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第三章
03 父と息子
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「ランスなのか?」
「やっぱり父さんは生きてたんだ!! 僕だよ、ランスだよ」
ダンは戸惑っていた。自分の子がこんなにも大きくなっているなんて。それに対してダンは写真の頃と何一つ変わっていない。
「本当にダンなのか?」とリウは聞く。
「リウか……そうか、お前がランスを守ってくれたのか。なんと言えばいいのか……」
「生きていたとは……本当に何も変わらないんだな」
ダンは複雑な顔をした。
「父さんはここで何をしてるの?」
「ランス、よく聞きなさい。お前はここにいてはならないんだ」
「どうして!? せっかく父さんと会えたのに」
「どういうことなんだ? ダン、説明してくれ。ランスはお前のことを心配していたんだぞ」
「分かっている……出来るなら連絡したかったさ。だが、出来なかったんだ。実は……俺は死んでいるんだ」
ランスとリウは同時に「え?」と言った。
だが、そこまで聞いていたマーティンは謎だった部分が一つ頭の中で解けた。それは最初に見た例の宇宙船、あの破損を見る限りとても生き延びたようには見えなかった。自分達はあの世へと来てしまったのではないのかとどこか思っていた。でなければあの嵐で何故自分達は無傷で生き延びられたのか説明がつかないし、記憶がなくなっている理由にもならない。
「父さん、何言ってるか分からないよ」
「私はこの星の調査団として突入した。だが、突然襲った激しい嵐に巻き込まれ宇宙船は大ダメージを負って不時着したんだ。私はその時に死んだんだ。残りの調査団も含めてね」
「でも、父さんは現に僕の目の前にいるじゃないか」
「ランス、お前はこの星に来てはならなかったのだよ。どうして来たんだ」
「それは敵から逃げる為で」
「そうか。だが、ランス。君はここにはいられない。君達の肉体はまだ生存している。現にお前達の宇宙船はなかっただろ?」
「そう言えば……」
「肉体はそこにある。お前達が感じる重力は今宇宙船にかかっているGと同じ筈だ。早く目覚めなければお前達の宇宙船も大変なことになってしまう。私はそこで意識を失って助からなかった」
「それじゃ目の前にいる父さんは偽物だって言うのかよ。そんなの嘘だ! 嘘に決まってる!!」
「いや……ランス、父さんの姿が変わっていないのはやはり変だ。ランス、君は持っているだろ? 父さんの写真を。それと変わらない筈だ。だが、そんなことはあり得ないんだよ。それじゃまるで歳をとっていないことになる」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない。現に俺は地面に足がついているが、重力を感じていない。それどころか、食欲も眠気もしないんだ」
「だからか、殺風景な部屋ばかりで生活感がないのは」とマーティンは言った。
「そこにいるガブリエルもそうだ」
ダンはそう言って少女を見た。
「この子も!?」
「そうだ。侵略者に殺された。他にも大勢がな」
「理解出来ないことがある」とマーティンは言って、ダンは「答えよう」と言った。
「まずはランスがさっき聞いた質問だ、お前達はここで何をしている」
「彼らは復讐者だ。私はそれに協力している。ここではその準備をしている。さっきも侵略者の戦闘機を迎撃したばかりだ」
「分からん。死んだのなら何故侵略者と戦える?」
「正直それは私にも分からない。だが、こんなことが出来るようになったのは連中が現れてからだろう」
「それは君の死の後になる筈だが?」
「偵察に既に連中は現れていた。と同時に準備もしていた。侵略はその後だ。君はこの件に詳しいか?」
「いや、残念ながら」
「そうか。それよりお前達の肉体の方だが」
「どうやったら戻れる?」
「それは我々に任せてもらえれば大丈夫だ」
「僕は嫌だよ。せっかく父さんに出会えたのに」
「ランス、お前の気持ちはよく分かる。だがな、奇跡は長くは続かないものだ。私もこの時間が永遠に続いたらと思う。でも、そうはいかないんだ。連中は未来から過去へ侵略した。彼らにどんな事情があれ、それはしてはいけないことなんだ。きっと、その副作用が副産物を生み出し復讐者にチャンスが与えられたんだろう。宇宙にも私達の知らない秩序があるんだろう。例え宇宙が決めたルール、レールに沿った行動であれ、俺達は構わず連中を確実に叩く。だがな、もし連中がルールを破らなければ私とお前は出会えなかった。この奇跡を俺は本当に喜んでいいのか分からなかったが、お前の成長した姿が見れて、きっと神様の計らいだったのかもしれん。俺は特別な奇跡をもらった。それだけで満足だ」
「父さん……」
「リウ、本当に感謝している。お礼は出来ないが、ありがとう」
「構わないさ。憎い連中を倒してくれるならな」
ダンは頷いた。そして、息子を見る。
「それじゃお別れだ」
「本当にお別れなんだね?」
父は言葉に詰まった。それから二人は抱き合った。
「しっかりやれよ」
「うん」
「やっぱり父さんは生きてたんだ!! 僕だよ、ランスだよ」
ダンは戸惑っていた。自分の子がこんなにも大きくなっているなんて。それに対してダンは写真の頃と何一つ変わっていない。
「本当にダンなのか?」とリウは聞く。
「リウか……そうか、お前がランスを守ってくれたのか。なんと言えばいいのか……」
「生きていたとは……本当に何も変わらないんだな」
ダンは複雑な顔をした。
「父さんはここで何をしてるの?」
「ランス、よく聞きなさい。お前はここにいてはならないんだ」
「どうして!? せっかく父さんと会えたのに」
「どういうことなんだ? ダン、説明してくれ。ランスはお前のことを心配していたんだぞ」
「分かっている……出来るなら連絡したかったさ。だが、出来なかったんだ。実は……俺は死んでいるんだ」
ランスとリウは同時に「え?」と言った。
だが、そこまで聞いていたマーティンは謎だった部分が一つ頭の中で解けた。それは最初に見た例の宇宙船、あの破損を見る限りとても生き延びたようには見えなかった。自分達はあの世へと来てしまったのではないのかとどこか思っていた。でなければあの嵐で何故自分達は無傷で生き延びられたのか説明がつかないし、記憶がなくなっている理由にもならない。
「父さん、何言ってるか分からないよ」
「私はこの星の調査団として突入した。だが、突然襲った激しい嵐に巻き込まれ宇宙船は大ダメージを負って不時着したんだ。私はその時に死んだんだ。残りの調査団も含めてね」
「でも、父さんは現に僕の目の前にいるじゃないか」
「ランス、お前はこの星に来てはならなかったのだよ。どうして来たんだ」
「それは敵から逃げる為で」
「そうか。だが、ランス。君はここにはいられない。君達の肉体はまだ生存している。現にお前達の宇宙船はなかっただろ?」
「そう言えば……」
「肉体はそこにある。お前達が感じる重力は今宇宙船にかかっているGと同じ筈だ。早く目覚めなければお前達の宇宙船も大変なことになってしまう。私はそこで意識を失って助からなかった」
「それじゃ目の前にいる父さんは偽物だって言うのかよ。そんなの嘘だ! 嘘に決まってる!!」
「いや……ランス、父さんの姿が変わっていないのはやはり変だ。ランス、君は持っているだろ? 父さんの写真を。それと変わらない筈だ。だが、そんなことはあり得ないんだよ。それじゃまるで歳をとっていないことになる」
「嘘だ!!」
「嘘じゃない。現に俺は地面に足がついているが、重力を感じていない。それどころか、食欲も眠気もしないんだ」
「だからか、殺風景な部屋ばかりで生活感がないのは」とマーティンは言った。
「そこにいるガブリエルもそうだ」
ダンはそう言って少女を見た。
「この子も!?」
「そうだ。侵略者に殺された。他にも大勢がな」
「理解出来ないことがある」とマーティンは言って、ダンは「答えよう」と言った。
「まずはランスがさっき聞いた質問だ、お前達はここで何をしている」
「彼らは復讐者だ。私はそれに協力している。ここではその準備をしている。さっきも侵略者の戦闘機を迎撃したばかりだ」
「分からん。死んだのなら何故侵略者と戦える?」
「正直それは私にも分からない。だが、こんなことが出来るようになったのは連中が現れてからだろう」
「それは君の死の後になる筈だが?」
「偵察に既に連中は現れていた。と同時に準備もしていた。侵略はその後だ。君はこの件に詳しいか?」
「いや、残念ながら」
「そうか。それよりお前達の肉体の方だが」
「どうやったら戻れる?」
「それは我々に任せてもらえれば大丈夫だ」
「僕は嫌だよ。せっかく父さんに出会えたのに」
「ランス、お前の気持ちはよく分かる。だがな、奇跡は長くは続かないものだ。私もこの時間が永遠に続いたらと思う。でも、そうはいかないんだ。連中は未来から過去へ侵略した。彼らにどんな事情があれ、それはしてはいけないことなんだ。きっと、その副作用が副産物を生み出し復讐者にチャンスが与えられたんだろう。宇宙にも私達の知らない秩序があるんだろう。例え宇宙が決めたルール、レールに沿った行動であれ、俺達は構わず連中を確実に叩く。だがな、もし連中がルールを破らなければ私とお前は出会えなかった。この奇跡を俺は本当に喜んでいいのか分からなかったが、お前の成長した姿が見れて、きっと神様の計らいだったのかもしれん。俺は特別な奇跡をもらった。それだけで満足だ」
「父さん……」
「リウ、本当に感謝している。お礼は出来ないが、ありがとう」
「構わないさ。憎い連中を倒してくれるならな」
ダンは頷いた。そして、息子を見る。
「それじゃお別れだ」
「本当にお別れなんだね?」
父は言葉に詰まった。それから二人は抱き合った。
「しっかりやれよ」
「うん」
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