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Europa
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「おい、マット。お前、もうほとんど魔力がないんだろ?」
「ああ、もうなにも出来ないと言っていい」
「だが、一つだけあるよな。出来る技が」
「は? 何言ってるんだスイ。出来ないって言った……まさか! 俺にアレをやれって言うのか」
「そうだ」
「だが……」
「ちょっと待ってよ二人とも。何話してるの? まさか、マットにアレをやらせるつもり?」
「いや、スイの言う通りだ。いいぜ、最後の切り札見せてやるぜ」
「いややあああ!! 見たくない!!」
会話を聞いてたレイチェルとマーズはマットがなにをしようとしているのか知らないでいた。そもそも、魔法があと一つできたところで…… 。
「完全武装解除!」
「え?」と言った後で、レイチェルは顔を真っ赤にし、両手でその顔を隠した。
何故なら、マットは全裸になっていたからだ。
「なにしてるんだ?」とマーズは冷静にマットに聞いた。
「俺はな、戦闘中に完全武装解除したら、相手の性別に関係なく魅了させることが出来るんだ」
「魅了か」
「だったら、マーズに魅了の魔法で試せば良かったでしょ」とシシリーは腕で視界を防ぎながら言った。
「いや、魅了の魔法は使ったことがないんだ。そもそも、俺は恋を知らない」
「え……」
マーズのように念じて詠唱を省略する場合、その魔法のイメージ力が問われる。つまり、恋を知らなければ、魅了も出来ないということだ。
すると、敵はようやく動きを止めた。
「どうやら、俺の魅了が効いたようだ」
「最初から、マットにはそれをやってもらえば良かったんだ」
「ふざけるな! 俺にだってプライドってもんがあるんだ」
「だが、マットのおかげで奴は身動きがとれなくなった。俺の召喚魔法神々の宴じゃ奴の体力を完全に削ぎ取るには時間がかかっていた」
「とにかく早く終わらせろ」とスイは言った。
「分かってるよ!」
魅了にかかるとはそれは洗脳された状態と言っていい程に強烈で、マットの一言でこれは決着がついた。
「俺の為に自害しやがれ」
◇◆◇◆◇
全てが決着し、マーズ達は街へ戻り、マーズとレイチェルは支部の手配で近くのホテルに一泊してから戻ることになった。
スイから服を与えられたマットはマーズとレイチェルに温泉に行かないか誘ってきた。
「温泉?」
聞き慣れない言葉にレイチェルは首を傾げた。
「近くにあるんだ。簡単に言えば大浴場さ。仕事をした後は汗を流して、美味しいもんをたらふく食う。魔力回復にはこれが一番なのさ」
「俺はギルドに連絡しなきゃならないことがあるから、レイチェル、お前だけでも行ってこい」とマーズは言った。
それを耳にしたシシリーはレイチェルの腕をとった。
「それじゃあなたは私と一緒に行きましょ」
こうしてマーズとは一旦別れ、レイチェル達はその温泉とやらへ向かった。
街の風景はすっかりマーズの魔法の影響で此方まで雪が降っており、子供達は雪遊びをしていた。
「まるでクリスマスだな」マットはその辺にある雪だるまを見てそう言った。
「ねぇ、あれ親玉だと思う?」突然、シシリーはマットにそう聞いた。
「正直に言えば分からん。ただ、あんなのが何度も現れれば、大変な事態なのは間違いない」
「なら、マットには最初から完全武装解除をしてもらおう」とスイは笑いながらそう言った。
「冗談じゃねぇぜ」
◇◆◇◆◇
その頃、マーズは宿から借りた電話で、ガニメデ支部のバーリンに連絡していた。
「お疲れだったな。まさか、そんな相手だったとは。これは徹底的な調査が必要だな。連絡ご苦労。それで、お前はどう思う? 竜が自ら命を犠牲にしてまで開いたゲートから現れたんだろ、それは。確かにギルドでも記録にないが」
「親玉ではないだろう」
「だよな。それで、ゲートはどうなった?」
「アルファが倒れた後で消えた。アルファが倒れ魔力消失をあちらが気づいてゲートを閉じたのか……理由は分からない」
「そうか。まぁ、とにかく今日はゆっくり休んでくれ。あとのことは此方に任せろ」
「ああ、そうしてくれ」
「ああ、もうなにも出来ないと言っていい」
「だが、一つだけあるよな。出来る技が」
「は? 何言ってるんだスイ。出来ないって言った……まさか! 俺にアレをやれって言うのか」
「そうだ」
「だが……」
「ちょっと待ってよ二人とも。何話してるの? まさか、マットにアレをやらせるつもり?」
「いや、スイの言う通りだ。いいぜ、最後の切り札見せてやるぜ」
「いややあああ!! 見たくない!!」
会話を聞いてたレイチェルとマーズはマットがなにをしようとしているのか知らないでいた。そもそも、魔法があと一つできたところで…… 。
「完全武装解除!」
「え?」と言った後で、レイチェルは顔を真っ赤にし、両手でその顔を隠した。
何故なら、マットは全裸になっていたからだ。
「なにしてるんだ?」とマーズは冷静にマットに聞いた。
「俺はな、戦闘中に完全武装解除したら、相手の性別に関係なく魅了させることが出来るんだ」
「魅了か」
「だったら、マーズに魅了の魔法で試せば良かったでしょ」とシシリーは腕で視界を防ぎながら言った。
「いや、魅了の魔法は使ったことがないんだ。そもそも、俺は恋を知らない」
「え……」
マーズのように念じて詠唱を省略する場合、その魔法のイメージ力が問われる。つまり、恋を知らなければ、魅了も出来ないということだ。
すると、敵はようやく動きを止めた。
「どうやら、俺の魅了が効いたようだ」
「最初から、マットにはそれをやってもらえば良かったんだ」
「ふざけるな! 俺にだってプライドってもんがあるんだ」
「だが、マットのおかげで奴は身動きがとれなくなった。俺の召喚魔法神々の宴じゃ奴の体力を完全に削ぎ取るには時間がかかっていた」
「とにかく早く終わらせろ」とスイは言った。
「分かってるよ!」
魅了にかかるとはそれは洗脳された状態と言っていい程に強烈で、マットの一言でこれは決着がついた。
「俺の為に自害しやがれ」
◇◆◇◆◇
全てが決着し、マーズ達は街へ戻り、マーズとレイチェルは支部の手配で近くのホテルに一泊してから戻ることになった。
スイから服を与えられたマットはマーズとレイチェルに温泉に行かないか誘ってきた。
「温泉?」
聞き慣れない言葉にレイチェルは首を傾げた。
「近くにあるんだ。簡単に言えば大浴場さ。仕事をした後は汗を流して、美味しいもんをたらふく食う。魔力回復にはこれが一番なのさ」
「俺はギルドに連絡しなきゃならないことがあるから、レイチェル、お前だけでも行ってこい」とマーズは言った。
それを耳にしたシシリーはレイチェルの腕をとった。
「それじゃあなたは私と一緒に行きましょ」
こうしてマーズとは一旦別れ、レイチェル達はその温泉とやらへ向かった。
街の風景はすっかりマーズの魔法の影響で此方まで雪が降っており、子供達は雪遊びをしていた。
「まるでクリスマスだな」マットはその辺にある雪だるまを見てそう言った。
「ねぇ、あれ親玉だと思う?」突然、シシリーはマットにそう聞いた。
「正直に言えば分からん。ただ、あんなのが何度も現れれば、大変な事態なのは間違いない」
「なら、マットには最初から完全武装解除をしてもらおう」とスイは笑いながらそう言った。
「冗談じゃねぇぜ」
◇◆◇◆◇
その頃、マーズは宿から借りた電話で、ガニメデ支部のバーリンに連絡していた。
「お疲れだったな。まさか、そんな相手だったとは。これは徹底的な調査が必要だな。連絡ご苦労。それで、お前はどう思う? 竜が自ら命を犠牲にしてまで開いたゲートから現れたんだろ、それは。確かにギルドでも記録にないが」
「親玉ではないだろう」
「だよな。それで、ゲートはどうなった?」
「アルファが倒れた後で消えた。アルファが倒れ魔力消失をあちらが気づいてゲートを閉じたのか……理由は分からない」
「そうか。まぁ、とにかく今日はゆっくり休んでくれ。あとのことは此方に任せろ」
「ああ、そうしてくれ」
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