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おまけ 1-4
「……なんか、これってヤバくないか」
俺から『なんでもする』っていう言質をとったアスファーが、俺を解放したのは、結局5日は後のことだった。正確な日数は分からないから多分、ではあるけれど。
最初は俺からキスするとか、自分で服を脱ぐとかアスファーの服も脱がせるとかそんなことだった。
なのに日を追うごとに徐々にエスカレートしていって、自分で乳首をいじったり、彼の前で自慰をさせられたり。
最後には後ろまで自分でほぐして、恥ずかしいところを押し開いて、彼のを挿れて欲しいと強請らされてしまった。
本人曰くこれでも我慢しているらしいが、付き合いたての相手にするには少しハードルが高すぎないか。
それにこの5日間は風呂も食事もアスファーの腕の中で、どんどん羞恥心が薄れていっている気がする。
だが、俺が今直面している問題はそこじゃない。付き合いたてで一番相手に興味がある時期だっていうのは分かるし、多少変態気味でも別に引かない。それよりも……俺は部屋から一歩も外に出ていないこと。
これはさすがにマズいだろう。
アスファーが食事も風呂も用意してくれて、確かに不自由はない。
この世界では仕事もしていないから、セッテの勉強会を除けば俺に用事はないから、いつまでだって部屋にいられる。
でも、このままだと俺はますますアスファーに精神的に依存してしまうじゃないか。
「ん?どうしたの、ウィチ。可愛い眉間に皺が寄ってるよ?」
「アスファー、その、俺、そろそろ、王宮に」
ベッドに倒れ伏した俺の髪を梳きながら、同じように横に寝転がったアスファーが俺の眉間を指先でつついてくる。
機嫌が良さそうな彼に、俺がおずおずと口を開くと、彼の周りの温度が一気に下がった。
「……王宮に、なに?なにか用事があった?」
「え、いや、」
「荷物は全部、俺が持ってきたよね?それとも誰か気になる奴でもいた?」
「そういう訳じゃ、ないんだけど、ほら、国王様にもお世話になったのにお礼も挨拶もできないまま、アスファーが荷物取りに行っちゃったし、」
「挨拶なんていらないよ。話させるわけないだろ」
ぐ、と強い力で体が反転して、彼の腕の中に引き込まれる。
顎を掴まれて唇が触れ合わされ、ぬるりと咥内に舌が這入り込んできた。
「ん、……や、ぁ、」
ちゅ、と音を立てて舌を吸われる。
舌を甘く噛んでから口を離すと、アスファーがそっと囁く。
「ウィチはずっと俺のだよね?過去に誰かに触られたかもしれないけど、これから先はずっと」
子供に語り掛けるように甘ったるいのに、執着が垣間見えるような言葉。
竜人族は他のどの種族よりも独占欲が強いってセッテが言っていたのを思い出す。
その竜人族特有の独占欲のせいなんだろうか。俺に過去の恋人がいたと知ってから、彼はそれを厭うような言葉をたまに口にする。もしかしたら……外へ出してくれないのも、そのせいなのかもしれない。
俺がどれだけ過去の相手よりもずっとアスファーが好きだと言っても、きっと彼の心は晴れないだろう。
それどころか余計彼が辛くなるのを思って口を噤んだ。
「愛してるよ、ウィチ。ずっと俺の傍を離さない。誰にも触らせないし話させないし、声だって聞かせてやらない。ウィチの頭の中に、俺以外がいるのは許せない。ウィチが考えていいのは俺だけだよ……この先、永遠に」
永遠なんて簡単に言うアスファー。
たとえこの執着が今だけのものだとしても、それを指摘してもどうしようもない。大人しく頷く俺に、アスファーが安心したように微笑んで口を開いた。
「もうちょっとしてウィチがちゃんと俺のものって分かってくれたら、外に遊びに行こうね。その時に王宮にも連れて行くよ。俺が安心して外に出せるようになる頃だから……あと300年後くらいかな?」
……俺、その頃にはこの世にいないんじゃ。
そう思ったけど、俺は口に出すこともできずに引き攣った笑いを零した。
アスファーが幸せならば、まあいいか。
この部屋に永遠に死ぬまで繋がれていたって、別に俺は後悔はしない。
なんだかそう思えた。
だってずっと焦がれていた『番』に、運命の相手にこんなに愛してもらえているんだから。恋人に大事にされないと嘆いていた俺の心は、彼の愛に溶かされてすっかり満たされてしまった。元の世界で苦い気持ちを噛みしめながらなんとか立っていた俺は、番の腕のなかで柔らかく蕩けてしまったみたいだった。
◇
本編完結です。ありがとうございました。準備が出来次第、番外編上げます。土竜と抱き合っていた理由などの話です。
俺から『なんでもする』っていう言質をとったアスファーが、俺を解放したのは、結局5日は後のことだった。正確な日数は分からないから多分、ではあるけれど。
最初は俺からキスするとか、自分で服を脱ぐとかアスファーの服も脱がせるとかそんなことだった。
なのに日を追うごとに徐々にエスカレートしていって、自分で乳首をいじったり、彼の前で自慰をさせられたり。
最後には後ろまで自分でほぐして、恥ずかしいところを押し開いて、彼のを挿れて欲しいと強請らされてしまった。
本人曰くこれでも我慢しているらしいが、付き合いたての相手にするには少しハードルが高すぎないか。
それにこの5日間は風呂も食事もアスファーの腕の中で、どんどん羞恥心が薄れていっている気がする。
だが、俺が今直面している問題はそこじゃない。付き合いたてで一番相手に興味がある時期だっていうのは分かるし、多少変態気味でも別に引かない。それよりも……俺は部屋から一歩も外に出ていないこと。
これはさすがにマズいだろう。
アスファーが食事も風呂も用意してくれて、確かに不自由はない。
この世界では仕事もしていないから、セッテの勉強会を除けば俺に用事はないから、いつまでだって部屋にいられる。
でも、このままだと俺はますますアスファーに精神的に依存してしまうじゃないか。
「ん?どうしたの、ウィチ。可愛い眉間に皺が寄ってるよ?」
「アスファー、その、俺、そろそろ、王宮に」
ベッドに倒れ伏した俺の髪を梳きながら、同じように横に寝転がったアスファーが俺の眉間を指先でつついてくる。
機嫌が良さそうな彼に、俺がおずおずと口を開くと、彼の周りの温度が一気に下がった。
「……王宮に、なに?なにか用事があった?」
「え、いや、」
「荷物は全部、俺が持ってきたよね?それとも誰か気になる奴でもいた?」
「そういう訳じゃ、ないんだけど、ほら、国王様にもお世話になったのにお礼も挨拶もできないまま、アスファーが荷物取りに行っちゃったし、」
「挨拶なんていらないよ。話させるわけないだろ」
ぐ、と強い力で体が反転して、彼の腕の中に引き込まれる。
顎を掴まれて唇が触れ合わされ、ぬるりと咥内に舌が這入り込んできた。
「ん、……や、ぁ、」
ちゅ、と音を立てて舌を吸われる。
舌を甘く噛んでから口を離すと、アスファーがそっと囁く。
「ウィチはずっと俺のだよね?過去に誰かに触られたかもしれないけど、これから先はずっと」
子供に語り掛けるように甘ったるいのに、執着が垣間見えるような言葉。
竜人族は他のどの種族よりも独占欲が強いってセッテが言っていたのを思い出す。
その竜人族特有の独占欲のせいなんだろうか。俺に過去の恋人がいたと知ってから、彼はそれを厭うような言葉をたまに口にする。もしかしたら……外へ出してくれないのも、そのせいなのかもしれない。
俺がどれだけ過去の相手よりもずっとアスファーが好きだと言っても、きっと彼の心は晴れないだろう。
それどころか余計彼が辛くなるのを思って口を噤んだ。
「愛してるよ、ウィチ。ずっと俺の傍を離さない。誰にも触らせないし話させないし、声だって聞かせてやらない。ウィチの頭の中に、俺以外がいるのは許せない。ウィチが考えていいのは俺だけだよ……この先、永遠に」
永遠なんて簡単に言うアスファー。
たとえこの執着が今だけのものだとしても、それを指摘してもどうしようもない。大人しく頷く俺に、アスファーが安心したように微笑んで口を開いた。
「もうちょっとしてウィチがちゃんと俺のものって分かってくれたら、外に遊びに行こうね。その時に王宮にも連れて行くよ。俺が安心して外に出せるようになる頃だから……あと300年後くらいかな?」
……俺、その頃にはこの世にいないんじゃ。
そう思ったけど、俺は口に出すこともできずに引き攣った笑いを零した。
アスファーが幸せならば、まあいいか。
この部屋に永遠に死ぬまで繋がれていたって、別に俺は後悔はしない。
なんだかそう思えた。
だってずっと焦がれていた『番』に、運命の相手にこんなに愛してもらえているんだから。恋人に大事にされないと嘆いていた俺の心は、彼の愛に溶かされてすっかり満たされてしまった。元の世界で苦い気持ちを噛みしめながらなんとか立っていた俺は、番の腕のなかで柔らかく蕩けてしまったみたいだった。
◇
本編完結です。ありがとうございました。準備が出来次第、番外編上げます。土竜と抱き合っていた理由などの話です。
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ムーンライトノベルズより転載(「多分、じゃない」より改題)。