私は元カレの都合のいい女です

鈴ーりんー

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●自分の気持ち

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私はそのまま動く事ができなかった。


隆也の顔を見た瞬間、酔いは波が引くようにさめていった。

あんなに酔っていたのが嘘のようだ。


隆也までの距離、約5メートル。


このまま踵を返して、隆也に気づかれないうちに駅に戻ってしまおうと思った。

けれど、足は重い石を乗せられたように動かない。


そのうち隆也が私の気配に気づいたのか、ふと顔を上げた。


「よぉ」


隆也がそう言って、私の方を見て、軽く笑いながら右手を上げた。


まるで何事もなかったかのように・・・

いつもどおりの隆也だった。

自分からもう会わないと言っておいて、何でこんなに呑気に何事もなかったかのように私と顔を合わせられるのだろう?


隆也に対して、苛立ちを感じていた。


苛立ちをぶつけるように、隆也を睨む。


「・・・何か用?」


自分でも驚くくらい、冷たい声が出た。


私の視線と強い口調にさすがに気まずくなったのか、隆也は困った顔をした。

だけど、ゆっくりその場に佇んでいる私の前に来た。


「ごめん、いきなり来てさ・・・」

「そうだね。困る」

「何回も電話したんだけど、出ないからさ・・・」

「電話なんかしないで!もう私に用なんかないでしょ!?」


私はそう吐き捨てるように言った。


待ち伏せなんかして何なの?

わざと私の気持ちを試すためにやっているとしか思えない。

私の気持ちをかき乱すためにやっているとしか思えないよ!


「マジごめん・・・
でも、どうしても相談に乗ってもらいたくて・・・」

「また、まどかの事?」


私は心底うんざりした。


もう隆也の口からまどかの相談なんか聞くのは、本当に嫌だったのだ。

もういい加減にして欲しい。


「そうなんだよ。まどかの事。マジで俺、アイツの事がよくわかんなくなってさ」

「じゃ、直接まどかに聞いてみりゃいいじゃん。私に相談しても何も変わらないよ!私はまどかじゃないんだから!」

「由希、まどかから何も聞いてない?」

「聞いてないよ。そもそもまどかとも、最近全然会ってないし」

「由希も、最近まどかと会ってないのか・・・」


隆也はそうつぶやくと、考え込むように、視線を下に移した。


「まどか、実家でいろいろあったみたいで、大学にもあまり来られないって言ってたけど・・・隆也はまどかの彼氏なんだから、直接まどかに聞けばいいじゃん!!そんなのも聞けないわけ!?」


きつく言うと、隆也は黙ってしまった。

ちょっときつく言い過ぎてしまったかと、一瞬申し訳なく思った。


隆也もまどかに直接確かめたいのかもしれないけど、きっと怖いに違いない・・・


まどかの事が本当に好きだから―――


隆也はしばらく黙っていたけど、決意したように私の目を見て、話し出した。
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