私は元カレの都合のいい女です

鈴ーりんー

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●身体だけの関係

2

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「なぁに!?あれ・・・」


まどかの背中が見えなくなったのを確認してから、水瀬が眉をひそめて言った。


「何が?」

「何がって、まどかだよ!何だかすごく感じ悪いんですけど!!」

「そうかな?」

「そうだよ!由希はそう思わない?」


水瀬は、まどかの事がかなり嫌いみたいだ。

まどかが来ても決して口をきかない。

あまり人の事を嫌ったり、悪口を言ったりしない水瀬なのに珍しい。


「ねぇねぇねぇ!」

「何よ?」


水瀬が顔を近づけて、小声で呼びかけてくる。


「本当にまどかに、ばれてない?」

「何が?」

「由希が隆也君と体の関係がまだあること・・・」


ますます声をひそめて言う水瀬。


「絶対ばれてないと思うけど・・・でも何で?」


水瀬は考え込むように、視線を上に泳がせた。

もう空っぽのアイスコーヒーのグラスを、ストローで無意味に突っついている。


「う~~ん・・・うまく言えないけど、何か由希をチクチク傷つけているように見えるんだよね・・・何か意味深にさ・・・」

「え~~気のせいでしょ?」


私は笑った。


まどかに限ってそれはないと思う。

皮肉や嫌味というものに、まどかは縁がない。


でも例え、まどかにそうされても仕方ない事を、私はやっている。


―――隆也と別れた後も身体だけの関係はあるんだから


大事な親友の彼氏と体の関係が続いてる。

親友を裏切って・・・



私はまどかに殴られても仕方がないくらいの事をしている。



「私はまどか嫌いだから!」


水瀬がキッパリと言った。


「前から思ってたけど何で?
水瀬はあまり人の事を嫌ったり、悪口言わないのに、まどかの事はどうして嫌いなの?」


私は水瀬をたしなめるように、聞いた。


「由希の大好きな隆也君を取ったからっていうのもあるんだけど・・・」

「水瀬。でもさ、私が自分からまどかを隆也に紹介したんだよ」


水瀬がそんな風に言ってくれるのが、うれしくもあった。


「何か・・・うまく言えないんだけど、まどかって何かしたたかっぽい計算たかそうな感じがするの」

「え~~!!まどかが!?」

「うん。時々すごく冷たい目をしてるときあるし。
何だか底知れぬ怖さを感じる・・」

「水瀬、人を見る目ないね~~」


私は水瀬の鼻を人差し指で、ウリウリとからかうように突っついた。


だけど水瀬は笑わなかった。


「悪いけど、私は人を見る目だけはあると思うんだけど」


私は『はいはい』と軽く言うと、空になったグラスを片付ける為に立ち上がった。




水瀬と学食で別れて、私は家に帰る事にした。

どこかに寄り道する気分ではなかった。


でも1人になると、不安な気持ちが襲ってくる。


“今頃まどかと隆也は会っているのだろうか”

“そして笑いあっているのだろうか”

“手をつないでいるのだろうか”


頭の中にそんなことばかり浮かんで、想像してしまう。


私は唇を噛んで、思わずうつむく。

隆也と私は今でも身体だけは結ばれる関係だけど、体は満たされても、心は全く満たされない。


隆也の心は、まどかでいっぱいだから。

まどかの事しか見えていないから。


私は隆也の心が一番欲しいと願っているのに。



すごくむなしい関係だけど、抜け出せない―――
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