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第2章 審判の関所

2-14 『見習い錬金術士ミミリの冒険の記録 4錬成目』

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 こんにちは! 見習い錬金術士のミミリです。

 今回の冒険の記録では、『森のくま先生の錬金術士の錬成学校 1時間目 座学の時間』でくまゴロー先生が教えてくれた、『錬成アイテム×錬成アイテム=無限の可能性』について、もう少し掘り下げて説明していくよ。

 ……と言ってもね。

 私に上手く説明できるかとっても不安。
 でも、錬金術に少しでも興味を持ってもらえるように、私の本を手に取ってくれた貴方に少しでも魅力が伝わるように、頑張るから最後まで読んでくれたら嬉しいなぁ。


 緊張するけど、早速始めていくね。
 授業でもあったとおり、【弾けるピギーウルフのミートパイ】を例に挙げて、もう少し詳しく説明してみるよ!

 ……うぅぅ。緊張するなぁ……。

 ーーハッ‼︎

 そっかぁ! こういう、恥ずかしいなぁって気持ちを抑え込むために、ゼラくんは机で寝てたんだよね? 邪念を抑え込むための、瞑想……? とか言ってたっけ。
 
 ……邪念ってなんだろう。

 ……本当はみずまんじゅうが食べたいのに、実ははちみつパンケーキも食べたいなって思うような一途じゃない気持ちのことかなぁ。だとしたら、私は邪念だらけかも。今度ゼラくんに瞑想の仕方教えてもらわなきゃ!


 では、気を取り直しまして。

 『錬成アイテム×錬成アイテム=無限の可能性~ミミリ先生バージョン~』、開講します!

 ……自分で先生とかいうの、恥ずかしいね。
 
 ふ~。瞑想、瞑想っと。


 まず、おさらいから。【弾けるピギーウルフのミートパイ】を作るには、次のアイテムが必要になるよ!

【弾けるピギーウルフのミートパイ】
《錬金素材アイテム3種、錬成アイテム3種、必要数9(3+2+1+1+1+1。必要数っていうのは、各種アイテムの数を足したものだよ! カケラは1にも満たない量だけど、わかりやすく1としているよ)》

 ・ピギーウルフの肉 ×3
 ・メシュメルの実(中身) ×2
 ・小麦粉 ×1
 ・【ミール液】 ×1 ←錬成アイテム!
 ・【火薬草の結晶】 ×1 ←錬成アイテム!
 ・【弾けたがりの爆弾】のカケラ 適量 ←錬成アイテム!


 【弾けるピギーウルフのミートパイ】を作るには、3種類の錬金素材アイテムを集めなきゃいけないし、3種類の錬成アイテムを作らなきゃいけない。それに、全部でアイテムは9つも必要だよ~っていう意味だよ。

 次に見て欲しいのは、それぞれの錬成アイテムなの。

 【ミール液】から、順番に見ていくよ。

【ミール液】
《錬金素材アイテム2種、必要数6》
 ・ミール草 ×5
 ・冷たい水 ×1

【火薬草の結晶】
《錬金素材アイテム1種、必要数5》
 ・火薬草 ×5

【弾けたがりの爆弾】
《錬金素材アイテム3種、錬成アイテム1種、必要数10》

→【ミール液】も含めて考えた場合は次のとおり。

《錬金素材アイテム5種(3種+【ミール液】分2種)、必要数15(3+5+1+【ミール液】分6)》
 ・メシュメルの実の殻 ×3
 ・火薬草 ×5
 ・小麦粉 ×1
 ・【ミール液】 ×1 ←錬成アイテム!


 錬成アイテムを作るのって、本当にたくさんの錬金素材アイテムを使うんだぁ。

 さぁ、もう一度、【弾けるピギーウルフのミートパイ】について考えてみるよ。

【弾けるピギーウルフのミートパイ】
《錬金素材アイテム3種、錬成アイテム3種、必要数9》

→錬成アイテムも含めて考えた場合は次のとおり。

《錬金素材アイテム述べ11種(3種+【ミール液】分2種+【火薬草の結晶】分1種+【弾けたがりの爆弾】分述べ5種)、必要数述べ32(3+2+1+【ミール液】分6+【火薬草の結晶】分5+【弾けたがりの爆弾】分15)》
 ・ピギーウルフの肉 ×3
 ・メシュメルの実(中身) ×2
 ・小麦粉 ×1
 ・【ミール液】 ×1 ←錬成アイテム!
 ・【火薬草の結晶】 ×1 ←錬成アイテム!
 ・【弾けたがりの爆弾】のカケラ 適量 ←錬成アイテム!


 ……うぅ~ん、足し算するのってちょっと苦手。

 まとめるとね、【弾けるピギーウルフのミートパイ】を作るためには、述べ11種類のアイテムと、述べ32のアイテムが必要になるよ。

 難しくてやっぱりわからない~っていう場合はね、錬成アイテムは、たくさんのアイテムでできている! っていうことだけわかってもらえたらすごくすごく嬉しいな。

 実は私もね、あんまり必要アイテム数とか考えないで錬成してるんだ。

 ……よ~し! 錬成するぞぉぉ!

 って錬成始めたらね、時間を気にせずのめり込んじゃうことが多くって、気がついたら山のように錬成しちゃってるってこともあるの。
 気をつけなきゃいけないなぁって思うんだけど、錬成が楽しくて楽しくて! ついつい、没頭しちゃうんだよね。



 ☆ここまでの「審判の関所」の感想☆

 アルヒたちとお別れして、初めて3人だけで挑んだダンジョンの攻略。
 アルヒがいないのはとっても寂しいけど、なんとかここまで攻略を進めることができたよ。

 新しい出会いもあったんだ。
 ピロンちゃんと、くまゴロー先生。

 アルヒに安心してもらうためにも、前を向いて新しい出会いに感謝して、冒険を楽しまなきゃいけないよね!

 ……あ、そうそう。ゼラくんてば、お腹の音のこといっぱいいっぱいからかうんだよ。
 おっきな音、おっきな音~って。
 だってしかたないよね? 美味しそうなはちみつの匂いが漂ってきたら、誰だってグ~ッて、お腹鳴っちゃうと思うの。

 ……。

 ……あぁぁ恥ずかしい! しかたないよね? しょうがないよね?

 そうだ! お腹の音が聞こえなくなるような、それか、鳴らなくなるような錬成アイテムを作ればいいのかな? そうすれば、心置きなく、グ~ッてお腹鳴らせるよね!

 ……ふぅ~。
 とりあえず、瞑想、瞑想!

 恥ずかしい気持ち、いなくなりますように!


 そういえば、くまゴロー先生を見つめるうさみってとっても可愛いんだぁ。
 常にご機嫌さんで、耳もしっぽも、ふわふわ揺れているの。思わず抱っこしたくなっちゃうくらい。 

 恋する乙女ってあんな感じなのかな。

 私には、まだよくわからないけれど。
 うさみみたいに、あんなに幸せそうに過ごせるのなら、「恋」に憧れちゃうかもしれない。
 本当に、うさみ、可愛いんだよ。
 元から可愛いけどね! へへへ。


 今回は、錬金術の魅力について説明してみたんだけど、どうだったかな。ちゃんと、先生できてたかな。錬成アイテムのことは、上手く説明できてなかったかもしれないけれど、オヤツのことは上手に説明できる自信があるよ! 機会があったら、今度オヤツの本を書いてみるね。


 この本を読んでくれた貴方が、少しでも、「錬金術って楽しそうだな」、「アイテム錬成してみたいな」って思ってくれたら嬉しいな。

 そういえば、スズツリー=ソウタさんの著者にも、最後に必ず『願わくば、錬金術の知識が後世へ語り継がれることを祈って』って書いてあったなぁ。

 今の私が思うみたいに、錬金術の魅力を知って欲しいなっていう気持ちから書いていたのかもしれないね。

 錬金術って楽しいよ!

 食べ物を作ったり、お薬を作ったり、闘うためのアイテムを作ったり。
 みんながビックリするような、みんなを幸せにできるような、そんなアイテムをたくさん作っていきたいな。
 そのためにも、「審判の関所」での勉強、頑張らないとだよね!


 私の冒険の記録が、貴方のお役に立てますように。

 そして……。
 この本を読んでくれる貴方へ、スズツリー=ソウタさんの願いも汲んでの締めくくり。


『願わくば、錬金術の知識が後世へ語り継がれることを祈って』


 著者:見習い錬金術士 ミミリ

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