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しおりを挟む「え、どうしたの? どこか具合でも悪い?」
カミラに近付き、手を伸ばそうとするブラッドに、メイドが震える声で呟いた。
「……ブラッド様。今日は、カミラ様のお誕生日の日です」
バーサと、使用人たち以外の者が目を見開いた。ブラッドは頭の中で、今日の日付を確認した。とたん、ブラッドの顔から、さあっと血の気が引いていった。
「ち、違う! 違うよ! わ、忘れていたわけじゃない! 昼はイライザの誕生日パーティーをして、婚約者のきみの誕生日パーティーは、二人きりで、夜にしようと……っ!!」
「……ぷっ」
耐えきれなくなったように吹き出したのは、イライザだった。
「あーはっはっ! おかっ、おかしい……なんか様子が変だなあって思ってたけど、まさか、婚約者様のお誕生日だったとは。もしかしてみんな、この誕生日パーティーのこと、婚約者様のためのものだと勘違いしてたんですか?」
バーサが「あなたねえ……っ」とこぶしを震わすと、イライザはなおも笑った。
「図星? 図星ですか? このネックレス、もしかして、隣の婚約者様のために選んだものだったんですか?」
仕方ないですねえ。
バーサはネックレスを、首から外した。
カミラに近付き、手を伸ばそうとするブラッドに、メイドが震える声で呟いた。
「……ブラッド様。今日は、カミラ様のお誕生日の日です」
バーサと、使用人たち以外の者が目を見開いた。ブラッドは頭の中で、今日の日付を確認した。とたん、ブラッドの顔から、さあっと血の気が引いていった。
「ち、違う! 違うよ! わ、忘れていたわけじゃない! 昼はイライザの誕生日パーティーをして、婚約者のきみの誕生日パーティーは、二人きりで、夜にしようと……っ!!」
「……ぷっ」
耐えきれなくなったように吹き出したのは、イライザだった。
「あーはっはっ! おかっ、おかしい……なんか様子が変だなあって思ってたけど、まさか、婚約者様のお誕生日だったとは。もしかしてみんな、この誕生日パーティーのこと、婚約者様のためのものだと勘違いしてたんですか?」
バーサが「あなたねえ……っ」とこぶしを震わすと、イライザはなおも笑った。
「図星? 図星ですか? このネックレス、もしかして、隣の婚約者様のために選んだものだったんですか?」
仕方ないですねえ。
バーサはネックレスを、首から外した。
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