【完】田舎のお姉ちゃん

柊一郎|くすぐり小説

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【中編】脇に触れる

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 佳奈ちゃんは昔から、周りから人気があった。大人達にはもちろんだし、学校でも仲のいい友達は多いようだった。親達の話によると、どうやら男子人気も高かったということである。

 しかし特段、元気溌剌なタイプというわけではなく、何か少し影のあるような、偶に何を考えているのか分からないときもあって、それが佳奈ちゃんの魅力のひとつなのかもしれなかった。

 今し方の発言も、何を考えているのか読めなくて、僕は困惑する。

 鼓動が高鳴って、佳奈ちゃんのノースリーブからのぞく脇の下や、チラリと見え隠れするお腹を意識してしまう。

「え……いいって、その」

 僕がモゴモゴしていると、佳奈ちゃんは僕の顔を覗き込んできて、

「ふふ、ただのこちょこちょでしょ?」

 と言って、後ろに置いてあったビーズクッションにもたれ掛かり、君がやり返すって言ったんだよと、悪戯っぽく両腕を上げて見せた。

 ……なんだか試されているような気分になって、少し口惜しくなった反面、やはり佳奈ちゃんの肌身を、肢体を見て、面映ゆさを感じてしまう。

 慥かに昔、佳奈ちゃんとくすぐり合ったりしたような記憶がある。しかし僕も小学校に上がりたての頃であり、佳奈ちゃんの身体など、意識もしていなかったが、今は違うのだ。

「私が笑うまでの、我慢ゲームだね」

「……あれ、強いっけ」

「さあ?どうだろうね」

 やはり、何か試されている気がする。さっきまで、チョット狼狽えていたくせに。

 ――やってやろうじゃないか。攻守交代である。

**

「じゃあ佳奈ちゃん、笑ったらだめだからね」

「……そういうゲームだもんね?」

「さっきの仕返しを兼ねてね」

「あはは、わかった」

 僕は、クッションにもたれて半臥位の佳奈ちゃんに身を近づける。

 佳奈ちゃんがいいというのだから、遠慮する理由も、無いと言えば無いのだ。もう、くすぐっちゃえ。

 佳奈ちゃんの頬が少し赤らんでいる。腕を頭の上に上げているため、普段は誰にも見せる機会が無いであろう腕の付け根、柔らかそうな脇の下が目の前に晒されている。

「女の子をこちょばすなんて、えっちなんだね」

 ドキリとした。しかし、売り言葉に買い言葉だ。

「ただのこちょこちょなんでしょ」

 指先を、それぞれの脇の下にそろりと近づけてみる。それはもう、ゆっくりと。

 佳奈ちゃんの上腕が、ピクリと反応した気がした。顔を少し背けて、口を一文字に結んでいるが、口角が上がりかけている。

「……あれ、意外と……自信ないかも」

 佳奈ちゃんは、腕を降ろして僕の手を制する。

「何が?」

「笑わないの」

「自分がゲームって言ったんじゃん」

「こちょばされるの久々だもん」

「じゃあ降参?」

「……べつに?」

 佳奈ちゃんはまた両腕をあげて、自分の脇の下を、恐る恐る僕に差し出す。僕の指が脇の下に近づくにつれ、佳奈ちゃんの口角が上下し、脇を閉じようとする反応を必死に抑えるように、身体全体がもぞもぞと動く。

 これは面白いなと、僕は上機嫌になる。思い切りくすぐってもいいけれど、それではすぐに終わってしまう。そろりと、ゆっくりと、脇の下に指を着地させる。

「――――っ!」

 佳奈ちゃんの身体が、びくびくっと痙攣して、声にならない嬌声を上げる。さっきまで身体を伸ばしていたのに、腕こそ下げないものの、身体が少し前傾に丸まる。

「あれ、もう笑ったりしないよね」

 ちょっとだけ、挑発してみる。

「まっ……まさ、か」

 髪の毛の隙間から佳奈ちゃんの顔を覗くと、目をギュッと瞑り、口元は若干笑ってしまっている。

 ……くすぐったいくせに。佳奈ちゃんの、想像していたよりもいじらしい反応に、僕は、正直にいって興奮していた。

 触れていただけの指を、少しずつ、撫でるように動かしてゆく。クーラーが効いていたからか汗はかいておらず、さらさらと滑るように駆け回ることができる。

 その動きが堪らないといった様子で、佳奈ちゃんは顔を左右に振りながら、頑張って笑うのを我慢している。

「……く、…………ふっ」

「あれ?今笑ったんじゃない?」

「わらって……ない」

「くすぐったいんでしょ」

「……ぷっ、……全然、こちょばくない」

 僕はとうとう、我慢がしきれなくなって、指をこちょこちょと動かしはじめる。腕の内側のさらさらしたところから、脇の下のくぼんだところ、それから胸の膨らみの直前までを、細かい指の動きで刺激する。

 特に脇の窪みと、胸との境界あたりに指を這わせると、くくくっと声を上げながら、刺激から逃げようとする動きが大きくなる。

 僕はその弱点が分かってから、あえて脇の下の周りを焦らすようにくすぐって、じわじわと窪みのなかへ侵入していくことにした。とうとう弱い部分に指が集合して――それだけでももう吹き出す寸前のようであったが――僕の10本の指がわらわらと動き出すと、

 佳奈ちゃんは、愈々我慢がしきれなくなり、

 身体をびくびくっと震わせながら、

「……もうだめ、笑っちゃう、あっ、あははははははは!」

 と、これまでの我慢があっけなく瓦解し、弾けるように笑い始めるのであった。

―後編へ続く―
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