幼馴染みに恋愛感情がないのは本当みたいですが、だからと言って何をしても許されるとは思わないでくださいね。

ふまさ

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「……父上?」

 ネイトの隣で同じように土下座する父親を、ネイトはぽかんと見た。父親は青い顔をしながら、震えていた。

「どこが大袈裟なものか……お前は少しも反省していないようだな……お前がこんなに阿呆で愚かだとは、考えもしなかった……っ」

「……え?」

「何の落ち度もないエリン様に暴行しておいて、その言い草とは……っ」

 その科白に、ネイトはようやく、どうしてこのような状況になっているのかを理解した。

「──エリン、告げ口をしたのか……?」

 信じられないというような双眸で、ネイトは椅子に座るエリンを見上げた。そんなネイトの頬を、侯爵はこぶしで殴った。

「…………っっ!」

 床に倒れるネイト。駆け寄る者は、誰もいない。はあはあ。侯爵が「貴様はもう、口を開くな!」と、荒く肩で息をする。

「──我が娘を侮辱するのも、大概にしろ」

 地を這うような声を出したのは、公爵だった。

「慰謝料だけですむと思うな。このブファン侯爵家まるごと、完膚なきまでに潰してやる。楽しみにしておけ」

 そのとき。ネイトの脳裏を過ったのは、エリンの言葉だった。


『ねえ、ネイト。わたし、公爵令嬢なんですよ。知っていましたか?』


 知ってはいた、が。ネイトはその意味を、本当には理解していなかったのだと気付いた。

(そうだ……エリンは、公爵令嬢なんだ。いつだってこうなる可能性はあったのに)

 どうしてその考えにいたらず、好き勝手できたのか。最初は、流石に意識していた。けれどエリンが、笑って許してくれるから。いつしかそれが当たり前になって──。


「お待ちください、お父様。わたしはそんなこと、望んではいません」

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