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9.Happy End...?
-
呆然としている僕に構わず、エスク君の視線がじっと僕に注がれる。
愁いを帯びた瞳のまま、彼は口を開いた。
「風竜様は、あちこちにお情けを掛けているようです」
「そう、らしいね……?」
確かにアスファーは風竜というその気質のせいか恋愛事に関して軽薄だ。
番ができれば変わるのだろうけど、今だ見つからないせいもあってか大分遊んでいる。
それは良く知っているつもりだけど……でも何で急にアスファーのことを?
まさかアスファーのことが気になるとか言わないよね。
僕の中で嫉妬の炎がめらりと上がる。
だけど不審に思いながら頷く僕に、エスク君は言葉を重ねた。
「それならば、あなたが少し火遊びをしても許されるでしょう」
「へ、僕が……火遊び? え?」
火遊び?
火遊びってなんだ。
この会話の内容だと、その、恋愛的な意味に聞こえてしまうんだけど。
でも僕が好きなのは生涯エスク君だけで、浮気をする気は一切ない。
混乱する僕をよそに、エスク君は再び僕に向かって手を伸ばしてくる。
そっと手を握られて心臓が跳ねた。
「風竜様がお怒りになるなら、その怒りは俺が受けます。切り裂かれても構いません。俺だけを見て欲しいなんて、決して言いません。立場は弁えますし物分かりはいいつもりです。だから……ダメ、ですか?」
低い声でそっと囁かれる。
何で彼は、こんな僕を唆すようなことを言うんだ。
彼の物言いだとまるで……彼が僕に身を差し出すみたいじゃないか。
「や、その、アスファーは関係ない。それにエスク君が切り裂かれそうになったら、絶対に僕が命を懸けて守るよ。それよりエスク君、自分が言ってる意味、ちゃんと分かってる?」
子供の彼は、この間の行為の意味が分かっているんだろうか。
そして王様に言われたから、だからこうやって僕のもとに来て、僕を誘っているんだろうか。
アスファーが言った通り、竜人族である僕に逆らえなくて。
でなければ、こんなまるで愛人に進んでなるような言葉を吐くわけがない。
ようやく思い当たったことに言葉を詰まらせる。
彼の嫌がることはしたくなくて、理知的に振る舞いたくて彼を呼んだのに……。
だけど困惑する僕を見て、エスク君は少し瞳を緩めてほほ笑んだ。
「俺を守るだなんて、やっぱりルスさんは優しいですね」
握られている手をそっと撫でられる。
たったそれだけのことで背筋にぞくりとした甘い痺れが走った。
「俺は、あなたのように優しくはないです。あなたが弱っているなら付け入ります。……ねぇ、ルスさん。俺では、一時の慰めにもなりませんか?」
そっと囁かれて、甘い毒を思わせる声が鼓膜を揺らす。
その毒が僕の耳から脳を溶かして、心を絡めとる。
「風竜様は傍にいて下さらないのでしょう?俺なら、ずっと傍にいます。あなたの言うことなら何でも聞きます」
「……なんでも?」
僕の手を撫でていた彼が、その手を持ち上げて、僕の手の甲に口付ける。
でも僕は彼の吐き出した言葉を思わず呆然と繰り返してしまった。
呆けたような僕に、エスク君は口の端を吊り上げた。
「もちろんです。風竜様がして下さらないことを、全てします。どんなことでも」
エスク君は、僕が彼の甘い誘惑に心が揺れているのに気が付いているのか、甘美な言葉を重ねる。
そして僕は、ダメだと分かっていながら、本音をぽろりと零れださせてしまった。
「なら僕、エスク君のこと、番にしたい」
僕の口から出た言葉は、思いがけず包み隠さない本心で、その言葉にエスク君は大きく目を見開いた。
「俺を……番に?」
呆然としたような声が響く。
その声に、僕は少しだけ我に返った。
だけど僕が自分の言葉を慌てて否定する前に、彼が口を開く。
「その、竜人の番は生涯に一人だけだと伝承にあったのですが……本当は何人でも作れる、のですか?」
何人もって、番を?
そんなことありえるはずがない。
番は僕たち竜人族には特別な存在で、一目見た時から心が囚われる存在だ。
「そんなわけないよ。僕たちは番を作ったら一生浮気はしないし、させない」
番を作って、でもその番と二人きりでいられないなんて想像すらしたくない。
竜人族には浮気はあり得ない。
誰かに心が動くことなんて絶対にない。
そして、相手にも同じだけの愛を求めて束縛する。
思わず熱が入った僕の言葉に、エスク君が息を小さく吸い込む。
唾を嚥下する音が小さく響いた。
「じゃあ本当に、俺を番にしてくれるんですか? たった一人の?」
そして彼の言葉に、僕はようやく自分の口から出てきた言葉を自覚した。
「ごめん! そんなこと言うつもりなかったのに、思わず……」
否定の言葉を吐いて逃げようとするけど、僕が言い終わる前にエスク君は強く僕の手を握る。
まるで逃がさないとでも言う様な握力に、ひ弱な僕の手が少し痛んだ。
そして、彼は信じられない言葉を口にした。
「思わずでも何でもいいです。俺を、番にしてください」
「いやいや何言ってるの。ダメだよ、エスク君はまだ子供なんだから!もし王様に何か言われたんなら、気にしなくていいんだよ。もし嫌でも竜人族の相手をしてこいとか言われてるなら、僕がそんなこと必要ないって言うから、」
「国王は関係ありません。さっきの言葉を口にしたってことは、一瞬でも俺をあなたの番にしたいって思ったってことでしょう?」
「それはそうだけど、でもダメだって!子供をそんな風に誑かせないよ!」
僕が叫ぶように言うと、エスク君はまるで拗ねたように口を尖らせて。
ぽろりと信じられないことを口にした。
「子供って……、まだ若年でも俺だって成人しています」
「え、んん? 成人?」
「竜人様から見たら若いかもしれないですけど、これでもこの国では結婚だってできます」
「え、え、え、結婚? え?」
エスク君の言葉が理解できない。
いや、意味は理解できるんだけど頭が追い付かない。
だって彼はまだ18歳で、それは竜人族にとっては生まれたての子供みたいなもので、下手したら殻すらついてるかもしれないくらい幼くて。
なのにこの国では成人していて結婚だってできる?
僕が呆然として彼の顔を凝視していると。
「それとも子供って、俺が技量不足っていう意味ですか? この間のでは満足していただけなかった?」
彼の綺麗な瞳が細められて、剣呑な光が宿る。
彼はゆったりとした仕草で立ち上がると、ソファに座ったままだった僕を腕に抱え上げた。
「でしたら、今度こそ……ちゃんとルスさんが満足するまで尽くさせてください」
大股で部屋を横切り、ベッドの上に降ろされて、唇を奪われる。
ダメ、待ってと上擦った声で制止をしたけれど、その言葉ごと彼の口の中に溶けていった。
熱い舌が口の中の柔らかい部分を舐め、かき混ぜ、飲み込み切れない唾液が溢れて顎を伝う。
ようやく口付けが解かれた時には、僕の体からは力が抜けてぐにゃぐにゃになってしまっていて。
まともな思考が保てたのは、そこまでだった。
「っ、ぁあ、ああ!」
「気持ちいい、ですか?」
雄の顔をしたエスク君に服を剥ぎ取られ、抵抗する間もなく押し倒された。
そのまま全身を舐められ、撫でられ、体が敏感に反応するところを全て暴かれた。
後ろの窄まりには彼の指が深く這入り込み、僕の体が跳ねるところを集中的に苛めてくる。
じゅぶじゅぶと音を立てて抜き差しされて羞恥に体が赤く染まる。
嫌だと首を横に振るけど、さっきから根気よく舌で蕩かされ続けた蕾は、僕の意思に反して柔軟に指を受け入れ喜ぶように締め付けていた。
「ぃっ、イ、く、……も、イっちゃう、から」
そそり立った僕の陰茎も、先ほどから弄ぶように扱き上げられている。
時折り彼が顔を下げて舐めしゃぶってくるのだから堪らない。
前と後ろを同時に刺激されて僕が泣き叫ぶと、彼は困ったように笑った。
「もうちょっと我慢しましょう?もっと気持ちよくしてあげますから」
「も……、や、だ、ぁ、ああ、ゃ、あ゛!」
ぐり、と一際強く内壁を押し上げられて、腰が大きく跳ねる。
だけどそれと一緒に性器を戒めるように握り込まれて、口から汚い声が漏れる。
解放させてもらえないことが辛くて、喘ぎながらしゃくりあげると、エスク君がそっと耳元に唇を近づけてきた。
「……じゃあ、俺が子供じゃないって言ってくれますか?」
「言う……、言う、から、ぁ、ああ、あっ!」
僕の性器を握った指が、ぐりぐり先端をいじる。
「良かった……俺が大人だって認めてくれるなら、番になれますね」
「で、でも、エスク君、」
エスク君は吊り上げて笑みの形にしていた唇を戻すと、真剣な眼差しで僕のことを射抜く。
思わず困惑の声を上げた僕に、そっと触れるだけのキスが落とされた。
後孔を穿っていた指が抜き去られて、僕の足が大きく割り開かれた。
指の代わりに押し当てられたのは、熱い感覚。
「俺はルスさんが好きです。飽きたらいつでも捨てて頂いて結構です……だから、俺を番にしてください」
苦し気な声で囁かれて。
彼の言葉に応える前に、熱い塊が僕の中に這入り込んできた。
竜族の恋は激しい。
普通の竜族は、「その人」を見つけたら番にするまで決して諦めない。
竜族が竜族に恋することはめったになくて、いつだって他の種族に恋をする。
だから世界各地にお姫様を攫った竜の物語があって、それを聞くたびに「僕は絶対に嫌がる相手を無理やり誘拐しない」と心に堅く誓った。
なのに、その『お姫様』に___篭絡されてしまうなんて。
僕をきつく抱きしめて眠るエスク君の寝顔を見ながら、僕はため息をついた。
彼は既にこの国だと成人しているって言っていた。
結婚すらできると。
でも、それでもきっとまだ若すぎる。
それに彼が呟いていた言葉の数々も気になることばかりだ。
なんで彼が僕の番になりたいと言ったのか分からないし、もしかしたら周囲から何か言われたのかもしれない。
だけど……それでも彼を手に入れてしまった。
手に入れられてしまった、と言うべきなのかもしれない。
彼の腕の中で身じろぎをすると、彼の太い腕に力が籠る。
その、まるで逃がさないように捕らえる仕草に胸が高鳴る。
僕の勘違いかもしれないけれど、まるで僕のことを好きだと言っているような仕草に胸が締め付けられて。
とりあえず今は、愛おしい番の寝顔をただ見ていたいと思った。
-------------
ルス:ぼんやりした土竜。この後も、エスク君が自分の番になったのは誰かに言われたせいかと思って暫くもやもやする。エスク君が幼いから…という理由で『竜の巣』へ連れて行かないようにしていて、エスク君が他の人の目に触れることに内心ヤキモキする。
エスク:ルスが竜人なのは割と早めに気が付いていた。ルスが自分と寝るのは、アスファーへの当てつけだと思っている。『竜の巣』へ連れて行かれないのは、番とは言ってもそれほど求められてはいないんだろう……と内心しょぼんとしてる。ルスに釣り合いたくて将来出世する。
呆然としている僕に構わず、エスク君の視線がじっと僕に注がれる。
愁いを帯びた瞳のまま、彼は口を開いた。
「風竜様は、あちこちにお情けを掛けているようです」
「そう、らしいね……?」
確かにアスファーは風竜というその気質のせいか恋愛事に関して軽薄だ。
番ができれば変わるのだろうけど、今だ見つからないせいもあってか大分遊んでいる。
それは良く知っているつもりだけど……でも何で急にアスファーのことを?
まさかアスファーのことが気になるとか言わないよね。
僕の中で嫉妬の炎がめらりと上がる。
だけど不審に思いながら頷く僕に、エスク君は言葉を重ねた。
「それならば、あなたが少し火遊びをしても許されるでしょう」
「へ、僕が……火遊び? え?」
火遊び?
火遊びってなんだ。
この会話の内容だと、その、恋愛的な意味に聞こえてしまうんだけど。
でも僕が好きなのは生涯エスク君だけで、浮気をする気は一切ない。
混乱する僕をよそに、エスク君は再び僕に向かって手を伸ばしてくる。
そっと手を握られて心臓が跳ねた。
「風竜様がお怒りになるなら、その怒りは俺が受けます。切り裂かれても構いません。俺だけを見て欲しいなんて、決して言いません。立場は弁えますし物分かりはいいつもりです。だから……ダメ、ですか?」
低い声でそっと囁かれる。
何で彼は、こんな僕を唆すようなことを言うんだ。
彼の物言いだとまるで……彼が僕に身を差し出すみたいじゃないか。
「や、その、アスファーは関係ない。それにエスク君が切り裂かれそうになったら、絶対に僕が命を懸けて守るよ。それよりエスク君、自分が言ってる意味、ちゃんと分かってる?」
子供の彼は、この間の行為の意味が分かっているんだろうか。
そして王様に言われたから、だからこうやって僕のもとに来て、僕を誘っているんだろうか。
アスファーが言った通り、竜人族である僕に逆らえなくて。
でなければ、こんなまるで愛人に進んでなるような言葉を吐くわけがない。
ようやく思い当たったことに言葉を詰まらせる。
彼の嫌がることはしたくなくて、理知的に振る舞いたくて彼を呼んだのに……。
だけど困惑する僕を見て、エスク君は少し瞳を緩めてほほ笑んだ。
「俺を守るだなんて、やっぱりルスさんは優しいですね」
握られている手をそっと撫でられる。
たったそれだけのことで背筋にぞくりとした甘い痺れが走った。
「俺は、あなたのように優しくはないです。あなたが弱っているなら付け入ります。……ねぇ、ルスさん。俺では、一時の慰めにもなりませんか?」
そっと囁かれて、甘い毒を思わせる声が鼓膜を揺らす。
その毒が僕の耳から脳を溶かして、心を絡めとる。
「風竜様は傍にいて下さらないのでしょう?俺なら、ずっと傍にいます。あなたの言うことなら何でも聞きます」
「……なんでも?」
僕の手を撫でていた彼が、その手を持ち上げて、僕の手の甲に口付ける。
でも僕は彼の吐き出した言葉を思わず呆然と繰り返してしまった。
呆けたような僕に、エスク君は口の端を吊り上げた。
「もちろんです。風竜様がして下さらないことを、全てします。どんなことでも」
エスク君は、僕が彼の甘い誘惑に心が揺れているのに気が付いているのか、甘美な言葉を重ねる。
そして僕は、ダメだと分かっていながら、本音をぽろりと零れださせてしまった。
「なら僕、エスク君のこと、番にしたい」
僕の口から出た言葉は、思いがけず包み隠さない本心で、その言葉にエスク君は大きく目を見開いた。
「俺を……番に?」
呆然としたような声が響く。
その声に、僕は少しだけ我に返った。
だけど僕が自分の言葉を慌てて否定する前に、彼が口を開く。
「その、竜人の番は生涯に一人だけだと伝承にあったのですが……本当は何人でも作れる、のですか?」
何人もって、番を?
そんなことありえるはずがない。
番は僕たち竜人族には特別な存在で、一目見た時から心が囚われる存在だ。
「そんなわけないよ。僕たちは番を作ったら一生浮気はしないし、させない」
番を作って、でもその番と二人きりでいられないなんて想像すらしたくない。
竜人族には浮気はあり得ない。
誰かに心が動くことなんて絶対にない。
そして、相手にも同じだけの愛を求めて束縛する。
思わず熱が入った僕の言葉に、エスク君が息を小さく吸い込む。
唾を嚥下する音が小さく響いた。
「じゃあ本当に、俺を番にしてくれるんですか? たった一人の?」
そして彼の言葉に、僕はようやく自分の口から出てきた言葉を自覚した。
「ごめん! そんなこと言うつもりなかったのに、思わず……」
否定の言葉を吐いて逃げようとするけど、僕が言い終わる前にエスク君は強く僕の手を握る。
まるで逃がさないとでも言う様な握力に、ひ弱な僕の手が少し痛んだ。
そして、彼は信じられない言葉を口にした。
「思わずでも何でもいいです。俺を、番にしてください」
「いやいや何言ってるの。ダメだよ、エスク君はまだ子供なんだから!もし王様に何か言われたんなら、気にしなくていいんだよ。もし嫌でも竜人族の相手をしてこいとか言われてるなら、僕がそんなこと必要ないって言うから、」
「国王は関係ありません。さっきの言葉を口にしたってことは、一瞬でも俺をあなたの番にしたいって思ったってことでしょう?」
「それはそうだけど、でもダメだって!子供をそんな風に誑かせないよ!」
僕が叫ぶように言うと、エスク君はまるで拗ねたように口を尖らせて。
ぽろりと信じられないことを口にした。
「子供って……、まだ若年でも俺だって成人しています」
「え、んん? 成人?」
「竜人様から見たら若いかもしれないですけど、これでもこの国では結婚だってできます」
「え、え、え、結婚? え?」
エスク君の言葉が理解できない。
いや、意味は理解できるんだけど頭が追い付かない。
だって彼はまだ18歳で、それは竜人族にとっては生まれたての子供みたいなもので、下手したら殻すらついてるかもしれないくらい幼くて。
なのにこの国では成人していて結婚だってできる?
僕が呆然として彼の顔を凝視していると。
「それとも子供って、俺が技量不足っていう意味ですか? この間のでは満足していただけなかった?」
彼の綺麗な瞳が細められて、剣呑な光が宿る。
彼はゆったりとした仕草で立ち上がると、ソファに座ったままだった僕を腕に抱え上げた。
「でしたら、今度こそ……ちゃんとルスさんが満足するまで尽くさせてください」
大股で部屋を横切り、ベッドの上に降ろされて、唇を奪われる。
ダメ、待ってと上擦った声で制止をしたけれど、その言葉ごと彼の口の中に溶けていった。
熱い舌が口の中の柔らかい部分を舐め、かき混ぜ、飲み込み切れない唾液が溢れて顎を伝う。
ようやく口付けが解かれた時には、僕の体からは力が抜けてぐにゃぐにゃになってしまっていて。
まともな思考が保てたのは、そこまでだった。
「っ、ぁあ、ああ!」
「気持ちいい、ですか?」
雄の顔をしたエスク君に服を剥ぎ取られ、抵抗する間もなく押し倒された。
そのまま全身を舐められ、撫でられ、体が敏感に反応するところを全て暴かれた。
後ろの窄まりには彼の指が深く這入り込み、僕の体が跳ねるところを集中的に苛めてくる。
じゅぶじゅぶと音を立てて抜き差しされて羞恥に体が赤く染まる。
嫌だと首を横に振るけど、さっきから根気よく舌で蕩かされ続けた蕾は、僕の意思に反して柔軟に指を受け入れ喜ぶように締め付けていた。
「ぃっ、イ、く、……も、イっちゃう、から」
そそり立った僕の陰茎も、先ほどから弄ぶように扱き上げられている。
時折り彼が顔を下げて舐めしゃぶってくるのだから堪らない。
前と後ろを同時に刺激されて僕が泣き叫ぶと、彼は困ったように笑った。
「もうちょっと我慢しましょう?もっと気持ちよくしてあげますから」
「も……、や、だ、ぁ、ああ、ゃ、あ゛!」
ぐり、と一際強く内壁を押し上げられて、腰が大きく跳ねる。
だけどそれと一緒に性器を戒めるように握り込まれて、口から汚い声が漏れる。
解放させてもらえないことが辛くて、喘ぎながらしゃくりあげると、エスク君がそっと耳元に唇を近づけてきた。
「……じゃあ、俺が子供じゃないって言ってくれますか?」
「言う……、言う、から、ぁ、ああ、あっ!」
僕の性器を握った指が、ぐりぐり先端をいじる。
「良かった……俺が大人だって認めてくれるなら、番になれますね」
「で、でも、エスク君、」
エスク君は吊り上げて笑みの形にしていた唇を戻すと、真剣な眼差しで僕のことを射抜く。
思わず困惑の声を上げた僕に、そっと触れるだけのキスが落とされた。
後孔を穿っていた指が抜き去られて、僕の足が大きく割り開かれた。
指の代わりに押し当てられたのは、熱い感覚。
「俺はルスさんが好きです。飽きたらいつでも捨てて頂いて結構です……だから、俺を番にしてください」
苦し気な声で囁かれて。
彼の言葉に応える前に、熱い塊が僕の中に這入り込んできた。
竜族の恋は激しい。
普通の竜族は、「その人」を見つけたら番にするまで決して諦めない。
竜族が竜族に恋することはめったになくて、いつだって他の種族に恋をする。
だから世界各地にお姫様を攫った竜の物語があって、それを聞くたびに「僕は絶対に嫌がる相手を無理やり誘拐しない」と心に堅く誓った。
なのに、その『お姫様』に___篭絡されてしまうなんて。
僕をきつく抱きしめて眠るエスク君の寝顔を見ながら、僕はため息をついた。
彼は既にこの国だと成人しているって言っていた。
結婚すらできると。
でも、それでもきっとまだ若すぎる。
それに彼が呟いていた言葉の数々も気になることばかりだ。
なんで彼が僕の番になりたいと言ったのか分からないし、もしかしたら周囲から何か言われたのかもしれない。
だけど……それでも彼を手に入れてしまった。
手に入れられてしまった、と言うべきなのかもしれない。
彼の腕の中で身じろぎをすると、彼の太い腕に力が籠る。
その、まるで逃がさないように捕らえる仕草に胸が高鳴る。
僕の勘違いかもしれないけれど、まるで僕のことを好きだと言っているような仕草に胸が締め付けられて。
とりあえず今は、愛おしい番の寝顔をただ見ていたいと思った。
-------------
ルス:ぼんやりした土竜。この後も、エスク君が自分の番になったのは誰かに言われたせいかと思って暫くもやもやする。エスク君が幼いから…という理由で『竜の巣』へ連れて行かないようにしていて、エスク君が他の人の目に触れることに内心ヤキモキする。
エスク:ルスが竜人なのは割と早めに気が付いていた。ルスが自分と寝るのは、アスファーへの当てつけだと思っている。『竜の巣』へ連れて行かれないのは、番とは言ってもそれほど求められてはいないんだろう……と内心しょぼんとしてる。ルスに釣り合いたくて将来出世する。
この作品は感想を受け付けておりません。
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