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第二部:第二十三章 剣が語るもの
(四)友と国を守るための剣②
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次は大きな魔法が来る。ラーソルバールは直感した。
足を止めたせいで、詠唱に必要な時間を捻り出すだけの距離を取られてしまった。焦燥感に駆られ、再びファタンダールに向かって走り出す。
無詠唱魔法でさえ軽々と使いこなす相手だけに、まともに詠唱時間を手に入れればどうなるか知れない。
だがラーソルバール自身は疲労に加え、精神力も体内魔力もそろそろ限界に近かった。腕に痛みが走り思うように走れない。
自分にも無詠唱で使える魔法が有れば、もう少しまともに魔法を使いこなせていたら、と悔しさが募る。今の自分には無詠唱で使えるほど熟練した魔法はない。ラーソルバールが後悔の念に苛まれていた時だった。
「聖なる矢!」
「魔力弾《マジックバレット》!」
ラーソルバールの後ろから、エラゼルとモルアールの声が響いた。直後には光輝く矢と魔力の塊がラーソルバールの横をすり抜け、ファタンダールへと襲いかかる。
「!」
ファタンダールは杖を使って魔法を霧散させたが、詠唱を一瞬止めざるを得なかった。
仲間の支援に僅かに笑みを浮かべて喜ぶと、ラーソルバールは魔力を込めて大きく地面を蹴る。それとほぼ同時に、ファタンダールの手元に魔力が集まり、発光しつつ球体を形作った。
「届けーーーっ!」
ラーソルバールが手を伸ばして突き出した剣が、球体を掠めファタンダールの腕を切りつけた。
「がぁああ!」
痛みの余りにファタンダールが手を引くと、不安定になった魔力は暴走を始め、球体は大きく歪む。完全に制御を失った魔力は大きく弾けて爆発し、ラーソルバールとファタンダールを吹き飛ばす。爆音で悲鳴は搔き消され、二人は地面に叩きつけられるように転がった。
「ラーソルバール!」
エラゼルは偽名を使うことさえも忘れて、叫ぶと同時に走り出していた。
この時には二十人程居た盗賊達も、既に大半が死亡するか無力化されており、残っていた四人は逃亡を始めており、戦闘は終わったと言って良かった。
「大丈夫か!」
倒れていた友の元に駆け寄ると、剣を置き、自らの肩の傷も忘れて助け起こそうとする。
「……つっ!」
肩に負担がかかり、エラゼルは顔をしかめる。
「ありがと……。あちこち痛いけど大丈夫。剣のおかげかな? ……それより、あの男は?」
二人はファタンダールの姿を探す。
エラゼルは体を起こしたラーソルバールを放すと、剣を拾う。
砂煙が舞う中、人影が動く。
「逃がすかっ!」
即座に駆け寄って、エラゼルは人影を一閃する。僅かに手応えはあったが、それは本人を捉えたのではなく、手にしていた袋を切り裂いただけだった。
ファタンダールの持っていた袋から、黒い石がぼろぼろと転げ落ちる。
「門石《ゲートストーン》!」
エラゼルは門石を使わせまいと、更に一歩踏み出す。
「チッ!」
舌打ちしながら大きく一歩飛び退き、ファタンダールは指先を下に向ける。
「地の壁」
ファタンダールの声と共に、石畳を破って土が勢い良く隆起し、エラゼルとの間に壁を作り上げる。それは連鎖するように横に広がり、完全にファタンダールの姿を隠した。
「また逃がすわけには……」
焦り左右を見回すが、前方は完全に土壁に阻まれているため、追うには大きく迂回しなければならない。
「大丈夫、深手を負っているみたいだから、そんなにすぐには逃げられないよ。血のあとを追えば何とかなるかも……。いてて……」
ラーソルバールもゆっくりと立ち上がり、壁の継ぎ目を探す。
「遺跡が台無しだよ、これじゃ……」
ぼやきながら土壁に手を当てる。その足元には、門石がいくつも転がっていた。
足を止めたせいで、詠唱に必要な時間を捻り出すだけの距離を取られてしまった。焦燥感に駆られ、再びファタンダールに向かって走り出す。
無詠唱魔法でさえ軽々と使いこなす相手だけに、まともに詠唱時間を手に入れればどうなるか知れない。
だがラーソルバール自身は疲労に加え、精神力も体内魔力もそろそろ限界に近かった。腕に痛みが走り思うように走れない。
自分にも無詠唱で使える魔法が有れば、もう少しまともに魔法を使いこなせていたら、と悔しさが募る。今の自分には無詠唱で使えるほど熟練した魔法はない。ラーソルバールが後悔の念に苛まれていた時だった。
「聖なる矢!」
「魔力弾《マジックバレット》!」
ラーソルバールの後ろから、エラゼルとモルアールの声が響いた。直後には光輝く矢と魔力の塊がラーソルバールの横をすり抜け、ファタンダールへと襲いかかる。
「!」
ファタンダールは杖を使って魔法を霧散させたが、詠唱を一瞬止めざるを得なかった。
仲間の支援に僅かに笑みを浮かべて喜ぶと、ラーソルバールは魔力を込めて大きく地面を蹴る。それとほぼ同時に、ファタンダールの手元に魔力が集まり、発光しつつ球体を形作った。
「届けーーーっ!」
ラーソルバールが手を伸ばして突き出した剣が、球体を掠めファタンダールの腕を切りつけた。
「がぁああ!」
痛みの余りにファタンダールが手を引くと、不安定になった魔力は暴走を始め、球体は大きく歪む。完全に制御を失った魔力は大きく弾けて爆発し、ラーソルバールとファタンダールを吹き飛ばす。爆音で悲鳴は搔き消され、二人は地面に叩きつけられるように転がった。
「ラーソルバール!」
エラゼルは偽名を使うことさえも忘れて、叫ぶと同時に走り出していた。
この時には二十人程居た盗賊達も、既に大半が死亡するか無力化されており、残っていた四人は逃亡を始めており、戦闘は終わったと言って良かった。
「大丈夫か!」
倒れていた友の元に駆け寄ると、剣を置き、自らの肩の傷も忘れて助け起こそうとする。
「……つっ!」
肩に負担がかかり、エラゼルは顔をしかめる。
「ありがと……。あちこち痛いけど大丈夫。剣のおかげかな? ……それより、あの男は?」
二人はファタンダールの姿を探す。
エラゼルは体を起こしたラーソルバールを放すと、剣を拾う。
砂煙が舞う中、人影が動く。
「逃がすかっ!」
即座に駆け寄って、エラゼルは人影を一閃する。僅かに手応えはあったが、それは本人を捉えたのではなく、手にしていた袋を切り裂いただけだった。
ファタンダールの持っていた袋から、黒い石がぼろぼろと転げ落ちる。
「門石《ゲートストーン》!」
エラゼルは門石を使わせまいと、更に一歩踏み出す。
「チッ!」
舌打ちしながら大きく一歩飛び退き、ファタンダールは指先を下に向ける。
「地の壁」
ファタンダールの声と共に、石畳を破って土が勢い良く隆起し、エラゼルとの間に壁を作り上げる。それは連鎖するように横に広がり、完全にファタンダールの姿を隠した。
「また逃がすわけには……」
焦り左右を見回すが、前方は完全に土壁に阻まれているため、追うには大きく迂回しなければならない。
「大丈夫、深手を負っているみたいだから、そんなにすぐには逃げられないよ。血のあとを追えば何とかなるかも……。いてて……」
ラーソルバールもゆっくりと立ち上がり、壁の継ぎ目を探す。
「遺跡が台無しだよ、これじゃ……」
ぼやきながら土壁に手を当てる。その足元には、門石がいくつも転がっていた。
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