マーズと小さな弟子

アズ

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alpha

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 すると、上空の雲行きが急に変わった。よく見ると、赤く光るなにかが近づいてくるではないか。
「隕石か!?」とマットは驚くと、マーズは全員にガラスのようなシールドを張った。
 だが、敵の方は見上げ隕石を確認するなり、右手の拳をつくりだした。
「まさか、隕石をパンチするんじゃないだろうな……」
 だが、マットが言うようにあの巨体なら本当にやりかねない。
 しかし、敵が拳を出す前にマーズは時魔法で時を止めた。
 顔だけが上空に向いたまま、そこ目掛けて隕石は身動きしない敵に向かって直撃する!
 爆発音と共に衝撃波も起こったが、シールドのおかげで全員が巻き込まれることはなかった。
 顔面を直撃した敵はよろめき、隕石はぶつかった衝撃で、細かい隕石となって、山の周りに落ちていった。
 それはまるで流星のようだった。
 だが、敵はよろめくだけで完全には倒れない。
 敵が顔を手でおさえていると、マーズはそのすきに死の魔法を放った。
 黒い炎は巨体な敵目掛けて飛んだ。
「死の魔法か!? しかも、無詠唱!!」
 マットが驚くのも無理はない。死の魔法も高レベルの魔法だ。だが、念じるだけで発動できるということは、マーズは死を身近に感じる出来事を経験しているということになる…… 。
 小さな炎は敵に当たった。あれだけの巨体だから当てるのは簡単だろう。あれは、小さな炎ではあるが実際死に大小は関係がない。当たれば終わりの魔法だ。
 しかし、敵はなんともない様子で手を顔からどかし、此方を睨んできた。
「死の魔法が効かない!?」とレイチェルは驚いた。
 だが、マーズ本人は結末を知っていたかのような冷静さで、あれで取り乱す様子は全く見せなかった。
「ま……ダメもとでやってみただけだから対して驚くことじゃない。大抵、あのレベルになると死の宣告に対する耐性ぐらいはしてあるさ」
(そ、そうなんだ……もしかして、それを私に教える為に?)
「なぁ、マーズよ。お前、あれ倒せそうか」とマットが聞いてきた。
「どうだろうな」
「の割には随分と楽しそうじゃないか」
「楽しそう? ああ、そうかもしれない」
「考えはあるのか?」
「効くかどうか分からない。なにせ、初めてやるから」
 そう言うと、マーズは手を出し、掌を敵に向けた。
「酸素付与」
 マーズはそう唱えた。
「酸素付与? なんでまた」
「敵の血液は青かった。だから、どうなるかなって……」
 しかし、敵はなんともなさそうな感じだった。
「やはり、意味はなかったか」
 すると、今度は敵が魔法で金棒を顕現させ、それを私達のいる場所目掛けて振りかざしてきた。
「まずいぞ! 全員、退避!!」
 全員は山から飛び降りた。
 マーズの飛行魔法を全員にかけたおかげで、なんとか避けられたが、敵はそれに気づいていないのか、金棒で何度も山を叩きつけていた。
 山は形を崩し、どんどん変形していく。
 敵の攻撃で標高がどんどん低くなっていった。
 すると、シシリーが皆に言う。
「ねぇ、とりあえず敵について整理したいんだけど、まずさ、あの敵なんなの?」
「敵って言い続けるのもよくないな。名前とか必要だろ」とマット。
 すると、マーズが皆に提案する。
「適当でいいだろう、呼び名なんて。アルファでいいんじゃないか」
「アルファ……まぁ、分かりやすいからいいか。で、どうするんだ、アレ。最初の時に比べるとだいぶ変わっちまったぞ。天使みたいなのが第一形態だとすると、デビルが第二形態か? で、鬼みたいにデカくなったのが第三形態ってか? まさか、まだ進化するとか言わんだろうな」
「どうだろうな」
「勘弁して欲しいぜ。それで、どうするんだ? もう、お前しか戦えない。お前にかかっている」
「そうだな」
 マーズはそう言うと、空中のまま魔法を唱える。
「召喚魔法、百鬼夜行!!」
「召喚魔法だって!?」とマットが驚いた。
 レイチェルも召喚魔法を見るのは初めてになる。学校では名前しか出ない。教師でも召喚魔法が出来なくてもおかしくはないくらい、これもまた高レベルだった。
 青く不気味な妖怪達がゾロゾロと空中を行進し、霧を発生させた。
「確か……」と言いながらスイは記憶から知識を引っ張りだす。
「百鬼夜行の魔法効果は、敵と認識した相手の魔法威力と耐性による強化魔法の弱体化、加えて発動者は魔法威力の上昇」
「召喚魔法まで使えるとは驚きだ」とマット。
「私も久しぶりに使う。ついでだ。もう一つ見せてやろう。召喚魔法、神々の宴!!」
 すると、空が黄金色に輝きだすと、空から雲に乗ったお釈迦様達が現れ、その周りを愉快な音楽が流れだした。
「神々の宴中は、敵は体力を奪われ続け、最後は天に召される」
「そいつは凄いぜ。死の魔法と違い、召喚魔法の効果はどの魔法防御、耐性をも完全無視に効果を発揮させる」
 マットは珍しいものが見れて興奮状態だ。
 だが、アルファは金棒を投げ捨て、ずっと最初から顕現しているラッパに手を出した。
「まずいぞ」
 咄嗟になにかヤバいのを感じたマーズが言うが、この場にいる全員誰もアルファを止められず、アルファはラッパに口をつけると、それを吹いた。
 ブーという音が鳴り響きく。
 すると、地面が大きく揺れた。
 亀裂が走り、炎が亀裂から飛び出た。
 標高が縮んだ山からは噴火が起き、
 気温がどんどん上昇していく。
 30℃、31、32……
 辺りがカラッカラッになり、
 更に気温は上昇し続ける。
 それはまるで地獄絵図。
 当然のことながら
 地獄は誰も見たことはないが、
 これは地獄と表現しよう。
 想像であるが、
 灼熱地獄はまさにこれではないか。
 空が赤い。夕焼けとは違った空だ。
 まるで、世界の終わりみたいだ。
 あのラッパの音は、
 それを知らせる音なのだったのか。
 レイチェルは思った。このまま人類は滅んでしまうのだろうかと。
 しかし、一人だけはまだ諦めていなかった。
「凍れ」
 マーズは魔法で亀裂から飛び出る炎も含め、辺り一帯を氷の魔法で景色を一瞬にして変貌させた。
 噴火していた山も、その近くで立っていたアルファごと、氷に包まれた。
「やった?」
 レイチェルは少し期待したが、アルファを覆っていた氷は亀裂が走り、遂に崩壊した。
 それでも、アルファ以外は見事な氷の景色にしてみせた。
 空からは先程の赤色がなくなり、かわりに雪が降り始めた。
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