【完結】その溺愛は聞いてない! ~やり直しの二度目の人生は悪役令嬢なんてごめんです~

Rohdea

文字の大きさ
25 / 45

対決②



  手を伸ばしたミリアンヌさんは、そうして私を階段から突き落とそうとしたけれど──……

「っ!」
「は?  え?  ちょっと何で?」

  ミリアンヌさんは驚いて言葉を失っている。

  (危なっ……)

  どうして驚くのかしら?
  あんな分かりやすく示唆されていたのだから、ミリアンヌさんがこの後私に何をしようとしているかなんて考えなくても分かるのに。

  私だってあっさり突き落とされるつもりなんてあるはずが無い。
  だから私はミリアンヌさんに対して怒鳴りながら、じりじりと壁際に移動してさり気なくずっと手すりを掴んでいた。
  ミリアンヌさんは興奮して全く気付いていなかったようだけれど。

  おかげで無事に突き落とされる事もなく、どうにかその場に踏み止まっていられた。

  (と言っても、もう少し力を込められていたら落ちていたかも……)

「もーーう!  何してるのよ!!  悪役令嬢はここで落ちて物語から退場するのが筋でしょう?  本当に滅茶苦茶よ!  何してくれてるの!?  どこまでもどこまでも私の邪魔ばっかりしてぇーー!」

  逆上したミリアンヌさんが、もう一度、私を突き落とそうとさっきよりも力を込めて腕を振り上げた時だった。

「いい加減にしろ!  そこまでだ」
「きゃっ……何?」

  そう言って現れたその人…………フォレックス様はミリアンヌさんの腕を掴んで止めた。

「ミリアンヌ嬢……いや、ミリアンヌ!  全部、聞かせてもらった」
「え?  や、何でフォレックス様が、ここに……?」

  腕を掴まれたミリアンヌさんは暴れるけれどフォレックス様は離さない。

  (……フォレックス様が……来てくれた?)

  これだけ騒げば誰かしらは来るかもとは思ったけれど、まさかフォレックス様が来てくれるなんて。
  偶然でも何でも今この場に駆け付けてくれて助けてくれた。
  そう思うと何だか凄くホッとした。
  
「お前はこのまま事情聴取の続きだ。だが、取り調べの内容は変わるぞ……リーツェ・ミゼット公爵令嬢に対する殺人未遂容疑となる!」
「さ、殺人未遂!?  やめてよ、嘘!  冗談でしょ!?」

  ミリアンヌさんがギョッと大きく目を見開き暴れる。

「大人しくしろ!  それから何を驚く必要がある?  さっき、お前が自分で言っただろう?  階段から突き落とした実行犯でなくても殺人未遂で死刑に出来るとな。まぁ、お前は正に実行犯だが」
「……っ!」

  フォレックス様のその言葉にミリアンヌさんの顔が青くなった。
  自分で口にした事が返ってきた形だ。

「さて、ミリアンヌ。俺も含めて目撃者が多数いるこの状態で言い逃れ出来ると思うなよ?   お前のした事は明らかにリーツェへの殺人未遂だった!   連れて行け!」
「え、やだ……ちょっと、違っ……離しなさいよ……何でよー!?  こうなるのは悪役令嬢の役目よーー私じゃないぃぃ」

  フォレックス様のその言葉で王宮の警備の者達が叫ぶミリアンヌさんを連行して行く。
  “やっと見つけたぞ”“よくも逃げやがって”
  彼らの口からそんな言葉が聞こえたので、ミリアンヌさんはあの香りを使って監視の目を潜り抜けて姿を晦ましていたのかもしれない。

「……」

  未だに何かを喚きつつ連行されて行くミリアンヌさんを見ながら力が抜けた私はヘナヘナとその場に座り込む。

「リーツェ、大丈夫か?  遅くなってすまない」
「フォレックス様……あ、ありがとうございます……」

  完全に腰が抜けて立てそうにない。

「……」

  それにしても、フォレックス様にはどこから話が聞こえていたのかしら?
  殺人未遂の話もしていたから……あぁ、私のフォレックス様への気持ちを叫んでいた所も聞かれていたのかもしれない。

  (なんて事!  ちゃんと告白したかったのに!)

  いえ!  でも、これから……しっかり伝えれば!

  そんな事を考えながら、フォレックス様の差し伸べてくれた手に自分の手を重ねようと手を伸ばした時、


   ────ズキンッ!


「ゔっ……」
「リーツェ!?」

  突然、今までに無いくらいに酷く頭が痛んだ。
  私はフォレックス様の手を掴めず自分の頭を抱える。

  ズキン、ズキン、ズキン……

  そして、その痛みはどんどん酷くなっていく。
  とにかく頭が割れそうに痛い。
  いつもの頭痛なんて比じゃない!

  ズキン、ズキン、ズキン……

  (あ……これ、無理……意識が……)

「リーツェ!!」

  私の名を叫ぶフォレックス様の声を聞きながら私の意識はどんどん遠のいていく。


  そして、遠のいていく意識の中で、プツンと何かが切れる音がしたような気がした。

感想 182

あなたにおすすめの小説

【完結】モブの王太子殿下に愛されてる転生悪役令嬢は、国外追放される運命のはずでした

Rohdea
恋愛
公爵令嬢であるスフィアは、8歳の時に王子兄弟と会った事で前世を思い出した。 同時に、今、生きているこの世界は前世で読んだ小説の世界なのだと気付く。 さらに自分はヒーロー(第二王子)とヒロインが結ばれる為に、 婚約破棄されて国外追放となる運命の悪役令嬢だった…… とりあえず、王家と距離を置きヒーロー(第二王子)との婚約から逃げる事にしたスフィア。 それから数年後、そろそろ逃げるのに限界を迎えつつあったスフィアの前に現れたのは、 婚約者となるはずのヒーロー(第二王子)ではなく…… ※ 『記憶喪失になってから、あなたの本当の気持ちを知りました』 に出てくる主人公の友人の話です。 そちらを読んでいなくても問題ありません。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

氷の宰相補佐と押しつけられた厄災の花嫁

瑞原唯子
恋愛
王命により、アイザックはまだ十歳の少女を妻として娶ることになった。 彼女は生後まもなく始末されたはずの『厄災の姫』である。最近になって生存が判明したが、いまさら王家に迎え入れることも始末することもできない——悩んだ末、国王は序列一位のシェフィールド公爵家に押しつけたのだ。

夫婦戦争勃発5秒前! ~借金返済の代わりに女嫌いなオネエと政略結婚させられました!~

麻竹
恋愛
※タイトル変更しました。 夫「おブスは消えなさい。」 妻「ああそうですか、ならば戦争ですわね!!」 借金返済の肩代わりをする代わりに政略結婚の条件を出してきた侯爵家。いざ嫁いでみると夫になる人から「おブスは消えなさい!」と言われたので、夫婦戦争勃発させてみました。

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

逆行した悪女は婚約破棄を待ち望む~他の令嬢に夢中だったはずの婚約者の距離感がおかしいのですか!?

魚谷
恋愛
目が覚めると公爵令嬢オリヴィエは学生時代に逆行していた。 彼女は婚約者である王太子カリストに近づく伯爵令嬢ミリエルを妬み、毒殺を図るも失敗。 国外追放の系に処された。 そこで老商人に拾われ、世界中を見て回り、いかにそれまで自分の世界が狭かったのかを痛感する。 新しい人生がこのまま謳歌しようと思いきや、偶然滞在していた某国の動乱に巻き込まれて命を落としてしまう。 しかし次の瞬間、まるで夢から目覚めるように、オリヴィエは5年前──ミリエルの毒殺を図った学生時代まで時を遡っていた。 夢ではないことを確信したオリヴィエはやり直しを決意する。 ミリエルはもちろん、王太子カリストとも距離を取り、静かに生きる。 そして学校を卒業したら大陸中を巡る! そう胸に誓ったのも束の間、次々と押し寄せる問題に回帰前に習得した知識で対応していたら、 鬼のように恐ろしかったはずの王妃に気に入られ、回帰前はオリヴィエを疎ましく思っていたはずのカリストが少しずつ距離をつめてきて……? 「君を愛している」 一体なにがどうなってるの!?

悪役令嬢のはずですが、年上王子が幼い頃から私を甘やかす気でいました

ria_alphapolis
恋愛
私は、悪役令嬢なのかもしれない。 王子の婚約者としては少し我儘で、周囲からは気が強いと思われている―― そんな自分に気づいた日から、私は“断罪される未来”を恐れるようになった。 婚約者である年上の王子は、今日も変わらず優しい。 けれどその優しさが、義務なのか、同情なのか、私にはわからない。 距離を取ろうとする私と、何も言わずに見守る王子。 両思いなのに、想いはすれ違っていく。 けれど彼は知っている。 五歳下の婚約者が「我儘だ」と言われていた幼い頃から、 そのすべてが可愛くて仕方なかったことを。 ――我儘でいい。 そう決めたのは、ずっと昔のことだった。 悪役令嬢だと勘違いしている少女と、 溺愛を隠し続ける年上王子の、すれ違い恋愛ファンタジー。 ※溺愛保証/王子視点あり/幼少期エピソードあり

【完結】愛する人が出来たと婚約破棄したくせに、やっぱり側妃になれ! と求められましたので。

Rohdea
恋愛
王太子でもあるエイダンの婚約者として長年過ごして来た公爵令嬢のフレイヤ。 未来の王となる彼に相応しくあろうと、厳しい教育にも耐え、 身分も教養も魔力も全てが未来の王妃に相応しい…… と誰もが納得するまでに成長した。 だけど─── 「私が愛しているのは、君ではない! ベリンダだ!」 なんと、待っていたのは公衆の面前での婚約破棄宣言。 それなのに…… エイダン様が正妃にしたい愛する彼女は、 身分が低くて魔力も少なく色々頼りない事から反発が凄いので私に側妃になれ……ですと? え? 私のこと舐めてるの? 馬鹿にしてます? キレたフレイヤが選んだ道は─── ※2023.5.28~番外編の更新、開始しています。 ですが(諸事情により)不定期での更新となっています。 番外編③デート編もありますので次の更新をお待ちくださいませ。