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第一章
07 新たなエリアボス
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遺跡と表現するには異質な建物がビル達の前に建っていた。それは窓のない真っ黒な立方体であり、氷漬けされてあった。
「なんだこれ?」
「リーダー、このゲームやっぱ変ですよ」
「変か……」
「だってそうでしょ?」
ビルの仲間がそう言うのも無理はなかった。何故なら自分達の正面に氷漬けされた建物の両扉が見えるのだが、その分厚そうな鉄の扉には放射能標識があったからだ。
ビルは注意深くその謎の建物を一周して見渡した。そして正面に戻ると「入口はここしかないらしいな」と言ってから仲間に氷を溶かすよう指示した。
指示を受けた魔法使いは火系魔法を放ち氷を溶かしていく。
「リーダー、まさかあの中に入るんですか?」
「考えてもみろ。理由なく無意味にこんなものがあるとは思えん。なら、入ってみるしかないだろう」
氷が溶け終わる前には遠くで響いていた銃声が止んでいた。
「どうやらあっちは終わったようだな。こっちもあんまりチンタラ出来ないぞ」
ビルの言う通りだった。MP消費はこの際考えずに火力を最大まであげる。MPゲージはみるみる減少していくが、それが尽きる前にはなんとか氷を溶かしきることが出来た。
「それで、どうやってこれを開けるんです?」
扉の横には電子パネルがある。ビルはとりあえずそれを触れてみるが何の反応もなかった。
「無駄足でしたね」
すると、他の仲間が近くにあった四角い蓋を外し中のコードを何やらいじりだした。
「開けられそうか?」
「いえ、そもそも電気がきていないので開かないと思います」
「電気か……」
人類のいない世界に発電なんて文明はとっくに滅んでしまっているだろう……発電!
「電気があればいいんだな? なら、魔法で電気を与えてやればいい」
「なる程」
それから流し込む電気の量を微量に調整しつつ魔法をそのコードから流し込む。
電気を受け取った電子パネルは復活し電源が入ると同時にパネルが光った。
ビルはそのパネルに再びタッチすると、分厚そうな鉄の扉は音をたてながらゆっくりと開いていく。中は暗闇だが、直ぐに白い証明が中を照らした。
中には見たことがない機械と何を示すのか不明なメーターが動いていた。機械を繋ぐパイプは天井や床下に繋がっており、奥にエレベーターがあった。そのエレベーターにも電気が流れると、ボタンが点灯した。ボタンは下へ向かうボタンしかない。
「地下へ行けるそうだな」
「何なんですか、ここ」
「下に行けば分かるだろう」
それはビルの予想通りだった。ビル達を乗せたエレベーターは地下へと向かい、久しぶりに主人を中へ招いたエレベーターの扉が開くと、そこにあったのはSF映画等で見るような沢山のモニターやパソコンのある司令室だった。
中央の巨大なモニターに明かりがつき、そこにはビル達の知る世界地図、横のモニターにはミサイルの数がゼロとレールガンの充電率、充電不可能と表示されてある。
「ファンタジー世界が一気にSFになりましたね」と仲間は少し怯えた様子を見せた。
「ウォルター達が見た戦争の絵がこれで裏づけられたな。そして、おそらく戦争によって人類は滅んだ。その後何年経過したかは分からんが、少なくともほとんど人間がいたという痕跡がなくなっちまう程、後の世界ってことだろうな」
「世界地図が今と違っているのもそれが関係してるんでしょうか?」
「俺達は知らない世界を冒険してたわけじゃなく、この世界は俺達の一つの可能性の未来を旅していたってことじゃないのか」
「だとしたらその旅のゴールに何があるって言うんですか」
「それこそ行ってみれば分かる話しさ」
ビルは司令室に転がる頭蓋骨を見た。
「お前達はいったい何と戦っていたんだ?」
◇◇◇◇◆
謎の施設の地下にこれ以上居ても得るものはなさそうだと分かると、ビル達は地上に戻り本来の目的に戻った。それはつまりエリアの最深部を見つけることだ。
「もう白の連中が先に見つけてるんじゃないですかねぇ?」
「もし、そうなら会議で情報共有されるだろう。どっちにしろ連中だけじゃエリアボスは倒せない筈だ」
今までのエリアボスと戦った経験からこそ絶対だと分かる。
「地中に潜る敵、空飛ぶ敵、海中の敵、今度は何でしょうね? やはりこの吹雪を利用した敵ってことになるんですかね?」
「今までを考えればな」
だが、このエリアには獰猛なモンスターが生息している。見た目が狼のようなモンスターだ。そういったボスだったとしても苦戦はするだろう。
その時だった。突然、大きな揺れが起こった。
「じ、地震!?」
それは立っていられない程の大きな揺れだった。と、同時にビルは嫌な予感がした。
そして、今日のビルはよく直感が的中していた。
ビルのもとにメッセージが届いた。それは白チームのリーダーからだ。
「白がエリアボスを見つけたそうだ」
「やはり連中、自分達だけでエリアボスに挑もうとしてたんだ!」
「馬鹿。だったら俺に連絡なんてしないだろう」
「でも、エリアボスって」
「どうやらこの世界の常識は俺達じゃ計り知れないらしい」
「??」
「エリアボスってのは必ずエリア最深部にいるってわけじゃないらしい」
「まさか!? それって……」
「ああ、今度のエリアボスはこのばか広い吹雪エリアを移動している」
「なんだこれ?」
「リーダー、このゲームやっぱ変ですよ」
「変か……」
「だってそうでしょ?」
ビルの仲間がそう言うのも無理はなかった。何故なら自分達の正面に氷漬けされた建物の両扉が見えるのだが、その分厚そうな鉄の扉には放射能標識があったからだ。
ビルは注意深くその謎の建物を一周して見渡した。そして正面に戻ると「入口はここしかないらしいな」と言ってから仲間に氷を溶かすよう指示した。
指示を受けた魔法使いは火系魔法を放ち氷を溶かしていく。
「リーダー、まさかあの中に入るんですか?」
「考えてもみろ。理由なく無意味にこんなものがあるとは思えん。なら、入ってみるしかないだろう」
氷が溶け終わる前には遠くで響いていた銃声が止んでいた。
「どうやらあっちは終わったようだな。こっちもあんまりチンタラ出来ないぞ」
ビルの言う通りだった。MP消費はこの際考えずに火力を最大まであげる。MPゲージはみるみる減少していくが、それが尽きる前にはなんとか氷を溶かしきることが出来た。
「それで、どうやってこれを開けるんです?」
扉の横には電子パネルがある。ビルはとりあえずそれを触れてみるが何の反応もなかった。
「無駄足でしたね」
すると、他の仲間が近くにあった四角い蓋を外し中のコードを何やらいじりだした。
「開けられそうか?」
「いえ、そもそも電気がきていないので開かないと思います」
「電気か……」
人類のいない世界に発電なんて文明はとっくに滅んでしまっているだろう……発電!
「電気があればいいんだな? なら、魔法で電気を与えてやればいい」
「なる程」
それから流し込む電気の量を微量に調整しつつ魔法をそのコードから流し込む。
電気を受け取った電子パネルは復活し電源が入ると同時にパネルが光った。
ビルはそのパネルに再びタッチすると、分厚そうな鉄の扉は音をたてながらゆっくりと開いていく。中は暗闇だが、直ぐに白い証明が中を照らした。
中には見たことがない機械と何を示すのか不明なメーターが動いていた。機械を繋ぐパイプは天井や床下に繋がっており、奥にエレベーターがあった。そのエレベーターにも電気が流れると、ボタンが点灯した。ボタンは下へ向かうボタンしかない。
「地下へ行けるそうだな」
「何なんですか、ここ」
「下に行けば分かるだろう」
それはビルの予想通りだった。ビル達を乗せたエレベーターは地下へと向かい、久しぶりに主人を中へ招いたエレベーターの扉が開くと、そこにあったのはSF映画等で見るような沢山のモニターやパソコンのある司令室だった。
中央の巨大なモニターに明かりがつき、そこにはビル達の知る世界地図、横のモニターにはミサイルの数がゼロとレールガンの充電率、充電不可能と表示されてある。
「ファンタジー世界が一気にSFになりましたね」と仲間は少し怯えた様子を見せた。
「ウォルター達が見た戦争の絵がこれで裏づけられたな。そして、おそらく戦争によって人類は滅んだ。その後何年経過したかは分からんが、少なくともほとんど人間がいたという痕跡がなくなっちまう程、後の世界ってことだろうな」
「世界地図が今と違っているのもそれが関係してるんでしょうか?」
「俺達は知らない世界を冒険してたわけじゃなく、この世界は俺達の一つの可能性の未来を旅していたってことじゃないのか」
「だとしたらその旅のゴールに何があるって言うんですか」
「それこそ行ってみれば分かる話しさ」
ビルは司令室に転がる頭蓋骨を見た。
「お前達はいったい何と戦っていたんだ?」
◇◇◇◇◆
謎の施設の地下にこれ以上居ても得るものはなさそうだと分かると、ビル達は地上に戻り本来の目的に戻った。それはつまりエリアの最深部を見つけることだ。
「もう白の連中が先に見つけてるんじゃないですかねぇ?」
「もし、そうなら会議で情報共有されるだろう。どっちにしろ連中だけじゃエリアボスは倒せない筈だ」
今までのエリアボスと戦った経験からこそ絶対だと分かる。
「地中に潜る敵、空飛ぶ敵、海中の敵、今度は何でしょうね? やはりこの吹雪を利用した敵ってことになるんですかね?」
「今までを考えればな」
だが、このエリアには獰猛なモンスターが生息している。見た目が狼のようなモンスターだ。そういったボスだったとしても苦戦はするだろう。
その時だった。突然、大きな揺れが起こった。
「じ、地震!?」
それは立っていられない程の大きな揺れだった。と、同時にビルは嫌な予感がした。
そして、今日のビルはよく直感が的中していた。
ビルのもとにメッセージが届いた。それは白チームのリーダーからだ。
「白がエリアボスを見つけたそうだ」
「やはり連中、自分達だけでエリアボスに挑もうとしてたんだ!」
「馬鹿。だったら俺に連絡なんてしないだろう」
「でも、エリアボスって」
「どうやらこの世界の常識は俺達じゃ計り知れないらしい」
「??」
「エリアボスってのは必ずエリア最深部にいるってわけじゃないらしい」
「まさか!? それって……」
「ああ、今度のエリアボスはこのばか広い吹雪エリアを移動している」
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