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第一部:第十三章 思惑
(一)芽吹き③
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僅かな時間の後、城内の時を告げる鐘が鳴り、会場に響き渡った。
「国王陛下がお出座しになられます!」
大きな声で会場に告げられる。
一瞬で会場の賑やかさは消え、静寂に包まれた。
すぐに階段状に作られた高所の奥の扉が開き、国王ゼラフィム・ヴァストールが現れた。
「皆、良く来てくれた。今日は新年の幕開けを祝おうではないか。食べて飲んで笑う、皆の和こそがこの国の礎である」
国王の言葉に皆が恭しく頭を下げる。
国王を頂点とし、その下に貴族が存在する。当たり前のように思えるが、そのバランスは見た目の構造ほど単純ではない。
貴族は領地を持ち、独自に徴税を行う事が可能であり、一種の独立行政機関として存在している。
そのため、貴族にしてみれば国や国王が変わろうと、自らの領地が保障されれば何の問題も無い。
国王に恭順の意を示しているように見せるのは、国王が領地を保障しているからに過ぎない。
無論、そういった思考の持ち主ばかりではなく、国の一員であり、国を支える立場にあると考える者も少なくない。
ミルエルシ家の領地など僅かだが、村の発展させ、国に貢献する事を目的としている。
吹けば飛ぶような小さな領地でも、できる事があると考えている。
国王の挨拶が終わると、新宰相と共に新大臣の面々が次々と現れ、国王に対し臣下の礼を取る。
それが終わると全員が並び、全員の名が紹介された後、順に一言ずつ挨拶を行っていく。
ナスターク軍務大臣、フェスバルハ商工大臣など、ラーソルバールに馴染みのある名前もある。
「今回もアルディスさんのフォンドラーク家の本家は入ってないんだね」
シェラが小さな声でラーソルバールに耳打ちする。
そういえば、と思い、シェラの顔を見て頷く。
「今回の人事は、新宰相であるメッサーハイト公爵の意見が多く容れられている」
「わっ」
驚きのあまり思わず大きな声を上げるところだった。
いつの間にか、ラーソルバールの背後にはエラゼルが立っていた。
「元の場所に戻ったら、居なくなっていたので探したのだぞ」
「いや、あの直後に酷い目に逢ったから、逃げてきたんだよ……」
ラーソルバールは苦笑いで返す。
「酷い目……?」
エラゼルは小首を傾げた。
「あ、それはいいから。エラゼル、その宰相の意見が多く容れられてるってどういうこと?」
「メッサーハイト公爵はかなり厳格な方でな、不正や怠慢がお嫌いなのだ。だから、今回の人事においてもそういった話がある人物は外されている。先だっての暴動の件を機に、私腹を肥やし不正を働く輩を一掃しようという陛下のお考えと、合致したという事だろう」
エラゼルの言葉にラーソルバールは納得した。
「言い方は悪いけど、エイドワーズ様のご退任が丁度いい機会になったということね」
「そういう事になるな……」
二人でこそこそと小さな声で会話をしていたら、ラーソルバールは父に睨まれた。
全員の挨拶が終わると拍手が起きた。
この人事を快く思わない者達も少なからず居るはずで、この拍手にはどれだけの歓迎の意思が込められているのだろうか。
ラーソルバールは拍手をしつつ、ふと気になった。
「国王陛下がお出座しになられます!」
大きな声で会場に告げられる。
一瞬で会場の賑やかさは消え、静寂に包まれた。
すぐに階段状に作られた高所の奥の扉が開き、国王ゼラフィム・ヴァストールが現れた。
「皆、良く来てくれた。今日は新年の幕開けを祝おうではないか。食べて飲んで笑う、皆の和こそがこの国の礎である」
国王の言葉に皆が恭しく頭を下げる。
国王を頂点とし、その下に貴族が存在する。当たり前のように思えるが、そのバランスは見た目の構造ほど単純ではない。
貴族は領地を持ち、独自に徴税を行う事が可能であり、一種の独立行政機関として存在している。
そのため、貴族にしてみれば国や国王が変わろうと、自らの領地が保障されれば何の問題も無い。
国王に恭順の意を示しているように見せるのは、国王が領地を保障しているからに過ぎない。
無論、そういった思考の持ち主ばかりではなく、国の一員であり、国を支える立場にあると考える者も少なくない。
ミルエルシ家の領地など僅かだが、村の発展させ、国に貢献する事を目的としている。
吹けば飛ぶような小さな領地でも、できる事があると考えている。
国王の挨拶が終わると、新宰相と共に新大臣の面々が次々と現れ、国王に対し臣下の礼を取る。
それが終わると全員が並び、全員の名が紹介された後、順に一言ずつ挨拶を行っていく。
ナスターク軍務大臣、フェスバルハ商工大臣など、ラーソルバールに馴染みのある名前もある。
「今回もアルディスさんのフォンドラーク家の本家は入ってないんだね」
シェラが小さな声でラーソルバールに耳打ちする。
そういえば、と思い、シェラの顔を見て頷く。
「今回の人事は、新宰相であるメッサーハイト公爵の意見が多く容れられている」
「わっ」
驚きのあまり思わず大きな声を上げるところだった。
いつの間にか、ラーソルバールの背後にはエラゼルが立っていた。
「元の場所に戻ったら、居なくなっていたので探したのだぞ」
「いや、あの直後に酷い目に逢ったから、逃げてきたんだよ……」
ラーソルバールは苦笑いで返す。
「酷い目……?」
エラゼルは小首を傾げた。
「あ、それはいいから。エラゼル、その宰相の意見が多く容れられてるってどういうこと?」
「メッサーハイト公爵はかなり厳格な方でな、不正や怠慢がお嫌いなのだ。だから、今回の人事においてもそういった話がある人物は外されている。先だっての暴動の件を機に、私腹を肥やし不正を働く輩を一掃しようという陛下のお考えと、合致したという事だろう」
エラゼルの言葉にラーソルバールは納得した。
「言い方は悪いけど、エイドワーズ様のご退任が丁度いい機会になったということね」
「そういう事になるな……」
二人でこそこそと小さな声で会話をしていたら、ラーソルバールは父に睨まれた。
全員の挨拶が終わると拍手が起きた。
この人事を快く思わない者達も少なからず居るはずで、この拍手にはどれだけの歓迎の意思が込められているのだろうか。
ラーソルバールは拍手をしつつ、ふと気になった。
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