病室の窓から眺める空は

うさみち

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病室の窓から眺める空は

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病室の窓。

見える景色は、いつも一緒。
稲穂揺らぐ畑に、
広い校庭の中学校、
割と大きめの、工業地帯……。

人はあまり通らない。
たまに中学生の登校風景を眺めるくらいだ。

病室の変わらない画角からの、変わらない景色……。


不思議なのが、見え方だ。

晴れていても、
曇っていても、
雨が降っていても、
雷が鳴り響こうとも。

心に余裕があれば、どんなに大雨でも晴れて見えるし、
心に余裕がなければ、どんなに晴れていても、どんより曇って見える。

そんな中……。

いつも思うのは、家族のこと。

空の見え方と一緒で、唯一変化のある、雲の形。
雲の形は、会いたい家族の形なの。

あぁ、あの雲、娘に似てるな。
あの雲は、息子が好きな、チョコレートパンみたい。

いつも、いつだって……。

どんな景色だったとしても、
どんな見え方だったとしても、
いつも思うのは、こどもたちのこと。


会いたいな、
会いたいよ……。



でもね。
こどもって、すごく逞しくて。

最初は私が入院すると知って泣いていたのに、私がいなくなって数週間。

今ではすっかり。
何事もなかったように、ケロッとしているみたい。

それはちょっとさみしいけれど……、
毎日泣いて過ごすよりは、
お母さんはとっても安心だよ。


元気に楽しく過ごしてくれている。
そう思えば……、
病室の窓から見える景色は、少しは明るく見えるかもしれないね。

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