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第一部:第一章 夢への第一歩
(一)夢への入り口③
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騎士学校に入学すれば、二年間の学生生活を送ることになる。
その間は全員に入寮が義務付けられており、寮では食事が無償で提供されることになっていた。住居と食事が与えられる、つまりは生活が保障されることを意味しており、食扶持欲しさに生活困窮者が受験する事も少なくない。
国庫からそうした資金が捻出される以上、選定基準が厳しくなるのは当然と言える。昨年が三百名弱、その前の年が二百五十名程度と幅が出るのも致し方ない。
受験資格は、このヴァストール王国内に生活拠点がある十四才以上かつ十八才未満の者、というもので縛りが少ない。国内の良い人材を貴賎を問わずに集めたい、という意図が良く分かる。
受験者が教室を埋め尽くす頃、ようやく試験官が入室してきた。
試験官は、すぐに受験者達に着席を促すと、全員に試験用紙とペンを配布する。
筆記試験は一般常識から危機管理、果ては戦術論と、受験者達の頭を悩ませるには十分な問題が出題された。
この国の識字率が高いとはいえ、教育が行き届いている訳ではない。一般常識はともかく、歴史や語学、算術などは貴族階級でもなければ学ぶ機会は少ない。
それとは異なり、危機管理や戦術論などは習うものではなく、個人の才覚に拠る所が大きい。
多種の解があり、正解は有って無いようなものである。良い回答を期待し、素養を見る為のものなのだろう。要は「考えられる頭」を持っているかを試しているのである。
受験生たちには、その思惑は分からないだろうが、良い答えを出そうと、問題に頭を悩ませ苦しんだ。
ラーソルバールも例外ではない。
楽しみつつも大いに頭を悩ませ、ペンを走らせた。ラーソルバールが頭をかきむしること何度目か、外から鐘の音が聞こえてきた。
「終了の刻限である。記入をやめたまえ」
その声とともに、ラーソルバールもシェラも机に突っ伏した。
前に座っているラーソルバールが、自分と同じ格好をしているのを見て、シェラは思わず吹き出した。
笑われている事に気付いたラーソルバールは、試験用紙を試験官に差し出しつつ、振り返った。その顔を見たシェラは、思わず声を出して笑ってしまった。
「あはははは! お、おでこ……」
突っ伏した時にペンが触れたのだろう。ラーソルバールの額には黒い線が入っていた。
事情が飲み込めないラーソルバールは苦笑するしかなかった。
その間は全員に入寮が義務付けられており、寮では食事が無償で提供されることになっていた。住居と食事が与えられる、つまりは生活が保障されることを意味しており、食扶持欲しさに生活困窮者が受験する事も少なくない。
国庫からそうした資金が捻出される以上、選定基準が厳しくなるのは当然と言える。昨年が三百名弱、その前の年が二百五十名程度と幅が出るのも致し方ない。
受験資格は、このヴァストール王国内に生活拠点がある十四才以上かつ十八才未満の者、というもので縛りが少ない。国内の良い人材を貴賎を問わずに集めたい、という意図が良く分かる。
受験者が教室を埋め尽くす頃、ようやく試験官が入室してきた。
試験官は、すぐに受験者達に着席を促すと、全員に試験用紙とペンを配布する。
筆記試験は一般常識から危機管理、果ては戦術論と、受験者達の頭を悩ませるには十分な問題が出題された。
この国の識字率が高いとはいえ、教育が行き届いている訳ではない。一般常識はともかく、歴史や語学、算術などは貴族階級でもなければ学ぶ機会は少ない。
それとは異なり、危機管理や戦術論などは習うものではなく、個人の才覚に拠る所が大きい。
多種の解があり、正解は有って無いようなものである。良い回答を期待し、素養を見る為のものなのだろう。要は「考えられる頭」を持っているかを試しているのである。
受験生たちには、その思惑は分からないだろうが、良い答えを出そうと、問題に頭を悩ませ苦しんだ。
ラーソルバールも例外ではない。
楽しみつつも大いに頭を悩ませ、ペンを走らせた。ラーソルバールが頭をかきむしること何度目か、外から鐘の音が聞こえてきた。
「終了の刻限である。記入をやめたまえ」
その声とともに、ラーソルバールもシェラも机に突っ伏した。
前に座っているラーソルバールが、自分と同じ格好をしているのを見て、シェラは思わず吹き出した。
笑われている事に気付いたラーソルバールは、試験用紙を試験官に差し出しつつ、振り返った。その顔を見たシェラは、思わず声を出して笑ってしまった。
「あはははは! お、おでこ……」
突っ伏した時にペンが触れたのだろう。ラーソルバールの額には黒い線が入っていた。
事情が飲み込めないラーソルバールは苦笑するしかなかった。
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