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みえるものまもるものつかうもの陸
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「やあ、いらしゃい」
放課後、国語科準備室のドアをノックして開くと、先生が笑みを湛えて明のことを迎えた。中へ入るとふわっとコーヒーの匂いが明の身体を包む。
「ごめんね、インターンのことだよね。いやいや俺としたことが失念してたよ」
そう言いながら、先生は一枚のカラーチラシを明に差しだした。「シノノメ探偵社」と書かれたそのチラシは「探偵業務から雑用までなんでもやります!」と勢いの良いゴシック体が並んでいる。
「シノノメ探偵社」
「そう、田町くん、本宮くんの紹介だよね。なら本宮くんのインターン先なら、知り合いもいていいんじゃないかなっと思って」
久斗に連れていかれたシノノメ探偵社のレトロな事務所が脳裏に浮かぶ。同時に久斗の作り物みたいな微笑も浮かんでくる。瞬間的にイラっとして「他のところないんですか」と声を出した。
「あれ、もしかして本宮くんと仲悪い?」
「いや、いいも悪いも……別に知り合いとかじゃないです」
先生は明の様子をホットコーヒーを啜りながら、眼鏡越しに眺めている。
「そうなの? 仲悪いわけじゃないなら、シノノメ探偵社にしなさい。本宮くん以外にも勧めた理由はあるんだ」
先生はそう言うと、チラシの下部に記された「所長 東雲 戒」の文字を指で示した。
「東雲所長は祓師界でも有数の実力者でね、二級認定をされてる数少ない祓師だよ」
「はぁ……。でも俺、祓師になりたいわけじゃないです。そんな力もないし」
「誰も田町くんに祓師になってくれなんて言ってないじゃないか」
先生はまたコーヒーを啜る。わかってないなあという風に小さく頭を振る動作が気障ったらしいが、妙に似合う。
「君の安全をある程度保証できる男ってことさ」
「え?」
「見える力に目覚めたばかりの君は、バケモノたちにとっていい御馳走だよ。見えるだけの能力にしては、力が濃いしね。東雲所長なら、君に何かあってもどうにかしてくれるだろうからね。自分の安全のことを考えても、オススメするよ」
「いい御馳走」と言い切られ、あの日屋敷で見た怪奇現象を思い出す。久斗と同じところなどまっぴらごめんだと思いながら、先生にそこまで言われると頷くしかなかった。そもそも、先生の推薦を断ったところで、自分にはこの業界のコネなど微塵もないのだ。
「あと、このチラシを見たらわかると思うけど、シノノメ探偵社はバケモノ関連以外の何でも屋的なこともしていてね。そういう雑務をしてくれるパシ……インターン生を探していたんだよね」
「え? 今パシ……何って言いました?」
自分にとってよくないワードが聞こえた気がして、明は聞き返すが、先生からは笑顔しか返ってこない。
「何でもないよ! じゃあシノノメ探偵社には俺から連絡しておくから、インターン楽しみにしていてね」
前途多難な学校生活に、明はため息をつくしかなかった。
放課後、国語科準備室のドアをノックして開くと、先生が笑みを湛えて明のことを迎えた。中へ入るとふわっとコーヒーの匂いが明の身体を包む。
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「え?」
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「何でもないよ! じゃあシノノメ探偵社には俺から連絡しておくから、インターン楽しみにしていてね」
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