. (ヒロイン視点)



  ───有り得ない!!

  イッフェンバルド男爵家から逃げ帰りながら、私はさっきまでの事を振り返っていた。

  (有り得ない……有り得ない、有り得ない!!)

  あれは何なの?  私は何を見せられた? 
  私の未来の夫ヒーローが、私の目の前で死ぬだけの女とラブシーンを繰り広げていた。

  ──手や口でたくさん触れてくるんですよ……

  何てバカな事を言う女だろうと思ったのに。妄想かしら、えっ、頭大丈夫?  ってね。
  ……なのに!  
  ヒーローと来たら、本当に手であの女のほっぺたをフニッとしたと思ったら、その後、口でも……

  (っって!  あれ、単なるキスじゃないの!!)

  思い出すだけでもムカムカしてくる。
  あの二人は私の目の前で何度も何度もキスをしやがった!

「ヒーローのする初めてのキスの相手はヒロインよ、私であるはずなのに……どうしてこんな事になったのよ……!」

  全部、脇役あの女に取られた……
  信じられない。こんな事があっていいはずが無い。

  (きっと、あの脇役女がヒーローを誑かした!  それで、女慣れしていないヒーローはコロっと騙されたんだ……!)

  地味で平凡で大人しそうな顔をしてるくせに!  生意気!
  しかも、大人しそうなフリをして最後は本性を見せて散々私をバカにしたような事を言ってきたわ。この私に向かって何様のつもりよ!  

  (たかが、男爵令嬢のくせに……私は未来の侯爵夫人なのよ!?)

「あー……もう!  本っ当に邪魔……」

  一日も早く、ヒーローの目を覚まさせないと!  大変な事になっちゃう。
  私の男を横から奪おうとしたあの脇役にはさっさと退場願わないといけない。

「だって……私とヒーローはもう出会ったわけだし?  ……つまり、もうあの女に用は無い」

  私への印象は良くなさそうだったけど、それは小説でも同じ。だから、それは脇役女がいなくなればこれから挽回出来るはず。
  もう、あの女は生きていても意味が無い……私のハッピーエンドの邪魔なだけだもの。
  だから、半年後にあのへっぽこ男に殺される時を待っててもしょうがない。
  むしろ、あの女に騙され操られているヒーローがどんどんその気になって、二人がキスだけでなく、それ以上……もしもよ?  最後まで致したりでもしたら……

  (そんなの、ゆ・る・せ・な・い~~!!)

「でも、あの女さえ消えれば、ヒーローは私を見てくれる……」

  あの女へ感じていた気持ちは騙されていたもので錯覚だった……本当は君の事が……そう泣きついて来るでしょうね。
  仕方が無いから私は寛大な心で許してあげなくちゃ。
  そんな私の優しさにきっとヒーローは心打たれ……

「うふふふふ。だって私は優しい優しいヒロインだからね!」



  ───だから、脇役令嬢ソフィアはもういらない。




*****



「あなたが失敗したからでしょう?」
「なっ、何だと!?」
「ちょうど良かったわ。私もその事についてあなたと話したいと思っていたの」

  (本当にうるさい男ね……)

  私の前で、大きな失態をしでかしたへっぽこ男が喚いていた。

  今後について……あの目障りな女を早々に始末するに当たって、へっぽこ男に会うしかないと思っていたら、次の出勤日にお店に伝言が届いていた。

  (へぇ。これはちょうどいいタイミング)

  ちなみに、お店の方は私が勝手に茶葉を持ち出してあの女の家に押しかけた事はまだ、バレていない様子。

  (男爵家からは抗議の連絡が入っていないのかしら?  捕まるなんて冗談じゃないもの。助かったわ~)

  でも、そのうち在庫のチェックされたらバレそうなので、その前にこの店を辞めてしまおうとは思っている。
  へっぽこ男とは店を通して連絡していたから今、こうして連絡が来たのはタイミング的にも丁度良かったわ。辞めたら連絡つかなくなる所だったしね。

  そう思って私はへっぽこ男の元へと向かった───

  へっぽこ男と会う時の私は、フードを目深に被り顔を見せない。
  本当は、この可愛い顔を見せて誘惑して事を進めた方が楽だったけど、万が一惚れられても困るし、後々、侯爵夫人になる私だから顔は見せない方向性にしていた。

  そんなへっぽこ男は自分が失敗したくせに「何一つ上手くいかないじゃないか!  どうしてくれるんだ!」と開口一番私に怒鳴ってきた。

  (飲ませる毒を間違えたのはそっちでしょ!)

「俺は婚約者になれていないし、ソフィアはかなり警戒していてもう毒なんて飲ませられる雰囲気じゃない。それに、ソフィアの婚約者を名乗ってる男がいて、ソフィアに接触しようにも何度も邪魔をしてくるんだ……!  くそっ、ロディオの奴……」
「……知ってるわ。私もその事をあなたに聞きたかったのよ」

  何でこんなにシナリオが狂ってしまったのよ。
  
「あなた、まさか毒を飲ませた犯人だと疑われたりしてないわよね?  だから、婚約者になれなかったとかいう事ではなくて?」
「疑われるはずないだろ!  予定とは違う方だったがちゃんと俺だって毒を飲んで倒れた被害者になったんだぞ!?」
「なら、何故?」
「そんなの俺が知りたい!」

  はぁ……へっぽこ男からは、大した情報を得られそうに無いわねぇ……

  (しょせん、へっぽこはへっぽこよね。小説内でもこの男はへっぽこだったし)

  まぁ、このへっぽこ男のおかげで私とヒーローは出会う事になって、仲も深まるキッカケにもなる。この人、小説内でも色々ミスってたから。

  (犯人がこの男だと知った時のヒーローはかなり苦悩する。そこを私が励まして慰めるという大事なお役目。私達の仲が深まる大事なイベント……逃すわけにはいかない)

  だから、このへっぽこ男には何としても脇役女を殺す犯人になってもらわないと!

  (もう、毒殺でなくても構わない)

「ねぇ、もうその女、殺しちゃいましょうよ」
「は?」
「あなた、さっき疑われてないと口にしたけれど、私にはそうは思えない」
「何だと?」
「“あなたみたいな素敵な人”からの婚約を断るんだもの。理由はそれくらいしか考えられないわ」
「!」

  へっぽこ男って、単純よね~
  素敵な人って言ったら目が輝いたわ。やだ、もう!  内心笑いが止まらない!

「あなたの“計画”なら、他の女に変えればいいと思うのよ。他にも条件揃ってる人が居るでしょう?  だから、もうあの女に固執する必要は無いんじゃないかしら?」
「……それ、は」
「でも、あの女にこのまま生きていられて、万が一、あなたに殺されそうになった事があるだなんて告発でもされたら大変でしょう?」
「……!」
「それに、このままではあの女、婚約している男性と結婚してしまうかも……あなたが欲しかった物はその人に取られちゃうわよ」

  (それは嫌でしょ?  あなたはヒーローをかなりライバル視しているもの)

「……」
「だったら、もうどんな方法でも良いから消すしかないと思わない?」

  私はフードの下でニッコリと微笑んでそう告げた。

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