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第一部:第七章 部隊演習
(三)遅ればせながら③
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慌てて監督官として同行していた騎士の元に走ると、即座に協議を始めた。何事か理解できない生徒達はそのまま待たされる形となり、しばらくしてからラーソルバールが呼び寄せられた。
王都脇の騎士団演習場に、怪物が棲み着いた可能性があり、それがオーガかもしれないと言われた訳だから、慌てるのは当然といえる。
ラーソルバールは大体の位置を地図で指し示すと、その様子を正確に説明した。
最後に騎士団員に名前を聞かれて答えたところ、微妙な反応が返ってきた。ラーソルバールが首を傾げると、少し思案する様子を見せた後で若い騎士が口を開いた。
「君がミルエルシか」
「何か……?」
「いや、噂とは違うと思ってな」
ラーソルバールは首を傾げた。
何の事だろうか。
「噂……ですか?」
「ランドルフ団長と戦った、恐ろしい娘が居ると」
「はぁ……」
「恐ろしい姿形をしているのかと思っていた。可愛い娘じゃないか」
騎士はオーガの事を忘れたかのように、思いきり良く笑った。
褒められたのか馬鹿にされたのか良く分からず、何だか腑に落ちないラーソルバールは、どういう顔をして良いか分からなかった。
敬礼をして場を辞すると、エフィアナの待つ場所へと戻る。その頃には皆が後片付けをしていた。
「しかし、よく見たら、ラーソルは凄い塗料まみれだねえ」
エフィアナが笑った。
その姿を見て、ラーソルバールは「エフィ姉もだよ」と言い返した。
「そうかなあ」と自分の鎧を見たエフィアナだったが「そうかもね」と言い直して苦笑した。全身にかかった塗料、それは返り血に等しい。今日の二人の戦果を物語っていた。
破けた塗料袋や、弓矢、武器などの破片といったものを拾い集める戦後処理を済ませると、終了の挨拶となった。
「さあ、もう少ししたら、荷馬車に乗って帰らないとね」
騎士学校と演習場、各陣営間の移動は全て荷馬車に分乗して行うので、演習が終わった今は揺られて帰るだけ。
とびきり疲れた気がするので、帰ったらゆっくり風呂に入りたい。そんな願望を持って、ラーソルバールは荷馬車に乗り込んだ。
翌日、演習場に騎士団の調査隊が入った。
ラーソルバールの示した箇所を重点的に、その周囲も含めて調査が行われた。結果、その付近ではオーガ本体は発見されなかったが、調査地域にオーガのものと思われる、まだ新しい大きな足跡がいくつか発見された。
ラーソルバールの証言を裏付ける形となったが、喜べる事ではない。近隣の街道が封鎖され、演習場を中心に探索が行われたが、その日のうちに発見に至らず、持越しとなった。
騎士団の威信にかけても、とまでは行かないが、国民の安全の為には、脅威は取り除かなくてはならないし、いつまでも街道を封鎖したままでは居られない。
まずは演習場をしらみつぶしにするとの方針の下、第一騎士団総出で捜索を実施。ようやく岩場で獣を捕食していたオーガに出くわした。
先に相手に気付かれたものの、近くに居た三人で連携して何とか倒し、事なきを得た。騎士達は、ほっと胸を撫で下ろしたが、これの事件が後に起こる災厄の前兆だとは、誰も思いもしなかった。
王都脇の騎士団演習場に、怪物が棲み着いた可能性があり、それがオーガかもしれないと言われた訳だから、慌てるのは当然といえる。
ラーソルバールは大体の位置を地図で指し示すと、その様子を正確に説明した。
最後に騎士団員に名前を聞かれて答えたところ、微妙な反応が返ってきた。ラーソルバールが首を傾げると、少し思案する様子を見せた後で若い騎士が口を開いた。
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「はぁ……」
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褒められたのか馬鹿にされたのか良く分からず、何だか腑に落ちないラーソルバールは、どういう顔をして良いか分からなかった。
敬礼をして場を辞すると、エフィアナの待つ場所へと戻る。その頃には皆が後片付けをしていた。
「しかし、よく見たら、ラーソルは凄い塗料まみれだねえ」
エフィアナが笑った。
その姿を見て、ラーソルバールは「エフィ姉もだよ」と言い返した。
「そうかなあ」と自分の鎧を見たエフィアナだったが「そうかもね」と言い直して苦笑した。全身にかかった塗料、それは返り血に等しい。今日の二人の戦果を物語っていた。
破けた塗料袋や、弓矢、武器などの破片といったものを拾い集める戦後処理を済ませると、終了の挨拶となった。
「さあ、もう少ししたら、荷馬車に乗って帰らないとね」
騎士学校と演習場、各陣営間の移動は全て荷馬車に分乗して行うので、演習が終わった今は揺られて帰るだけ。
とびきり疲れた気がするので、帰ったらゆっくり風呂に入りたい。そんな願望を持って、ラーソルバールは荷馬車に乗り込んだ。
翌日、演習場に騎士団の調査隊が入った。
ラーソルバールの示した箇所を重点的に、その周囲も含めて調査が行われた。結果、その付近ではオーガ本体は発見されなかったが、調査地域にオーガのものと思われる、まだ新しい大きな足跡がいくつか発見された。
ラーソルバールの証言を裏付ける形となったが、喜べる事ではない。近隣の街道が封鎖され、演習場を中心に探索が行われたが、その日のうちに発見に至らず、持越しとなった。
騎士団の威信にかけても、とまでは行かないが、国民の安全の為には、脅威は取り除かなくてはならないし、いつまでも街道を封鎖したままでは居られない。
まずは演習場をしらみつぶしにするとの方針の下、第一騎士団総出で捜索を実施。ようやく岩場で獣を捕食していたオーガに出くわした。
先に相手に気付かれたものの、近くに居た三人で連携して何とか倒し、事なきを得た。騎士達は、ほっと胸を撫で下ろしたが、これの事件が後に起こる災厄の前兆だとは、誰も思いもしなかった。
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