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王立学園を卒業したマイナは、修道院にいた。家族には猛反対されたが、後悔はない。いくら側妃のことを仄めかさていたとはいえ、婚約者がいる男性にあれだけ迫っていた令嬢と結婚したい人など、まずいない。いたとしても、訳ありがせいぜいだろう。
シェーベリ公爵の権力と金があれば、どうにかなったかもしれない。けれどそれは、マイナの望むところではなかった。前世を思い出してしまったいま、愛し愛されない結婚は、わがままだと理解していながら、受け入れる自信がなかった。
(……まあこの前世の記憶も、妄想に過ぎないのかもしれないけれど)
小説の内容とは、似ても似つかない人生を歩んでいる今となっては、もうすべてが疑わしい。しかしそのおかけで、まともな思考を取り戻せたのだから、真実はどうでもよかった。
──あの二人、今ごろどうしているのかしら。
神に祈りを捧げる前、マイナはふと、そんなことを思った。二人の不幸を願っているわけではないので、幸せに暮らしているのなら、それはそれでかまわない。それに、小説では子ができにく身体だったリリアン。王族に嫁いだ身でそれはかなりのプレッシャーだったろうが、平民なら、たとえ子が授からなくとも、許される身分ではある。
(……逆に良かった、のかも?)
などと考えるマイナは、ローランドとリリアンがとうに別々の道を歩み、それぞれ別の理由から、同時期に地下牢に捉えられていることなど、知る由もない。
─おわり─
シェーベリ公爵の権力と金があれば、どうにかなったかもしれない。けれどそれは、マイナの望むところではなかった。前世を思い出してしまったいま、愛し愛されない結婚は、わがままだと理解していながら、受け入れる自信がなかった。
(……まあこの前世の記憶も、妄想に過ぎないのかもしれないけれど)
小説の内容とは、似ても似つかない人生を歩んでいる今となっては、もうすべてが疑わしい。しかしそのおかけで、まともな思考を取り戻せたのだから、真実はどうでもよかった。
──あの二人、今ごろどうしているのかしら。
神に祈りを捧げる前、マイナはふと、そんなことを思った。二人の不幸を願っているわけではないので、幸せに暮らしているのなら、それはそれでかまわない。それに、小説では子ができにく身体だったリリアン。王族に嫁いだ身でそれはかなりのプレッシャーだったろうが、平民なら、たとえ子が授からなくとも、許される身分ではある。
(……逆に良かった、のかも?)
などと考えるマイナは、ローランドとリリアンがとうに別々の道を歩み、それぞれ別の理由から、同時期に地下牢に捉えられていることなど、知る由もない。
─おわり─
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