悪役?令嬢はあるあるに奔走する

まる

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アレはソレじゃない

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「アメリア?どうかしたのかい?」

ようやくひと息つく事にした兄が、また温くなった紅茶を飲みながら聞いてきた。

あっ全く聞いてませんでした。

「お兄様のお話を伺って、学園での生活が楽しみになってきたのです。ねっ?イーサン?」

にっこり微笑みながらイーサンに振る。

「あのっ。はいっ。・・楽しみです」

俯き加減ではあるが、頬が薄ら蒸気しているので喜んではいるのだろう。

「ああとても楽しいぞ!まず入学式後の・・・」

このタイミングで侍女が紅茶を入れ直す。ごめんよ。話長いよね。心の中で謝っておく。

兄の話を聞き流しながら現状把握を進める。

そう、アメリアの記憶と前世の記憶を照合したが、ここは乙女ゲームの世界ではないと言える。

正確には私の前世の記憶にある乙女ゲームの世界、もっというとその他ゲームや漫画やラノベの世界でもない。

ただ、あくまで前世の記憶にないだけで何某かの創作物に転生したようではある。

何故か?それはこのご都合主義の世界感だ。
まず、言葉が日本語である事。文字も話すのも日本語。金髪碧眼父が「臍で茶を沸かす」と言った記憶を思い出す。この破壊力。

アメリアとして13年生きているが、思い返しても、前世の知識を持ってして、知らなかった物はない。
そう、全て一般的日本人が知り得る知識で構成されている上に、皆んな細かい事にツッコまない。ざっくりとした世界をあるがまま受け入れている。

魔法も然り。まああまりRPG寄りではないのでここもざっくりしている。

このざっくり設定で思い当たるのが、やはり乙女ゲームや悪役令嬢もののラノベの世界だ。

そして仮にここが乙女ゲームの世界だと仮定しよう。

まず乙女ゲームとは、庶民や異世界転移
でやってきたヒロインが数々の困難を攻略対象者と力を合わせて乗り越えながら愛を育みハッピーエンドを迎える。
それが大まかなストーリー。
舞台は学校だったり時に戦場だったりもする。

攻略対象者は平均するとシークレットも含め5人程。顔面偏差値の高さは言うまでもないが、王太子や第一、第二王子など呼び方は様々だが大概王子枠があり、続いて上位貴族出身者で、キレ者枠、脳筋枠、魔術士枠、ワンコ枠などに振り分け、そこにトラウマやそこに付随する腹黒、ツンデレ、お色気などの特性がつく。
また、それぞれキャラ立ちするように、髪や瞳の色など設定がある。

ちなみに悪役令嬢はいない。

そう、ラノベでよくある乙女ゲームのヒロインをいじめる悪役令嬢は、本来乙女ゲームには出てこない。

いても、文字通りの「好敵手(ライバル)」。けして階段から突き落とすなど愚策は取らない。

虐めてもそれはモブであり、もし重要人物が行なっている場合、それはストーリー上の伏線で、のちのち回収される。

では、この世界に当て嵌めていこう。

まず攻略対象者となり得る人物はいる。

兄や義弟はそのまんまだし、従兄弟の王太子や第ニ王子、第三王子もいる。

兄達以外の上位貴族の息子さん達も結構いる。
それはどの枠も埋められそうなくらい。

だがしかし、如何ともし難い事がある。

そう、この世界の人間は、金髪、茶髪、黒髪しかない。

そして瞳は、青、茶、黒しかないのだ。

そう、目立つ髪色や瞳の色でのキャラ分けが出来ないのである。

これは由々しき自体だ。
魔力量により濃さは変わるが基本はその3色×3色の組み合わせだ。

ちなみに、王様、王妃様、王太子、王子様方、王弟(父含)、兄は全員、金髪に青い目だ。
まる被り。揃うとなかなかの圧巻である。

私は母に似て茶髪、義弟の実家も茶髪だが、義弟の祖父と義弟が黒髪。

ちなみに、色の濃さに違いはあれど、この世界に黒髪忌避の考え方は一切ない。

だって茶髪が1番多いとはいえ、黒髪はマイノリティーではないのだ。

ただ、濃い色を持つ人への憧れはある。
私が色味が薄いからでは断じてない。
断じて・・ない!

余談だが、何故義弟は陰キャなのか。
実家や養子先で虐げられたいた訳でもなく、黒髪忌避で虐められてもいない。
正確にはただの人見知りだ。本が友達、大人しい子。10歳というまだ親を必要する時期に1人家族から離れてきたのだ。本人の性格もあり、当たり前だと思う。3年経って私もようやく僅かな表情の違いを読み取れるようになってきた。

ふと視線を感じると兄と義弟が此方を見ていた。

「どうされました?」

わざとらしく聞いてみる。そりゃ全く話を聞いてない人間がいたら、気になるわな。

「いや、ぼんやりするアメリアも可愛いよ」

兄から歯が浮くどころか、浮いた歯が飛んで額に刺さる衝撃的な言葉を吐く。

前世でも兄弟のいた私はラノベによくあるこの展開にいつも思っていた。

「実の兄妹でこんな会話、ありえなくないですか?」と。
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