私は元カレの都合のいい女です

鈴ーりんー

文字の大きさ
72 / 83
●自分の気持ち

3

しおりを挟む
「実はさ、まどかが実家に帰っている日に、友達と渋谷で夜遊ぶ事になったんだ」

「うん」

「渋谷のラブホ街の近くに、俺のダチがやってるダーツバーがあるんだ。そこに行く事になったんだけど・・・」


隆也はそこで気持ちを落ち着かせるように、息をついた。


“何かよくない事が、隆也の口から語られる・・・”

そう私は予感した。



「そこのある1軒のラブホの前で、見たことのある奴とすれちがったんだ。俺も連れとしゃべってたから、あんまりよくはわからなかったけど・・・。でも急いで振り返ってみたら、見覚えのある後ろ姿でさ・・・」


隆也はそう言って、もう1回落ち着くように、息をついた。


そしてつぶやくように言った。


「まどか・・・だった・・・」


「はぁ!?」


私は隆也のあまりにもバカバカしい言動に、かなりうんざりした。


「あのさ・・・勘違いじゃないの?まどかに似てるような子、どこにでもいるでしょ?」

「確実にまどかだった・・・
まどかのしていたペンダント、友達がオーダーメイドで作ってくれた1点物なんだ・・・
まどかはそれしてた・・・」

「それにさ、仮にまどかだとしても、ラブホ街の近くの飲み屋とかカフェに行くところだったかもしれないでしょ?別にそんなに悩む事じゃなくない?」


私は心底、あほらしいと思っていた。

隆也の心配しすぎだと思っていた。


「ああ、一人だったり、友達と一緒だったらそう思っただろうな。だけど、まどかは50くらいのスーツ着たおっさんと腕組んで、歩いてたんだよ・・・」

「・・・・・・」


言葉にならない驚きとは、こういう事かと私は思った。


「嘘でしょ!?」

「嘘じゃねぇよ!
こんな時に嘘つかないだろ!
まどかは俺に気づいてないみたいだった。そして楽しそうに、ちょっとしぶいオヤジと腕組んで歩いてたんだ」

「そんな・・・」

「俺はまどかを問い詰めるつもりで、友達と別れて、まどかの後を追ったんだ。でも俺の目に飛び込んできたのは、まどかとそのおっさんがラブホに入るまさに瞬間だったんだ・・・」



隆也はそう一気に言葉を吐き出すと、悲しさをぶつけるように、足元に転がっていた石をギュッと踏んだ。


「嘘みたいだろ・・・?」


そうつぶやくように言うと、隆也はその場にしゃがみこんでしまった。


私も信じられない想いでいっぱいだった。


何も言えずに、両手を強く握り締める。


だって隆也のプロポーズを受けるって言ってたんだよ・・・

まどかは隆也の事がスキだって言っていたじゃない。



何で?

何で、そんなまどかが、隆也以外の人とラブホに入るの?



相手は誰なんだろ・・・?

50くらいのおじさんって・・・


“まさかお金もらってそういうことをするワリキリってやつ・・・?”


考えていたら、全身に鳥肌が立ってきた―――

しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

大丈夫のその先は…

水姫
恋愛
実来はシングルマザーの母が再婚すると聞いた。母が嬉しそうにしているのを見るとこれまで苦労かけた分幸せになって欲しいと思う。 新しくできた父はよりにもよって医者だった。新しくできた兄たちも同様で…。 バレないように、バレないように。 「大丈夫だよ」 すいません。ゆっくりお待ち下さい。m(_ _)m

壊れていく音を聞きながら

夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。 妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪 何気ない日常のひと幕が、 思いもよらない“ひび”を生んでいく。 母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。 誰も気づきがないまま、 家族のかたちが静かに崩れていく――。 壊れていく音を聞きながら、 それでも誰かを思うことはできるのか。

10年前に戻れたら…

かのん
恋愛
10年前にあなたから大切な人を奪った

幼馴染

ざっく
恋愛
私にはすごくよくできた幼馴染がいる。格好良くて優しくて。だけど、彼らはもう一人の幼馴染の女の子に夢中なのだ。私だって、もう彼らの世話をさせられるのはうんざりした。

忘れ去られた婚約者

かべうち右近
恋愛
『僕はレベッカしか選ばない』 甘い声音でそう話したはずの王太子サイラスは、レベッカを忘れてしまった。 レベッカは、王太子サイラスと付き合っていることを、ある事情により隠していた。舞踏会で関係を公表し、婚約者に指名される予定だったのに、舞踊会の夜にサイラスは薬を盛られて倒れ、記憶喪失になってしまう。 恋人が誰なのかわからないのをいいことに、偽の恋人が次々と名乗りをあげ王太子の婚約者の座を狙ってくる。おかげで不信に陥ったサイラスに、レベッカは自分が恋人だと名乗り出せなくなってしまった。 サイラスの記憶喪失を解消するため、薬師兼魔女であるレベッカは恋人であることを隠しながら、事件調査を協力することになった。そうして記憶が戻らないまま二人の距離は再び近づいていく。だが、そんなおりにサイラスの偽の恋人を名乗りでた令嬢たちが、次々と襲われる事件も起き始めて……!? ※他のサイトにも掲載しています。 毎日更新です。

お久しぶりです旦那様。そろそろ離婚ですか?

奏千歌
恋愛
[イヌネコ] 「奥様、旦那様がお見えです」 「はい?」 ベッドの上でゴロゴロしながら猫と戯れていると、侍女が部屋を訪れて告げたことだった。

抱きしめて

麻実
恋愛
夫の長期に亘る不倫に 女としての自信を失った妻は、新しい出会いに飛び込んでいく。

戦いの終わりに

トモ
恋愛
マーガレットは6人家族の長女13歳。長く続いた戦乱がもうすぐ終わる。そんなある日、複数のヒガサ人、敵兵士が家に押し入る。 父、兄は戦いに出ているが、もうすぐ帰還の連絡があったところなのに。 家には、母と幼い2人の妹達。 もうすぐ帰ってくるのに。なぜこのタイミングで… そしてマーガレットの心には深い傷が残る マーガレットは幸せになれるのか (国名は創作です)

処理中です...