幼馴染みに恋愛感情がないのは本当みたいですが、だからと言って何をしても許されるとは思わないでくださいね。

ふまさ

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 ついてこないでください。何度言っても、後をついてくるネイト。いつもなら、どんな時でもアデラを優先してきたくせに。どうしてこんなときだけと、余計に腹が立ってきた。

「ねえ、怒っているの? 謝るよ。本当に悪かったと反省しているんだ」

 謝罪を繰り返すネイト。エリンはひたすら無視を貫き、校舎を出た。学園外で待機していた、専属の護衛の男に近付くなり、ネイトを指差し、こう命じた。

「この男を、校舎内に連れ戻して来てください。そして授業が全て終了するまで、校舎から出ないように見張っていてください」

 ネイトが婚約者だと承知している護衛の男も、ネイトもぽかんとしていた。エリンは護衛の男を促すように、もう一度口を開いた。

「聞こえましたか? もう一度、言いましょうか?」

 妙な圧を感じた護衛の男は「い、いえ。了解しました」と返し、ネイトの腕を、失礼します、と掴んだ。

「ま、待って! 確かにぼくが悪かったけど、これはあんまりだ!」

 ネイトは食い下がろうとするが、エリンは聞こえていないとでも言うように馬車に乗り込み、もう一人の護衛に「行きますよ」と告げ、馭者に「出してください」と命じた。



 頭と身体はまだ、ズキズキと痛んでいた。けれどそんな感じはおくびにも出さす、エリンは屋敷に着くなり、きびきびと歩き、応接室へと向かった。そこには使用人に聞いていた通り、両親の姿があった。

「エリン? どうした。まだ学園にいる時刻だろう」

 エリンの父親──公爵が、不思議そうに視線を向けてきた。その向かい側に座るエリンの母親も、同様の顔をしている。

「頭と背中が痛むので、早退してきました」

 両親は訳がわからないまま、瞠目した。

「け、怪我をしたのか?!」

「怪我というほどではありませんが、何より、心が痛いです」

 母親が「どういうこと?」と、心配そうにエリンに近付いてきた。

「ネイトに肩を掴まれ、地面に倒されたあげく、髪を引っ張られ、そのまま無理やり持ち上げられました」

 淀みなく告げるエリン。両親はしばらくの間、呼吸すら忘れるほどに、絶句した。
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