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しおりを挟む「ちょっと待ってくれないか」
口を挟んだのは、ブラッドの学友だった。
「今日の誕生日パーティーには、お前の婚約者のカミラ嬢と、カミラ嬢の親友を招待したと聞いた。だからぼくは、そのお二人のどちらかの誕生日パーティーだと思って、招待を受けたんだ。そんな、見ず知らずの平民の女性のために、時間を割いたわけじゃない」
イライザが「……平民」と、ショックを受けたように眉尻を下げたのを見て、ブラッドは目を吊り上げた。
「平民だからと蔑むなんて、最低だな」
「蔑んだわけではないが、そう思ってもらってけっこう。ぼくはなにも事情を把握してないが──お前との付き合いを、考え直す必要があるみたいだからな」
「? なぜ」
「なぜ? お前、婚約者の親友に、他の女性の誕生日プレゼントを選ばせたんだろ? しかも、バーサ嬢はそれを知らなかったみたいだし」
「さっきも言ったけど、それは聞かれなかったからだよ」
「それなんだけど。どうも、お前のそれは確信犯のような気がしてならないんだよ。誰の誕生日かとたずねたぼくの問いにも、お前はカミラ嬢とバーサ嬢を招待したとしか答えなかったし……なにより、誰より大切にしなければならないはずの婚約者のカミラ嬢の顔色にも気付かず、他の女性とはしゃぐお前の神経がわからない」
言われてはじめて、ブラッドはカミラに視線を向けた。
口を挟んだのは、ブラッドの学友だった。
「今日の誕生日パーティーには、お前の婚約者のカミラ嬢と、カミラ嬢の親友を招待したと聞いた。だからぼくは、そのお二人のどちらかの誕生日パーティーだと思って、招待を受けたんだ。そんな、見ず知らずの平民の女性のために、時間を割いたわけじゃない」
イライザが「……平民」と、ショックを受けたように眉尻を下げたのを見て、ブラッドは目を吊り上げた。
「平民だからと蔑むなんて、最低だな」
「蔑んだわけではないが、そう思ってもらってけっこう。ぼくはなにも事情を把握してないが──お前との付き合いを、考え直す必要があるみたいだからな」
「? なぜ」
「なぜ? お前、婚約者の親友に、他の女性の誕生日プレゼントを選ばせたんだろ? しかも、バーサ嬢はそれを知らなかったみたいだし」
「さっきも言ったけど、それは聞かれなかったからだよ」
「それなんだけど。どうも、お前のそれは確信犯のような気がしてならないんだよ。誰の誕生日かとたずねたぼくの問いにも、お前はカミラ嬢とバーサ嬢を招待したとしか答えなかったし……なにより、誰より大切にしなければならないはずの婚約者のカミラ嬢の顔色にも気付かず、他の女性とはしゃぐお前の神経がわからない」
言われてはじめて、ブラッドはカミラに視線を向けた。
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