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●シュンの過去
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「ん・・・」
肩に感じたかすかな肌寒さで、目を覚ました。
“あれ・・・?”
一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
キョロキョロ周りを見渡すと、隣にシュンの姿。
シュンはベッドの上に座って、真剣な顔で何か考えてる様子だ。
“そっか・・・シュンと抱き合って、そのまま寝てしまったんだ・・・”
ようやく意識がはっきりしてきて、私はシュンの胸にくっついた。
「起きちゃった?」
シュンがこっちを向いて、微笑んだ。
「うん、何かちょっと肩が肌寒くて起きた」
「だよな?由希ちゃん、すげー寝相悪いんだもん。何回タオルケットかけてやっても、すぐはいじゃうの」
「え!!自分じゃわからないもん」
シュンはクスクス笑いながら、タオルケットを私の肩までかけてくれた。
時計を見ると、夜中の2時だった。
こんなに眠っていたんだ。
「シュン、さっきからずっと起きてたの?」
「ん・・・まぁ、何か眠れなくて。由希ちゃんの寝顔ずっと見てた」
「なんか恥ずかしいな」
「由希ちゃん、よだれ出まくりだったよ」
「嘘!?」
「嘘だよ」
そう言って、シュンは私の頭をくしゃっと撫でた。
「シュン」
「ん?」
「さっき、何考えてた?」
「え?」
「だってすごい真剣な顔してたよ」
さっき目覚めた時に見たシュンの真剣な顔、すごく声がかけづらかった。
何だかちょっと怖かった。
シュンは困ったように下を向いた。
そしてふうっと息をつくと、言った。
「隆也さんの事、考えてた」
「え?隆也の事!?」
私が驚いて声を上げると、シュンは困ったような顔で笑った。
「何で?」
「由希ちゃんさ、すごく隆也さんの事が好きだったじゃん?何かそれがわかるような気がするなぁ・・・なんて思ってた」
「何でそんな事言うの?」
今シュンがこんな事を言う理由がさっぱりわからなかった。
“私はシュンを不安にさせている・・・!?”
「隆也さんのバーで、俺バイトしてたじゃん?」
「うん」
「隆也さんってちゃらんぽらんに見えるけど、結構しっかりしてるんだよな」
「そうなの?」
シュンが笑って、うなずいた。
私と隆也がつきあってたときは、私は隆也のバーへは行ったことはなかった。
一応私は未成年だし、隆也も私を連れて行こうとはしなかったから。
でも隆也がどういうふうに仕事をしているのかは、ずっと気になっていた。
「隆也さん厳しいけど、みんなに好かれてたよ。自らいろいろ動いてたし」
「そうなんだ・・・」
何だかわかるような気がする。
隆也は人見知りもしないし、仕事だけは真剣に一生懸命やっていたみたいだったから。
「隆也さん、もててたよ。客にも。女だけじゃなく、男にももててたんだ。ゲイの客にも言い寄られてたし」
「え!」
「女癖はあまり良くなかったけど、隆也さんはみんなに好かれてたよ。そういうとこに由希ちゃんは惚れたのかなぁ・・なんて考えてたら、何だか眠れなくなってしまったんだ」
「シュン・・・」
明るい口調とは裏腹に、シュンはすごく寂しそうな顔をしていた。
「もう隆也の事はいいじゃない。もう連絡とってないし、私はこうやってシュンといるんだから」
私の言葉に、シュンは少し困ったように笑った。
そしてふうっと息をつくと、言った。
「わかってる・・・でも何か、怖いんだ・・・」
シュンの発した一言の意味が、私はわからない。
「シュン、何が怖いの?」
「こうやって由希ちゃんと心も体も1つになれたのが、すごくうれしい。でもその反面怖い」
「何で?」
「もっともっと由希ちゃんが好きになった。好きになった分、由希ちゃんを失ってしまうのが怖い」
私は体を起こした。
シュンの顔を改めて見る。
シュンは心配そうな、不安そうな顔をしている。
何で怖いの?
何で不安なの?
私はわからなかった。
こうやって私はシュンの側にいるのに―――
肩に感じたかすかな肌寒さで、目を覚ました。
“あれ・・・?”
一瞬、自分がどこにいるのかわからなかった。
キョロキョロ周りを見渡すと、隣にシュンの姿。
シュンはベッドの上に座って、真剣な顔で何か考えてる様子だ。
“そっか・・・シュンと抱き合って、そのまま寝てしまったんだ・・・”
ようやく意識がはっきりしてきて、私はシュンの胸にくっついた。
「起きちゃった?」
シュンがこっちを向いて、微笑んだ。
「うん、何かちょっと肩が肌寒くて起きた」
「だよな?由希ちゃん、すげー寝相悪いんだもん。何回タオルケットかけてやっても、すぐはいじゃうの」
「え!!自分じゃわからないもん」
シュンはクスクス笑いながら、タオルケットを私の肩までかけてくれた。
時計を見ると、夜中の2時だった。
こんなに眠っていたんだ。
「シュン、さっきからずっと起きてたの?」
「ん・・・まぁ、何か眠れなくて。由希ちゃんの寝顔ずっと見てた」
「なんか恥ずかしいな」
「由希ちゃん、よだれ出まくりだったよ」
「嘘!?」
「嘘だよ」
そう言って、シュンは私の頭をくしゃっと撫でた。
「シュン」
「ん?」
「さっき、何考えてた?」
「え?」
「だってすごい真剣な顔してたよ」
さっき目覚めた時に見たシュンの真剣な顔、すごく声がかけづらかった。
何だかちょっと怖かった。
シュンは困ったように下を向いた。
そしてふうっと息をつくと、言った。
「隆也さんの事、考えてた」
「え?隆也の事!?」
私が驚いて声を上げると、シュンは困ったような顔で笑った。
「何で?」
「由希ちゃんさ、すごく隆也さんの事が好きだったじゃん?何かそれがわかるような気がするなぁ・・・なんて思ってた」
「何でそんな事言うの?」
今シュンがこんな事を言う理由がさっぱりわからなかった。
“私はシュンを不安にさせている・・・!?”
「隆也さんのバーで、俺バイトしてたじゃん?」
「うん」
「隆也さんってちゃらんぽらんに見えるけど、結構しっかりしてるんだよな」
「そうなの?」
シュンが笑って、うなずいた。
私と隆也がつきあってたときは、私は隆也のバーへは行ったことはなかった。
一応私は未成年だし、隆也も私を連れて行こうとはしなかったから。
でも隆也がどういうふうに仕事をしているのかは、ずっと気になっていた。
「隆也さん厳しいけど、みんなに好かれてたよ。自らいろいろ動いてたし」
「そうなんだ・・・」
何だかわかるような気がする。
隆也は人見知りもしないし、仕事だけは真剣に一生懸命やっていたみたいだったから。
「隆也さん、もててたよ。客にも。女だけじゃなく、男にももててたんだ。ゲイの客にも言い寄られてたし」
「え!」
「女癖はあまり良くなかったけど、隆也さんはみんなに好かれてたよ。そういうとこに由希ちゃんは惚れたのかなぁ・・なんて考えてたら、何だか眠れなくなってしまったんだ」
「シュン・・・」
明るい口調とは裏腹に、シュンはすごく寂しそうな顔をしていた。
「もう隆也の事はいいじゃない。もう連絡とってないし、私はこうやってシュンといるんだから」
私の言葉に、シュンは少し困ったように笑った。
そしてふうっと息をつくと、言った。
「わかってる・・・でも何か、怖いんだ・・・」
シュンの発した一言の意味が、私はわからない。
「シュン、何が怖いの?」
「こうやって由希ちゃんと心も体も1つになれたのが、すごくうれしい。でもその反面怖い」
「何で?」
「もっともっと由希ちゃんが好きになった。好きになった分、由希ちゃんを失ってしまうのが怖い」
私は体を起こした。
シュンの顔を改めて見る。
シュンは心配そうな、不安そうな顔をしている。
何で怖いの?
何で不安なの?
私はわからなかった。
こうやって私はシュンの側にいるのに―――
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