悪夢から目覚めたわたしは、気付かないふりをやめることにしました。

ふまさ

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「……追試? なんで?」

 呆然と、張り出された紙を見つめるグレース。隣でデイルが、ぼそっと、当然じゃないか、と小さくぼやいていた。それはしっかりとグレースの耳にも届いていたらしく、グレースはデイルを睨み付けた。

「当然って、なんですか? やっぱりデイル様、あたしにわざとわかりにくくお勉強を教えていたんですか?」

 デイルがぴくんと片眉を上げた。

「……あのさ。ぼくは丁寧に、自分の勉強時間を削ってまで、きみの試験勉強に付き合った。でもきみは、何度教えても、なにも理解しやしない。あげく、自分の馬鹿さをぼくのせいにするなんて、最低だな。きみがここまで頭が悪かったなんて、想像もしなかったよ」

「……ひ、酷い」

「ほらそうやって、すぐに泣いて逃げようとする。その癖、いい加減にしてくれないかな」

 二人の言い合いに、オリヴィアだけでなく、他の生徒たちも呆気にとられていた。婚約者の妹を選んだデイル。義姉の婚約者をとったグレース。そんな二人は、もはや学園で孤立していたが、それでも二人は、二人きりの世界で幸せそうにしていた。

 それなのに、たった一回の試験で、こんな辛辣な言い合いをするようになってしまうのかと、驚きが隠せなかった。

「! お義姉様!」

 オリヴィアを見つけたグレースが、縋るように駆けてきた。いつもならデイルが止めていたが、その様子もない。

 逃げようかしら。思ったが、グレースがなにを頼もうとしているか予想ができてしまったオリヴィアは、はっきりとそれを断るため、その場に留まった。

「お義姉様、また前みたいにお勉強を教えてください! デイル様は教え方が下手で、ちっとも理解できなくて。同じことを何度も聞くと、不機嫌になるんです。だからあたし、怖くて段々と質問できなくなっていって……」

 訴えてくるグレースをとりあえず無視して、オリヴィアは、デイルに視線を向けた。

「デイル様。あなたは、グレース様にお勉強を教えるわたしを、いつも非難していましたね。グレース様の試験の結果が悪いのは、きみの教え方が悪いからだと。もっと優しく、もっと時間を割いてあげるべきと」

 デイルが、痛いところを突かれたように、うっと息を詰まらせた。

「……いや、だって。ここまで馬鹿だとは思ってなくて」

「わたしは何度も、ならあなたが教えてあげてくださいと言いましたけどね。それすらも、忘れてしまいましたか」

「……義妹を教えるのは、義姉の役目だと思っていたから」

「それで? 実際に体験してみて、一回でこれですか。でもね、デイル様。いまは、あなたがグレース様の婚約者なのです。あなたが言ったお役目は、もうあなたにあるんですよ」

 これに異議を唱えたのは、グレースだった。

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