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第一部:第十四章 崩れゆくもの
(三)燻る炎②
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私が外に出ると間もなく馬車がやって来た。
一緒に馬に乗って騎士も一人ついてきており、私の目の前までやってきて下馬すると、馬車の扉を開けた。
「君がラーソルバール・ミルエルシか?」
「あ、はい」
名を聞かれ、慌てて返事をする。
「私は救護院までの護衛の役を仰せつかっている、グランザー三月官だ」
「三月官?」
また随分偉い人が来たな、私は思った。
三月官とは階級のひとつで、下は一地兵から始まり五地兵
次に一空兵から三空兵。
その上、一星官から三星官。
一月官(三日月形)から三月官、半月官となり、最後に一陽将、二陽将、三陽将となる。
ちなみに騎士団長は一陽将以上が務め、騎士学校卒業生は一星官から始まる事になっている。
「申し訳ありません、体を痛めていて体を曲げて頭を下げる事ができません。敬礼でお許しください」
私は騎士団式の敬礼でグランザーさんに挨拶をした。
「いや、気にしなくて良い。私がサンドワーズ団長に怒られてしまう」
苦笑いしながら第一騎士団長の名を口にした。
「ああ、夜中に騒動の対応をしたのが第一騎士団と第二騎士団だ」
横に居たエラゼルが補足する。
「オーガに止めを刺したのも、ラーソルバールをここに運び込んでくれたのも第一騎士団の方々だ」
「いや、止めというか、ほぼ死んでいる奴を動かなくしただけだ。と言っても完全に動かなくなるまで、なかなか時間が掛かったがな」
「すごいぞ、首を落とされても、しばらくは腕や足が動くのだ。なかなかの恐怖体験だぞ」
エラゼルは苦笑いした。
「さあ、早く馬車に乗り込んで」
促されるままに馬車に乗り込むと、続けてエラゼルも乗り込んできた。
「エラゼルも行くの?」
「私は付き添いだ。保護者のようなものだ」
そう言って顔を赤くする。
騒動の収拾を手伝わせて貰えないと先ほどぼやいていた事もあり、残っていても暇なのだろう。
「よろしいかな?」
確認するようにグランザーさんが聞いてきた。
「大丈夫です。お願いします」
私が答えると、グランザーさんは扉を締め、馬車を発車させた。
馬車から見える街の様子は、悲惨なものだった。
遠くから見えていた煙も、近くで見ればかなり大きなもので、燃え残りが時々赤くなり、焦げた臭いを馬車内にも運んでくる。
騎士達が瓦礫を片付けたり、怪我人の手当てをしている様子も見えた。
向かいに座るエラゼルの顔を見ると、やはりその表情は曇っていた。
被害の有った一帯を抜け、いつもと大差のない街の様子を見て、少しだけ安堵したが、胸を締め付けるような悲しみは消えない。
賑やかな通りを抜けた時だった。
大きな音と共に、馬車が揺れた。
「貴様、何者だ!」
グランザーさんの声が聞こえる。
「アンタには用は無い。僕は大事な手駒の『黒』をやられたお礼をしないと気が済まなくてね。多分、その中だろう?」
誰かがいる。
「何の事だ?」
窓から覗くと、グランザーさんが剣に手をかけていた。
危険な臭いがする。
私も出て、加勢しなくては。
エラゼルが飛び出そうとする私の手を掴んで制止する。
「私が出る」
エラゼルはそう言って馬車から降りた。
一緒に馬に乗って騎士も一人ついてきており、私の目の前までやってきて下馬すると、馬車の扉を開けた。
「君がラーソルバール・ミルエルシか?」
「あ、はい」
名を聞かれ、慌てて返事をする。
「私は救護院までの護衛の役を仰せつかっている、グランザー三月官だ」
「三月官?」
また随分偉い人が来たな、私は思った。
三月官とは階級のひとつで、下は一地兵から始まり五地兵
次に一空兵から三空兵。
その上、一星官から三星官。
一月官(三日月形)から三月官、半月官となり、最後に一陽将、二陽将、三陽将となる。
ちなみに騎士団長は一陽将以上が務め、騎士学校卒業生は一星官から始まる事になっている。
「申し訳ありません、体を痛めていて体を曲げて頭を下げる事ができません。敬礼でお許しください」
私は騎士団式の敬礼でグランザーさんに挨拶をした。
「いや、気にしなくて良い。私がサンドワーズ団長に怒られてしまう」
苦笑いしながら第一騎士団長の名を口にした。
「ああ、夜中に騒動の対応をしたのが第一騎士団と第二騎士団だ」
横に居たエラゼルが補足する。
「オーガに止めを刺したのも、ラーソルバールをここに運び込んでくれたのも第一騎士団の方々だ」
「いや、止めというか、ほぼ死んでいる奴を動かなくしただけだ。と言っても完全に動かなくなるまで、なかなか時間が掛かったがな」
「すごいぞ、首を落とされても、しばらくは腕や足が動くのだ。なかなかの恐怖体験だぞ」
エラゼルは苦笑いした。
「さあ、早く馬車に乗り込んで」
促されるままに馬車に乗り込むと、続けてエラゼルも乗り込んできた。
「エラゼルも行くの?」
「私は付き添いだ。保護者のようなものだ」
そう言って顔を赤くする。
騒動の収拾を手伝わせて貰えないと先ほどぼやいていた事もあり、残っていても暇なのだろう。
「よろしいかな?」
確認するようにグランザーさんが聞いてきた。
「大丈夫です。お願いします」
私が答えると、グランザーさんは扉を締め、馬車を発車させた。
馬車から見える街の様子は、悲惨なものだった。
遠くから見えていた煙も、近くで見ればかなり大きなもので、燃え残りが時々赤くなり、焦げた臭いを馬車内にも運んでくる。
騎士達が瓦礫を片付けたり、怪我人の手当てをしている様子も見えた。
向かいに座るエラゼルの顔を見ると、やはりその表情は曇っていた。
被害の有った一帯を抜け、いつもと大差のない街の様子を見て、少しだけ安堵したが、胸を締め付けるような悲しみは消えない。
賑やかな通りを抜けた時だった。
大きな音と共に、馬車が揺れた。
「貴様、何者だ!」
グランザーさんの声が聞こえる。
「アンタには用は無い。僕は大事な手駒の『黒』をやられたお礼をしないと気が済まなくてね。多分、その中だろう?」
誰かがいる。
「何の事だ?」
窓から覗くと、グランザーさんが剣に手をかけていた。
危険な臭いがする。
私も出て、加勢しなくては。
エラゼルが飛び出そうとする私の手を掴んで制止する。
「私が出る」
エラゼルはそう言って馬車から降りた。
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