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アパートの廊下で起きたその出来事は、アパートの住人によって、目撃されていた。住人から通報を受けた警察は、モリーをその場で、現行犯逮捕した。
モリーは憑きものが落ちたように項垂れ、一切抵抗せず、大人しく警察に連行されていった。
その後。グレースがマケラ子爵領に戻ってくることは、ついになかった。
その事件は瞬く間に国中に広まり、ついには王都にいるオリヴィアにも、それは届くことになった。
縁を切ったとはいえ、元家族の末路に、オリヴィアの心中は穏やかではなかった。どうしてこうなってしまったのか。新聞ではわからなかったことも多かったが、ペルソン伯爵家から届いた手紙により、おおよその流れを把握することができた。
それは、事前に、この事件のことについて知りたいかと訊ねられ、オリヴィアが、はい、と答えたからに他ならない。その上で、調べたことを報告してくれた。変わらずの気遣いに、心から感謝した。
しかしおそらく一番告げたかったのは、グレースが現在、行方不明ということだろう。父親は死亡。母親は逮捕され、デイルはもう、王都にはいない。最終的に頼れるのはオリヴィアしかいないため、グレースはきっと、オリヴィアの前に現れるのではないか。
そんなことが、手紙には書かれていた。
「……お義姉様ぁ」
事件から半月後。
グレースが、ペルソン伯爵家の別邸にやってきた。髪も肌も乱れ、服もボロボロ。門扉の前で泣きじゃくるグレースに、オリヴィアの心は揺らいだ。
ペルソン伯爵家の調べによると、グレースは、母親が父親を殺すところを目撃していたとのこと。その傷は、きっと計り知れない。
「……中に入れてあげてください」
ペルソン伯爵家からは、グレースの対応について、オリヴィアの好きにしていいと言われていたので、その言葉に甘え、オリヴィアはグレースを屋敷に招き入れた。
父親に渡された金を使い、なんとか王都に辿り着いたのだと、グレースはしゃくりながら語った。湯浴びし、食事を取ると、グレースは倒れるように眠ってしまった。
「──いいのですか?」
グレースが眠る客室の前で、マドリンがオリヴィアに訊ねた。オリヴィアは、少しの間のあと「調べてほしいことがあるの」と告げた。
数日間引きこもってから、ようやく部屋から出てきたグレースは、オリヴィアにこう訴えてきた。
「……デイル様をここに連れてきてください。あたし、デイル様とお義姉様と、また一緒に暮らしたいんです。でないとあたし、あたし……っ」
両手で顔を覆い、膝から崩れ落ちるグレースに近付くと、オリヴィアは静かに話しかけた。
モリーは憑きものが落ちたように項垂れ、一切抵抗せず、大人しく警察に連行されていった。
その後。グレースがマケラ子爵領に戻ってくることは、ついになかった。
その事件は瞬く間に国中に広まり、ついには王都にいるオリヴィアにも、それは届くことになった。
縁を切ったとはいえ、元家族の末路に、オリヴィアの心中は穏やかではなかった。どうしてこうなってしまったのか。新聞ではわからなかったことも多かったが、ペルソン伯爵家から届いた手紙により、おおよその流れを把握することができた。
それは、事前に、この事件のことについて知りたいかと訊ねられ、オリヴィアが、はい、と答えたからに他ならない。その上で、調べたことを報告してくれた。変わらずの気遣いに、心から感謝した。
しかしおそらく一番告げたかったのは、グレースが現在、行方不明ということだろう。父親は死亡。母親は逮捕され、デイルはもう、王都にはいない。最終的に頼れるのはオリヴィアしかいないため、グレースはきっと、オリヴィアの前に現れるのではないか。
そんなことが、手紙には書かれていた。
「……お義姉様ぁ」
事件から半月後。
グレースが、ペルソン伯爵家の別邸にやってきた。髪も肌も乱れ、服もボロボロ。門扉の前で泣きじゃくるグレースに、オリヴィアの心は揺らいだ。
ペルソン伯爵家の調べによると、グレースは、母親が父親を殺すところを目撃していたとのこと。その傷は、きっと計り知れない。
「……中に入れてあげてください」
ペルソン伯爵家からは、グレースの対応について、オリヴィアの好きにしていいと言われていたので、その言葉に甘え、オリヴィアはグレースを屋敷に招き入れた。
父親に渡された金を使い、なんとか王都に辿り着いたのだと、グレースはしゃくりながら語った。湯浴びし、食事を取ると、グレースは倒れるように眠ってしまった。
「──いいのですか?」
グレースが眠る客室の前で、マドリンがオリヴィアに訊ねた。オリヴィアは、少しの間のあと「調べてほしいことがあるの」と告げた。
数日間引きこもってから、ようやく部屋から出てきたグレースは、オリヴィアにこう訴えてきた。
「……デイル様をここに連れてきてください。あたし、デイル様とお義姉様と、また一緒に暮らしたいんです。でないとあたし、あたし……っ」
両手で顔を覆い、膝から崩れ落ちるグレースに近付くと、オリヴィアは静かに話しかけた。
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