ファンタジー世界で運び屋やります。たまに戦います。

アズ

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第一章

05 遺跡 (続き)

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「どうやら相手はこっちから出てくるのを待っているらしいな」
 ウォルターがそう言ったのでケイブが質問する。
「そうなるとどうなるんだい?」
「敵の狙いが俺達の全滅ならとっくに俺達が到着する前にクラークは全滅してる筈だ。だとしたら敵の狙いはあくまでクラーク達がゲットしたレアアイテム。この寺院地下から俺達を出さないようにして少しずつ追い詰める気なんだろう」
「なら、ビルに連絡してみるか?」
「いや、ビルは今は来られないだろう。例えメッセージを送っても直ぐには来れない筈だ。他のカラーも同様だ。敵はそんなこと織り込み済みなんだろう」
「そうなると俺達はそいつらと戦うことになるんだね」
「そうなるな」
 ウォルターはクラークを見た。
「悪いが料金は上乗せしてもらう」
「あぁ、構わない」
 ウォルターは自分の武器、サブマシンガンを見た。アメリアはアサルトライフルを、ペニーとクラーク達の武器は自動拳銃を構えた。
「よし、行くぞ」



◇◇◇◇◆



「連中、動き出したようだよ」
 一つ目の仮面に黒耳に尻尾を装備した青髪にメイド服の女はスコープを覗きながら仲間へそう言った。
 その女の近くには3人の仮面をした仲間がいた。
 青のチャイナドレスに狐の仮面、背中に白いランスが光っている。
 もう一人は天狗の仮面に着物、下駄を履いた双剣使い。
 最後は黒のショートパンツにヘソを出した一番露出ある般若のお面をした女。その手にはボルトアクションライフル。
 この四人が脱出するクラーク達を狙っていた。
 般若は言う。
「狩りの時間だ」



◇◇◇◆◆



 最深部より上がって直ぐのフロアは広々とした暗闇の部屋で、柱が等間隔に沢山ある。最深部と違うのは石の棺が沢山置かれてあることだ。
 そこへ銃声が鳴り響いた。やはり、こちらから出てくるのを待っていたか。
 だが、相手がこんな暗闇の中で正確にこちらを狙えるとしたら…… 。
 ウォルターは仲間に合図をしライトの魔法を解除した。明かりを失った地下は一瞬で暗闇になるが、狙撃は止まなかった。
 だとすれば暗視ゴーグルか?
「全員目をふさげ」
 ウォルターは閃光手榴弾を投げた。
「よし、この間に階段へ急ぐぞ」
 だが、銃声はそれでも止むことはなかった。自分達の直ぐそばの柱に銃弾が当たる。
「なに!?」
「敵は暗視ゴーグルを使ってはなかったってことか」とケイブは言った。
「ちくしょう」
 階段までのルートは頭の中でこっちは記憶している。その階段はたった一つのみ。階段へのルートを狙いを定めているのなら、俺達を上へと行かせる気はないってことだ。
 ペニーは状況を察した。
「ウォルター、ここで敵と交戦するしかない」
「そのようだな」
 すると、クラークは「暗視ゴーグルを使おう」と提案する。
「敵の数や位置を正確に知りたい」
「それか部屋全体をライトの魔法で照らしてもいい。敵は暗闇の中での戦闘に慣れている。こっちにとっては不利な状況だ」
「分かった、任せる」
 ウォルターはライトの魔法を詠唱した。
 棺のある部屋全体が一気に照らされる。
「いたぞ!」
 クラークの仲間が先に見つけ、同時に引き金を引いた。
 お互い、棺や柱を盾に撃ち合いが始まる。
「さっき、敵の顔を見たか?」とウォルターはケイブとペニーに聞いた。
「あぁ。奴ら仮面をして素顔を隠していた」
「私が見た敵の数は二人だった」
「同じだ」
 ウォルターが見た敵も二人だった。だからこそウォルターはおかしいと気づいた。
「俺達を襲うのにたった二人しかいないのはあまりにも不自然だ。味方は他にいる。全員、目の前の敵ばかりに集中せず周囲を警戒しろ。敵は他にいるぞ」




「私達だけじゃないって気づかれちゃいましたね」と猫耳は般若に言った。
「これぐらいのこと気づけなきゃガッカリだ。それでも、対応出来るとは思えないが」
 般若のお面の言う通り、一気に距離を詰めた仲間は敵の近くにある石の棺を飛び越え、敵の驚く顔をしかと目では捉えつつも両手の双剣がそいつの首の皮と肉を一緒に引き裂いた。
 血がドバドバと出しクラークの仲間は天狗の女に一瞬にして即死させられた。
 クラークのもう一人の仲間はようやく反応に追いつき天狗野郎目掛けて拳銃をぶっ放すが、天狗の女はまるでその弾丸の行く先が見えているように首を横に倒し避ける。
「逃げろ!」
 クラークは仲間に叫んだが、遅かった。銃を持っていた腕を斬り落とし、首を狙われ仲間は倒れた。
「あなたは私を倒せない」
「お前はいったい何者だ?」
「お前を殺す者」
 天狗はそう言ってまた飛んだ。
 その動きを見たウォルターとケイブはあり得ないものを見た顔をした。
 一瞬でクラークと天狗との決着がついた。
「あの天狗野郎、下駄とか履いときながらなんだあの動きは? まるで鳥か?」
「まるで天狗そのものだ」
「クソッ、思わず見惚れちまったよ。おかげでクラークは首と胴体がオサラバしちまった。依頼主がやられたとあっちゃこの任務は失敗だ」
「ケイブ、後ろ!」
 アメリアが叫び「え?」とケイブが振り返る前に敵のランスがケイブの胸を貫いた。
「ケイブ!!」
「ウォルター、ごめん。やらてしまったよ」
「あぁ……こりゃ相手は手慣れてやがる」
 手慣れているというのはプレイヤー相手の戦闘にっていう意味だ。
 連中は今までもそうやってモンスターじゃなくプレイヤーを狩っていたんだろう。一様、プレイヤーとの戦闘はマナーになっているかは別としてルール上問題がない。それは、ペナルティが存在しないってことだ。
「お前達の目的がなんとなく分かった気がするぜ。プレイヤー狩り、だろ? お前達にとってレアアイテムはオマケに過ぎない」
 連中は答えたりはしなかった。
「黙りか。いいぜ。なら、俺達もそう簡単にはくたばってはやれないな。せめて一人は道連れにしてやる」



 ウォルターはそう意気込んだが、結局のところ敵の強さは圧倒であり、誰一人として道連れにすることは叶わなかった。



◇◇◆◆◆



 襲撃事件は緊急会議を開かせた。
 各チームリーダーが揃う会議の場でクラークとウォルターも特別に同席が許された。その場でクラークは出来事を詳細に説明した。
「なるほど、仮面の連中か」とアシルは呟いた。
 一番今回の件で無関係でいられないグリーンチームにとって、突然現れた仮面集団の襲撃は無視出来ないだろう。
「物騒になりましたね」
 そう言ったのはアギャットだ。そこへビルが挙手をする。
「実はその同時刻、俺達は海底都市を散策していたんだが、そこに仮面の連中が現れた。仮面はウォルター達が言ったのと違うがおそらく仲間で間違いないだろう。俺達がどこのチームか分からず襲ってきたとも思えなかった。俺がそのうちの一人を仕留めたら他の仲間は直ぐに撤退していったよ。連中はウォルターの言う通りプレイヤーとの戦闘に慣れている感じだった。かと言って軍隊のような統率というより同じ目的で集まった個人主義のチームって感じだな。戦い方は個性的で使う武器もこだわりを感じた。だが、それはチーム戦を意識したものではなかった」
「それで、他に連中の手掛かりは?」
「武器と仮面なら俺のチームに絵心のある仲間がいる。そいつにイラストをお願いしてあるから出来次第各チームリーダーへメッセージを送る。それ以外のチームへの共有は各リーダーに任せる。それより、今回も白のチームは欠席か」
 ビルはそう言いながら空席を見た。そこは白のチームリーダーの座る席だった。
「白は俺達と協力する気なんてないんだろ。別に不思議なことじゃない」とアシルは言った。
 そう、不思議なことではない。チームと言っても色々な特色があるように簡単に一つにまとまるわけではない。
「白はともかくとして今後、連中の手掛かりが見つかり次第、他のチームと共有するっていうのはどうかしら?」
 アギャットの提案に誰も反対はなかった。
「それともう一つ、ウォルターから皆に報告がある」
 ビルがそう言ってからウォルターは例の遺跡の最深部で見た絵と考察について皆の前で話した。
「実は海底都市にも似たような壁画があったんだ。それは巨大な津波にのまれる都市の姿だった。海底都市と繋がる。そうなると、ウォルター達が見た絵にも意味はあると俺も思っている」
「それではこの世界に関わる物や絵を見つけたらそれも共有するってことでいいかしら?」
 アギャットの提案に皆が賛成した。
「それじゃ、今回の会議はこれで終わります」



◇◆◆◆◆



 会議が終わり、部屋にはウォルターとビルだけが残った。
「しかし、お前が負けたと聞いた時は本当に驚いたぞ。そこには元とはいえイエローチームのリーダーが二人いたんだ。それでも勝てなかった相手だったんだろ?」
「俺はともかく二人に関しては狐と天狗野郎とは中々な勝負をしていた。援護する敵がいなきゃ一人は倒せたかもしれない」
「援護が優秀だったのか」
「猫耳野郎と般若のお面をした二人だ。気になるのは見た感じ全員女だってことだ」
「俺達を襲ったのもそうだ」
「珍しいもんだな」
「確かに。だが、他に奴らには仲間がいるかもしれない」
「まぁ、だろうな」
「それともう一つの件だが」
「世界設定の話しか?」
「あぁ。どう見る?」
「かつては人類がこの世界にはいた。だが、理由あって滅んだ。この世界は人類が滅んでからだいぶあとの世界と俺はみている。ケイブも同じ意見だ」
「そうか」
「ビル、あんたはどうなんだ?」
「もし、ゲームの製作者にその意図があるとしたら、この先のエリアで俺達は何を見ると思う? いや、何を見せられると思う?」
「さぁな」
「俺もだ」
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