あなたがわたしを捨てた理由。

ふまさ

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「……お可哀想に」

 ぼそっと吐かれた言葉に、クラレンスは、え、と目を丸くした。でも、グロリアは何事もなかったように、今日はこれで失礼します、と背を向け、その場を後にした。

「……今日は?」

 嫌な予感が、クラレンスの中を駆けめぐった。



 学園の中庭で、アーリンと一緒に昼食をとるクラレンス。視線を感じた気がして、まさかとあたりを見回すと、柱の陰からこちらの様子をうかがうグロリアの姿を見つけた。

「…………っ」

 ぞっとし、背筋に冷たい汗が流れた。アーリンが、どうしたの、と心配そうにたずねるが、クラレンスは、なんでもないよ、と答えるしかなかった。

 グロリアに告白されたことも、なにも、アーリンには話していなかったから。

 心配させたくないし、なにより、怖がらせたくなかったから。

 それが、間違いだったのだろうか。

 ──いや。

 そもそも、はじめから間違っていたのかもしれない。出会わなければ、入学式の日に、接点など持たなければ良かったのだ。



 学園の廊下。アーリンと二人で談笑しながらクラレンスが歩いていると、前から歩いてきたグロリアに、すれ違いざま、

「……大丈夫です。あたしが、なんとかしますから」

 と、囁かれた。

 立ち止まり、振り返る。グロリアはにこりと口角を上げると、そのまま背を向け、反対方向に去って行った。

 グロリアの言葉の意味も、行動も、なにもかも理解できないクラレンスは、軽いパニック状態になっていた。



 その日の、放課後。

 一緒に帰るため、教室までアーリンを迎えにきたクラレンスは、その姿がないことに気付き、アーリンのクラスメイトの女子生徒に、アーリンがどこに行ったか知らないですか、と訊ねてみた。女子生徒は、ああ、とすぐに口を開いた。

「少し前に、侯爵令嬢のグロリア様が訪ねて来られて。お二人で何処かにいかれましたよ」

 クラレンスは、電撃が走ったような衝撃を受けた。身体が、小刻みに震えはじめる。

「……二人が何処に行ったか、知りませんか」

 さっと顔色を変えたクラレンスを妙に思ったのか、女子生徒が、ええと、と焦り出す。

「教室を出て、右に進んだところは見ましたが……その後のことは」

「……わかりました。ありがとうございます」

 クラレンスは言われた方向に駆け出した。すぐに、上へと続く階段が視界に入った。この先は、一年の教室があるだけ。一瞬足を止めたものの、迷っている暇はないと、階段を駆け上がる。

 二年、三年の教室は、まだ人がいる。もし話しがあるなら、人気のないところを選ぶはず。校舎の出入りは、アーリンの教室から左に出たところにあるので、まだ校舎内にいる可能性が高いと、使われていない特別室を中心に探していく。

 けれど、二人の姿は何処にもなく。

 焦りだけが、クラレンスの中で膨れ上がっていく。

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