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第一部:第八章 心機一転
(一)次のステップ③
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後日、オーガに関する情報がラーソルバールにもたらされた。
「本来であれば、教える義務も無いのだが…」
そう前置きした上で、ラーソルバールの元を訪れた騎士は重い口を開いた。
騎士は前回と同様、わざわざ学校側と寮に対して許可を取り、寮の備え付けの応接室での対話という形を取った。
手続きや、報告を省くという事が、騎士としての在り方に反するものだと、判断されたからに他ならない。過去に例を見ない対応だが、騎士としての対応が礼を失するものであってはならない、という事なのだろう。
「私はクラール・カルロッサ。騎士団で今回の件の調査に当たった者だ」
淡々とした口調で、騎士は話す。
「君の言っていた通り、我々が倒したオーガは、君の見たものとは別個体だということが裏付けられた」
ラーソルバールは沈黙していた。
この騎士が何かを言わんとしている事が、分かったからだった。
「ここからは、他言無用だ。その意味は、以降の話を聞けば理解できるはずだ」
ラーソルバールは無言で頷いた。余計な言葉は必要ない。
「君の見たというオーガは消えた。これは間違いない。調査団の見解では、何処かと繋がったゲートから現れ、そして、同じようにゲートに消えたという事になっている」
「ゲート……ですか?」
「突如足跡が現れ、そして途絶えた。その近辺には何かがあったと思われる痕跡があった」
「それがゲートという事ですか」
意味が理解できた。だが納得できない点もある。
「誰が、何のためにゲートを作って、何処と繋げたのでしょう?」
「そこは継続調査中だ……」
教えられないと言われるものと思っていただけに、この反応は以外だった。
自分のような者にも真摯に対応してくれるのであれば、ひとつ提案をしよう、と思い立つ。
「では、その近辺に生えてくる植物を調査してみてください。時間はかかるかもしれませんし、手掛かりが得られるかどうかも分かりませんが…」
「植物?」
「はい。もしオーガに何らかの種子が付着していた場合、あの演習場には本来ないはずの植物が生えてくるかもしれません。そして…」
「なるほど、その植物の自生する地域と繋がった、という事が立証できるか」
得心したように騎士は手を打った。
「君は面白いな」
そう言われてラーソルバールは首を傾げる。殊更に意外な事を言ったつもりはない。
非常に危険な話をされているという事は理解している。そして少しでも役に立ちたいと思う気持ちもある。自分の立場上、今は騎士団の意に従うことが重要なはずだ。
「私が見つけたオーガは騎士団によって退治され、どこに現れるか分からないゲートの話など聞かなかった、という事でよろしいしょうか」
「それでいい。話が早くて助かる。聞いていた以上に聡いな」
騎士は最初とはうって変わって、柔和な表情を浮かべた。
「色々と心配ではあるだろうが、我々の方でも全力を尽くす。安心してくれ、とは言えないが、何とかして見せる。それと、君の処遇は今後も一切変わらない。不都合が起きることが無いよう約束しよう。ただ、騎士団内の評価については、私の管理の及ぶ範囲ではない」
そう言って騎士は最後に苦笑し、頭をかいた。
「最後の一言が非常に不安になるのですが……」
ラーソルバールは困ったような表情を浮かべ、抗議してみせた。
「ん、善処するよ。では、失礼する」
笑いながら、騎士は応接室から出ていった。
「ふぅ……」
ラーソルバールは騎士を見送ると、大きくため息を付いた。
「本来であれば、教える義務も無いのだが…」
そう前置きした上で、ラーソルバールの元を訪れた騎士は重い口を開いた。
騎士は前回と同様、わざわざ学校側と寮に対して許可を取り、寮の備え付けの応接室での対話という形を取った。
手続きや、報告を省くという事が、騎士としての在り方に反するものだと、判断されたからに他ならない。過去に例を見ない対応だが、騎士としての対応が礼を失するものであってはならない、という事なのだろう。
「私はクラール・カルロッサ。騎士団で今回の件の調査に当たった者だ」
淡々とした口調で、騎士は話す。
「君の言っていた通り、我々が倒したオーガは、君の見たものとは別個体だということが裏付けられた」
ラーソルバールは沈黙していた。
この騎士が何かを言わんとしている事が、分かったからだった。
「ここからは、他言無用だ。その意味は、以降の話を聞けば理解できるはずだ」
ラーソルバールは無言で頷いた。余計な言葉は必要ない。
「君の見たというオーガは消えた。これは間違いない。調査団の見解では、何処かと繋がったゲートから現れ、そして、同じようにゲートに消えたという事になっている」
「ゲート……ですか?」
「突如足跡が現れ、そして途絶えた。その近辺には何かがあったと思われる痕跡があった」
「それがゲートという事ですか」
意味が理解できた。だが納得できない点もある。
「誰が、何のためにゲートを作って、何処と繋げたのでしょう?」
「そこは継続調査中だ……」
教えられないと言われるものと思っていただけに、この反応は以外だった。
自分のような者にも真摯に対応してくれるのであれば、ひとつ提案をしよう、と思い立つ。
「では、その近辺に生えてくる植物を調査してみてください。時間はかかるかもしれませんし、手掛かりが得られるかどうかも分かりませんが…」
「植物?」
「はい。もしオーガに何らかの種子が付着していた場合、あの演習場には本来ないはずの植物が生えてくるかもしれません。そして…」
「なるほど、その植物の自生する地域と繋がった、という事が立証できるか」
得心したように騎士は手を打った。
「君は面白いな」
そう言われてラーソルバールは首を傾げる。殊更に意外な事を言ったつもりはない。
非常に危険な話をされているという事は理解している。そして少しでも役に立ちたいと思う気持ちもある。自分の立場上、今は騎士団の意に従うことが重要なはずだ。
「私が見つけたオーガは騎士団によって退治され、どこに現れるか分からないゲートの話など聞かなかった、という事でよろしいしょうか」
「それでいい。話が早くて助かる。聞いていた以上に聡いな」
騎士は最初とはうって変わって、柔和な表情を浮かべた。
「色々と心配ではあるだろうが、我々の方でも全力を尽くす。安心してくれ、とは言えないが、何とかして見せる。それと、君の処遇は今後も一切変わらない。不都合が起きることが無いよう約束しよう。ただ、騎士団内の評価については、私の管理の及ぶ範囲ではない」
そう言って騎士は最後に苦笑し、頭をかいた。
「最後の一言が非常に不安になるのですが……」
ラーソルバールは困ったような表情を浮かべ、抗議してみせた。
「ん、善処するよ。では、失礼する」
笑いながら、騎士は応接室から出ていった。
「ふぅ……」
ラーソルバールは騎士を見送ると、大きくため息を付いた。
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