幼馴染みに恋愛感情がないのは本当みたいですが、だからと言って何をしても許されるとは思わないでくださいね。

ふまさ

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 先ほどまでリックが座っていた席に、ネイトが座る。

「最近、ぼくの伝言だけじゃなく、リックはきみとよく話をしているみたいだね」

 エリンの指が、ぴくっと動いた。

「……えと。それは、もしかして嫉妬ですか?」

 期待を込めて、聞いてみる。けれどネイトは、まさか、と一笑した。

「ぼくは、嫉妬する人が嫌いだからね」

 エリンの肩が、僅かにぴくりと揺れた。

「……嫌い、ですか」

「うん。前にお付き合いしていた人たちはさ、アデラに嫉妬していたんだよ。おかしいよね。アデラに恋愛感情はないって、何度も伝えていたはずなのに。それって、ぼくを信用していないってことでしょ?」 

「そう、ですね……」

「ね? そのてん、エリンはアデラに優しくて、嫉妬もしないから。エリンは本当に、ぼくの理想だよ」

 へへ。
 ネイトが子どものように笑う。エリンも笑いかえそうとしたものの、上手く笑えているか、自信が持てなかった。


 次の日。

「ねえ。もう本当に、明日から迎えに来なくていいから。ね?」

 学園へと向かう馬車内。中には、エリンとネイト。アデラがいた。ネイトの向かい側に座るアデラが、困ったように、いつもと同じ内容を繰り返す。それをネイトが、うんうんと聞いている。

 もういいから。そう言うものの、アデラはネイトを決して拒絶したりはしない。困りながらも、結局は言うことを聞く。そんな感じだ。

 昔話でもはじめようものなら、エリンは完全に蚊帳の外になる。それは当然、気分の良いものではなく。例えば気を使ったアデラが「む、昔の話はいいじゃない」と言っても。

「何で?」

「エ、エリン様が退屈なさるでしょ?」

「そんなことないよ。ぼくとアデラの小さいころの話、聞けて楽しいよね?」

 やっと顔を向けてくれたと思えば、これだ。何かを吐き出したい衝動にかられながらも、エリンは、そうですね、と答えるしかなかった。

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