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「あなたの不貞行為を目撃した次の日、あなたが校舎裏で、学友と話していたことよ。あなたの本心が聞けて、本当によかった。おかげでわたしは、目を覚ますことができた。いまではもう、あなたのどこを愛していたのか、数日前の自分が理解できないぐらいよ」
パスカルが「……盗み聞きしていたのか」と唖然とするのを見て、マーシアはため息をついた。
「謝罪どころか、最初に出てくる言葉がそれなのね。ねえ、教えてよ。あなたのどこに、誇れるところがあるの?」
「……謝罪? まず謝らなければならないのは、盗み聞きしていたきみの方だろう?」
言い終わるか、終わらないかのタイミングで、眉間に皺を寄せたパスカルの頭を、ゴンザレス子爵が鷲掴み、力尽くでテーブルに押し付けた。
ごんっ。
パスカルの額がテーブルに打つかり、鈍い音が室内に響いた。
「いっ……な、なにをするのですか、父上!」
テーブルに額をつけたまま、パスカルが抵抗する。ゴンザレス子爵はものともせず、頭を抑えつけたまま、マーシアに視線を向けた。
「……申し訳ない。ここまでとは」
「いえ。王都にきて、変わってしまったのでしょう。先ほども申しましたが、わたしにも非はありました。しかし、もうかかりたくはありません」
ゴンザレス子爵は、当然だよ、と苦笑し、パスカルから手をはなした。
パスカルが「……盗み聞きしていたのか」と唖然とするのを見て、マーシアはため息をついた。
「謝罪どころか、最初に出てくる言葉がそれなのね。ねえ、教えてよ。あなたのどこに、誇れるところがあるの?」
「……謝罪? まず謝らなければならないのは、盗み聞きしていたきみの方だろう?」
言い終わるか、終わらないかのタイミングで、眉間に皺を寄せたパスカルの頭を、ゴンザレス子爵が鷲掴み、力尽くでテーブルに押し付けた。
ごんっ。
パスカルの額がテーブルに打つかり、鈍い音が室内に響いた。
「いっ……な、なにをするのですか、父上!」
テーブルに額をつけたまま、パスカルが抵抗する。ゴンザレス子爵はものともせず、頭を抑えつけたまま、マーシアに視線を向けた。
「……申し訳ない。ここまでとは」
「いえ。王都にきて、変わってしまったのでしょう。先ほども申しましたが、わたしにも非はありました。しかし、もうかかりたくはありません」
ゴンザレス子爵は、当然だよ、と苦笑し、パスカルから手をはなした。
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