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第二部:第十八章 旅立ちは報せとともに
(四)職人の想い①
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(四)
老社長に言われるがまま、教えられた店へと向かう一行。重たい荷物を持って、大通りを跨いだ反対側の裏路地を進む。
「何か、付き合わせちゃってゴメンね」
ラーソルバールは歩きながら、謝罪の言葉を口にする。自分の剣の為に、皆を付き合わせていると思うと、申し訳なさで一杯になる。
「いや、武器は自分の命を預けるもの。納得した物であるべきだ」
エラゼルは気にする様子はない。
「実際に旅に出たら、これよりも重い荷物を持って動き回る訳だし、へこたれてたら、明日以降困るでしょ。何をどうすれば良いかを、考えるいい機会だと思えば、何ともないよ」
何となくトゲがある言い回しに聞こえなくも無い。シェラらしい言葉だった。
「あれ、何か見覚えがあるな、この辺り」
脳裏にあった記憶が蘇る。
「確か、この辺りのはず……」
ラーソルバールが周囲を見回すと『ヴォルッセン工房』と書かれた小さな木板の看板が掛かった、目立たない店があった。
「ああ、ここだ」
父に連れてこられた記憶が蘇る。まともに体の動かない父と、馬車でやって来たのは何年前だったか。
懐かしい記憶と共に、店の扉を開ける。
「いらっしゃい…」
父と同年代くらいの女性が出迎えてくれた。この人が老社長の言っていた、ヴォルッセンさんの娘さんだろうか。
「何かお探しで?」
何から言えば良いか考えているうちに、女性に先を越された。
「ああ、ええと、剣を…」
戸惑い気味に答えたので、後ろからフォルテシアの笑い声が聞こえた。
「珍しいね、こんな店にお嬢さんのお客さんだなんて……。でも、今ここにある物しか無いよ」
「そうですか……では、見せていただきます」
ラーソルバールは良い言葉が思い当たらず、小さく答えた。
「悪いね、何人も居るのに狭い店で」
「いえ…」
「何でまたウチみたいな店に?」
不思議そうに女性は首を傾げた。
「良い剣が無くて、『鉄鉱石』の社長にこちらに行くように言われたんです」
「あの社長が? どういう事だい?」
「愛用のこの剣に彫られた銘を見て、もしかしたらここならと」
自らの剣を抜いて渡す。
「これ、父の作った物なのかい?」
父と言うからには、この人が今の店主なのだろう。
「そうらしいです。確かに、何年か前…五年前…? 父に連れてこられて、ここで受け取った記憶が有ります」
記憶の糸を手繰ると、初めて渡された本物の剣に、大喜びした事を思い出した。
「五年前か。子供に持たせるにしちゃ、しっかりとした物を作ったね。貴女、名前は?」
「ラーソルバール・ミルエルシです」
「ミルエルシ? ああ、あんた、クレストさんとリゼリアの娘かい?」
「え、ええ…。母をご存知なので?」
「ああ、私はリゼリアの幼馴染みさ。……うん、確かに、あの娘に良く似てる…。だから父もこんな物を作ったんだね」
嬉しそうに染々と語る女店主。その瞳はラーソルバールに、かつての幼馴染みの姿を重ねているのだろうか。
母の事を知っているなら、色々と聞きたい事が有るのだが、それは今日はお預けだ。ラーソルバールは出かかった言葉を飲み込んだ。
「………ああ、思い出したよ、クレストさんから、この剣を渡されて大喜びしてた子が居たね!」
女店主はその日の事を思い出したのか、ラーソルバールの顔を見て笑った。
老社長に言われるがまま、教えられた店へと向かう一行。重たい荷物を持って、大通りを跨いだ反対側の裏路地を進む。
「何か、付き合わせちゃってゴメンね」
ラーソルバールは歩きながら、謝罪の言葉を口にする。自分の剣の為に、皆を付き合わせていると思うと、申し訳なさで一杯になる。
「いや、武器は自分の命を預けるもの。納得した物であるべきだ」
エラゼルは気にする様子はない。
「実際に旅に出たら、これよりも重い荷物を持って動き回る訳だし、へこたれてたら、明日以降困るでしょ。何をどうすれば良いかを、考えるいい機会だと思えば、何ともないよ」
何となくトゲがある言い回しに聞こえなくも無い。シェラらしい言葉だった。
「あれ、何か見覚えがあるな、この辺り」
脳裏にあった記憶が蘇る。
「確か、この辺りのはず……」
ラーソルバールが周囲を見回すと『ヴォルッセン工房』と書かれた小さな木板の看板が掛かった、目立たない店があった。
「ああ、ここだ」
父に連れてこられた記憶が蘇る。まともに体の動かない父と、馬車でやって来たのは何年前だったか。
懐かしい記憶と共に、店の扉を開ける。
「いらっしゃい…」
父と同年代くらいの女性が出迎えてくれた。この人が老社長の言っていた、ヴォルッセンさんの娘さんだろうか。
「何かお探しで?」
何から言えば良いか考えているうちに、女性に先を越された。
「ああ、ええと、剣を…」
戸惑い気味に答えたので、後ろからフォルテシアの笑い声が聞こえた。
「珍しいね、こんな店にお嬢さんのお客さんだなんて……。でも、今ここにある物しか無いよ」
「そうですか……では、見せていただきます」
ラーソルバールは良い言葉が思い当たらず、小さく答えた。
「悪いね、何人も居るのに狭い店で」
「いえ…」
「何でまたウチみたいな店に?」
不思議そうに女性は首を傾げた。
「良い剣が無くて、『鉄鉱石』の社長にこちらに行くように言われたんです」
「あの社長が? どういう事だい?」
「愛用のこの剣に彫られた銘を見て、もしかしたらここならと」
自らの剣を抜いて渡す。
「これ、父の作った物なのかい?」
父と言うからには、この人が今の店主なのだろう。
「そうらしいです。確かに、何年か前…五年前…? 父に連れてこられて、ここで受け取った記憶が有ります」
記憶の糸を手繰ると、初めて渡された本物の剣に、大喜びした事を思い出した。
「五年前か。子供に持たせるにしちゃ、しっかりとした物を作ったね。貴女、名前は?」
「ラーソルバール・ミルエルシです」
「ミルエルシ? ああ、あんた、クレストさんとリゼリアの娘かい?」
「え、ええ…。母をご存知なので?」
「ああ、私はリゼリアの幼馴染みさ。……うん、確かに、あの娘に良く似てる…。だから父もこんな物を作ったんだね」
嬉しそうに染々と語る女店主。その瞳はラーソルバールに、かつての幼馴染みの姿を重ねているのだろうか。
母の事を知っているなら、色々と聞きたい事が有るのだが、それは今日はお預けだ。ラーソルバールは出かかった言葉を飲み込んだ。
「………ああ、思い出したよ、クレストさんから、この剣を渡されて大喜びしてた子が居たね!」
女店主はその日の事を思い出したのか、ラーソルバールの顔を見て笑った。
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