私は元カレの都合のいい女です

鈴ーりんー

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●隆也の本気の恋

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隆也が本気で好きになる相手は、自分だと思っていた。

私が隆也の初恋の相手になると思ってたんだ。


今は違っても、私が隆也に本気で好きになってもらえるようにがんばる!!と決意してた。

実際思いつく限りの努力はしていた。



だけど隆也は昨日初めて会ったまどかに恋をした。

私がどんなにがんばっても得られなかった隆也の気持ちを、まどかは何の努力もせずに簡単に得たのだ。



悲しかった。


空しかった。




そしてすごく、まどかがうらやましかった―――


「まどかの・・・どこがそんなに良かったの??」


無理やり、作り笑いをして隆也に聞く。

顔がひきつりそうだ・・・


涙がボロボロ出そうになるのを必死にこらえているから、目の横がピクピク痙攣する。


でもまどかの一体何が良かったのか、私は心底知りたかった。


「・・・実はよくわかんないんだ・・・」

「何よ、それ?」

「初めて見た瞬間から何か変だった・・・ドキドキしたんだ。まどかちゃんの事をずっと見てたいんだけど、見ていられないっていうか・・・」

「一目惚れ・・・?」

「あぁ・・・たぶんそうかも。でもファミレスで話したら、もっと好きになったみたいなんだ。何か全てが眩しい感じで」


私は再び、頭を抱えたい気分になった。


・・・自分を悔やんだ。



何で私はまどかをファミレスに誘ってしまったんだろうか。



もしあのまま歩道で別れたいたら、隆也はまどかをここまで好きにならなかったかもしれないのに・・・



「それから頭の中から、まどかちゃんが出て行かないんだ・・・何か今まで感じた事のない感情なんだよ」

「感じたことのない感情・・・?」

「うん。何か切ないみたいな感じ」

「・・・・それって恋だね・・・」

「だよな・・・」


隆也は戸惑ったようにうつむいて、頭を掻いた。


テーブルの上のカフェモカは冷めてしまって、湯気も弱々しい。

何だか私の気持ちみたいで、カップをぶっ壊したくなってくる。



今思うと、隆也はまどかと会った日、ファミレスで様子がおかしかった。

ずっと無口で、おかわり自由のコーヒーばっかりガブガブ飲んでいた。


いつもは人見知りなんてしないのに。

バカな事ばっかり言って、ふざけまくるのに。


その時、隆也は恋をしてたんだね。―――



つきあってる私にじゃなくて、私の大親友のまどかに・・・



隆也は既に氷が解けてしまった水を、1口飲む。


そして決意したように私の顔を、まっすぐ見据えて言った。


「こんな気持ちで、もう由希とはつきあえない。別れて欲しいんだ」

「え・・・」


多少予想はしていたとはいえ、やっぱりショックだった。

一瞬、息ができなくなる。



だって、私の気持ちはどうなるの?


私はまだ隆也が大好きなのに。

隆也がまどかを好きなように、私も隆也を好きなのだ。


たぶん隆也がまどかを好きな気持ちより、私の方が隆也を好きな気持ちの方がずっと大きいんだよ・・・


気持ちの大きさには、負けないのに。



それなのに・・・

それなのに・・・

別れないといけないの?

嫌だよ!

嫌だよ!!

絶対別れたくない!!


心の中では叫び出したいほど、言葉がうずまいている。



だけど私の口から出てきた言葉は・・・違った。


「わかった・・・じゃ、私は隆也とまどかとの恋を協力するよ」

「え・・・?」


隆也がビックリしたように口を開けて、ポカンとしている。


自分でも何を言ってるんだろうと思ったくらいだ。


隆也には余計、訳がわからなかっただろう。



「いいよ・・・私とは、友達になろう。まどかとの恋を協力してあげるから」


改めて、私は静かに言った。


たぶん私が今『別れたくない』と言っても、隆也は私と強引に別れようとするだろう。

もう隆也は私には、全然気持ちがないんだから。


それに隆也は一度決めたことは絶対曲げない。


ここで『別れない』とごねて、もう隆也に会えなくなるより、まどかとの恋を協力する友達としてこれからも隆也に会えるほうが何倍もいい。



隆也に会えなくなる方が私は嫌だ―――

「・・・マジで?」

隆也が確認するように、聞く。

私は作り笑いで、ゆっくりとうなずいた。


「助かるよ~~!!俺、まどかちゃんの連絡先とか知らないしさ!由希に協力してもらえると助かる♪」


隆也が安心したように、息をついて言う。



私が隆也の事をどう思ってるか。

私がどういう気持ちでこんな事を言ったのか、隆也は考えてくれもしないんだね・・・



最低な男・・・



それでも私はこの最低な男が好きなのだ―――
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