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●シュンの過去
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「俺ね、昔すごく好きだった人がいたんだ」
シュンの言葉に、思わず体を震わせた。
でも言葉を返さず、私はシュンの話を黙って聞く。
「本当にすごく大好きだった。だけどその子には彼氏がいてさ、またその彼氏がろくでもなくて、浮気や借金でしょっちゅうその子を悩ませてた」
「・・・」
「だけどその子はそいつを忘れて、俺とつきあうって言ってくれた。すげーうれしかった。そして付き合い始めた。毎日すごく幸せだった」
シュンが当時を思い出すように、微笑んだ。
すごくその子の事を好きだったんだろうなぁ・・・
シュンの表情から、それが伝わってきた。
「だけどその子が俺とつきあいはじめた途端、そいつはその子が惜しくなったんだろうな。その子に再び猛烈にアプローチし始めて、結局その子は俺にこう言ったんだ・・・」
シュンが次に言う言葉が、私にはわかるような気がした。
「やっぱり元彼が忘れられない・・・って」
私はシュンの苦しさを感じて、目を閉じた。
「でもさ、その元彼とその子がその後に幸せになってくれれば良かったんだ。だけど・・・」
・・・・・嫌な予感がした。
「元彼はその子を借金の保証人にして、他の女と逃げちまったんだ。元彼にしたら、自分を捨てようとしたその子に対して、復讐したんだろうな・・・」
「ひどい・・・、何それ・・・」
私はあまりにもひどい仕打ちに、思わず言葉をもらした。
それってひどい。
ひどすぎる。
「その子、ソイツの借金返すためにすげーがんばってた・・・朝から夜まで働いてさ。でもそんな生活で心身ともに疲れ果ててしまったんだろうな・・・」
シュンはそう言って、ため息をついた。
当時を思い出しているのだろう・・・
自分の好きな人が、最低な男の為に一生懸命苦労して働いている。
見てる方もつらいだろう。
心が痛かっただろう。
「その子、とうとう睡眠薬一気飲みして、自殺図ったんだ・・・」
「え・・・」
私は言葉を失った。
シュンは苦しそうに顔を歪めて、先を続ける。
「幸い発見が早くて、命に別状はなかったんだけどさ。でもね、体は回復しても、心は治らなかった。借金は彼女の親が全部肩代わりして、北海道の実家に戻っていった」
そんな事があったんだ。
シュンと出会った当時に、シュンが『もう恋なんてする気になれない』と言っていたことを思い出した。
「もちろん、その子がさ、元彼に戻ってしまったのも嫌だったし、つらかった。だけどそれ以上につらかったのが、その子が苦労して、追い詰められていたのに、助けてあげられなかったし、何もしてあげられなかった事なんだ・・・」
「シュン・・・」
シュンのつらそうな顔を見てるのは、私もすごくつらかった。
シュンの言葉に、思わず体を震わせた。
でも言葉を返さず、私はシュンの話を黙って聞く。
「本当にすごく大好きだった。だけどその子には彼氏がいてさ、またその彼氏がろくでもなくて、浮気や借金でしょっちゅうその子を悩ませてた」
「・・・」
「だけどその子はそいつを忘れて、俺とつきあうって言ってくれた。すげーうれしかった。そして付き合い始めた。毎日すごく幸せだった」
シュンが当時を思い出すように、微笑んだ。
すごくその子の事を好きだったんだろうなぁ・・・
シュンの表情から、それが伝わってきた。
「だけどその子が俺とつきあいはじめた途端、そいつはその子が惜しくなったんだろうな。その子に再び猛烈にアプローチし始めて、結局その子は俺にこう言ったんだ・・・」
シュンが次に言う言葉が、私にはわかるような気がした。
「やっぱり元彼が忘れられない・・・って」
私はシュンの苦しさを感じて、目を閉じた。
「でもさ、その元彼とその子がその後に幸せになってくれれば良かったんだ。だけど・・・」
・・・・・嫌な予感がした。
「元彼はその子を借金の保証人にして、他の女と逃げちまったんだ。元彼にしたら、自分を捨てようとしたその子に対して、復讐したんだろうな・・・」
「ひどい・・・、何それ・・・」
私はあまりにもひどい仕打ちに、思わず言葉をもらした。
それってひどい。
ひどすぎる。
「その子、ソイツの借金返すためにすげーがんばってた・・・朝から夜まで働いてさ。でもそんな生活で心身ともに疲れ果ててしまったんだろうな・・・」
シュンはそう言って、ため息をついた。
当時を思い出しているのだろう・・・
自分の好きな人が、最低な男の為に一生懸命苦労して働いている。
見てる方もつらいだろう。
心が痛かっただろう。
「その子、とうとう睡眠薬一気飲みして、自殺図ったんだ・・・」
「え・・・」
私は言葉を失った。
シュンは苦しそうに顔を歪めて、先を続ける。
「幸い発見が早くて、命に別状はなかったんだけどさ。でもね、体は回復しても、心は治らなかった。借金は彼女の親が全部肩代わりして、北海道の実家に戻っていった」
そんな事があったんだ。
シュンと出会った当時に、シュンが『もう恋なんてする気になれない』と言っていたことを思い出した。
「もちろん、その子がさ、元彼に戻ってしまったのも嫌だったし、つらかった。だけどそれ以上につらかったのが、その子が苦労して、追い詰められていたのに、助けてあげられなかったし、何もしてあげられなかった事なんだ・・・」
「シュン・・・」
シュンのつらそうな顔を見てるのは、私もすごくつらかった。
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