どれほど罵られようと、慰謝料は請求させていただきます。

ふまさ

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 マックスが眉をひそめ、それを受け取る。両手で紙を広げ、それがなにか理解したとき、目を見開いた。

「……離縁届。しかも、父さんのサインはしてある」

 突然の出来事に、マックスはさぞやショックを受けただろう。哀しむだろう。レイラは子どもを傷付けてしまった事実を、なにより後悔した。

(……せめて。せめてわたしと離縁してから、マックスの心の準備ができてからにしてほしかった……っ)

 それは酷い願いなのだろうか。家族水入らずで出掛けたのは、ここ最近だと言っていたから、ずっと、何年も我慢していたのは理解できる。

 それでも、マックスだけは傷付けないでほしかった。

「……離縁は、父さんから言いだしたんだね」

 静かな問いに、レイラが弱々しく頷く。

「……ごめんね、マックス。ごめんね」

「──なんで母さんが謝るのさ!」

「……わたしがね、悪いの。わたしの身体が弱くて、それでバートが犠牲になって。わたしが、あの家族の幸せをずっと奪ってきたの」

 マックスが「……なに、言ってるの」と、唖然とする。

「ロマーノ子爵は、父に恩があって……だからバートは、他に愛する女性がいたのに、病弱なわたしと無理やり結婚させられたの。そんなことも知らず、わたしは甘えてばかりいた……恨まれて、当然よね」

「ま、待って、待って。もしかして、従業員が目撃した小さな男の子って、父さんの……」

 パニックになりそうなマックスに、レイラは迷いながら「……バートの子よ」と、ぽつりと答えた。

 マックスは数秒間沈黙したあと、レイラの両肩を強く掴んだ。

「──しっかりしてよ、母さん! それは不倫じゃないか! しかも子どもって、隠し子だろ? どんな事情であれ、最低なのは父さんだ!!」

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