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「••ないなー」
分厚い辞典を書架に戻しながら呟く。誰もいないとはいえ、夕暮れ時に終わりの見えない作業に切なくなってくる。
「お腹すいた」
書架と書架の間に足を投げ出して座り込む。生活魔法のクリーンをかけたためほこりはないが、使用されなくなって久しい図書室は、どこか寂寥感を伴う。
サポートキャラを拒否したはいいが、ストーリーを知っている手前、どうしても無視出来ない展開がある。
それは、ヒロイン•アリスがどのルートに入るにしても、王子や高位貴族と結ばれるためには、それなりの功績が必要となる。その最大の功績となるのが、攻略対象者達と協力して、国中に蔓延した疫病の特効薬を見つけ、国の救世主となるイベントだ。
この特効薬の発見は4年生になるが、あたりまえだが、疫病が発生するのはそれより前になる。確か、ヒロイン達が、疫病を調べ始めた初期の段階で発生場所は『雪解け水が流れ込む村』とあった記憶がある。
この国は分かりやすく日本と同じ東西南北、それぞれ北は寒く、南は暑いという設定で、うちの領地は北東に面しており、雪解け水が流れ込む村で思いあたるのは隣の領地だ。
いつ発生するかは正確には分からないが、国中に蔓延というからにはうちの領地も被害は免れないだろう。
本来はヒロインの絶対外せないイベントだが、人命には変えられないと、少しでも被害を食い止めようと、対策することにしたのだ。
ただ、もとが乙女ゲーム。このイベント自体もそれまでのイベントの獲得ポイントや攻略対象者の好感度をどれだけあげたかがクリアの条件となっているため、特効薬発見までのゲームの知識は、この誰も使用しなくなった図書室で特効薬の情報を見つける。ということと、その特効薬に必要なものが「ホーリーハーブ」というモノだということだけなのだ。
ホーリーハーブって何?ホーリーバジルじゃないの??
ハーブというからには植物なのだと予測される。これでも緑魔法の使い手として植物には詳しい方だと思っていたが、全く分からない。
領地の専門家に聞いたが、誰も聞いたことがないというし、手当たり次第調べてみたが、見つけることが出来なかった。
なら、特効薬の詳しい情報が得られるだろうこの図書室に通って情報を探して順番に読み進めているのである。
ちなみに、この図書室は旧図書室とも、第一図書室とも言われる。
30年ほど前に、図書館を建てられ、最新の情報の載っている書籍や資料はそちらに納められており、この図書室は以前の、要は古い書籍などが保存目的で納められているのだ。
私はゲーム知識と、ご先祖様が編纂した植物図鑑がここに置いてあり、入学前から両親兄弟より一度見てみたら?とすすめられていたので、この図書室の存在を知っていたが、たまに実験で使用される旧校舎の2階奥にあるここを訪れる学生はいない。
私も何度も通っているが、一度も誰にも会わないばかりか、しばらく使用した形跡がなかったため、クリーンをかけないと埃でくしゃみが止まらなくなるところだった。
夕暮れになってきた。いつも選択授業後にきては読み漁っていたが、そろそろ寮の夕飯の時間になる。今日は諦めて帰ろうか。
立ち上がり、座っていたスカート払っていると、図書室の扉が開いた音がした。
ここは魔法で学生、職員ならいつでも入れるが書籍は持ち出せないようになっていたから、誰かが入ってきてもおかしくない。
でも、通い始めて2ヶ月。誰にも会わなかったのに。
そーっと書架の間から覗き見る。
夕陽により少し赤みを帯びた銀髪。
まさか。
ゆっくりとこちらを向いた紫の目と視線が混じる。
なんで今こんなとこにいるの!
ジルベルト•フォール!?
分厚い辞典を書架に戻しながら呟く。誰もいないとはいえ、夕暮れ時に終わりの見えない作業に切なくなってくる。
「お腹すいた」
書架と書架の間に足を投げ出して座り込む。生活魔法のクリーンをかけたためほこりはないが、使用されなくなって久しい図書室は、どこか寂寥感を伴う。
サポートキャラを拒否したはいいが、ストーリーを知っている手前、どうしても無視出来ない展開がある。
それは、ヒロイン•アリスがどのルートに入るにしても、王子や高位貴族と結ばれるためには、それなりの功績が必要となる。その最大の功績となるのが、攻略対象者達と協力して、国中に蔓延した疫病の特効薬を見つけ、国の救世主となるイベントだ。
この特効薬の発見は4年生になるが、あたりまえだが、疫病が発生するのはそれより前になる。確か、ヒロイン達が、疫病を調べ始めた初期の段階で発生場所は『雪解け水が流れ込む村』とあった記憶がある。
この国は分かりやすく日本と同じ東西南北、それぞれ北は寒く、南は暑いという設定で、うちの領地は北東に面しており、雪解け水が流れ込む村で思いあたるのは隣の領地だ。
いつ発生するかは正確には分からないが、国中に蔓延というからにはうちの領地も被害は免れないだろう。
本来はヒロインの絶対外せないイベントだが、人命には変えられないと、少しでも被害を食い止めようと、対策することにしたのだ。
ただ、もとが乙女ゲーム。このイベント自体もそれまでのイベントの獲得ポイントや攻略対象者の好感度をどれだけあげたかがクリアの条件となっているため、特効薬発見までのゲームの知識は、この誰も使用しなくなった図書室で特効薬の情報を見つける。ということと、その特効薬に必要なものが「ホーリーハーブ」というモノだということだけなのだ。
ホーリーハーブって何?ホーリーバジルじゃないの??
ハーブというからには植物なのだと予測される。これでも緑魔法の使い手として植物には詳しい方だと思っていたが、全く分からない。
領地の専門家に聞いたが、誰も聞いたことがないというし、手当たり次第調べてみたが、見つけることが出来なかった。
なら、特効薬の詳しい情報が得られるだろうこの図書室に通って情報を探して順番に読み進めているのである。
ちなみに、この図書室は旧図書室とも、第一図書室とも言われる。
30年ほど前に、図書館を建てられ、最新の情報の載っている書籍や資料はそちらに納められており、この図書室は以前の、要は古い書籍などが保存目的で納められているのだ。
私はゲーム知識と、ご先祖様が編纂した植物図鑑がここに置いてあり、入学前から両親兄弟より一度見てみたら?とすすめられていたので、この図書室の存在を知っていたが、たまに実験で使用される旧校舎の2階奥にあるここを訪れる学生はいない。
私も何度も通っているが、一度も誰にも会わないばかりか、しばらく使用した形跡がなかったため、クリーンをかけないと埃でくしゃみが止まらなくなるところだった。
夕暮れになってきた。いつも選択授業後にきては読み漁っていたが、そろそろ寮の夕飯の時間になる。今日は諦めて帰ろうか。
立ち上がり、座っていたスカート払っていると、図書室の扉が開いた音がした。
ここは魔法で学生、職員ならいつでも入れるが書籍は持ち出せないようになっていたから、誰かが入ってきてもおかしくない。
でも、通い始めて2ヶ月。誰にも会わなかったのに。
そーっと書架の間から覗き見る。
夕陽により少し赤みを帯びた銀髪。
まさか。
ゆっくりとこちらを向いた紫の目と視線が混じる。
なんで今こんなとこにいるの!
ジルベルト•フォール!?
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