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Metis
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魔法にも得意不得意が人それぞれに存在する。それは個性でもある。そう言われる所以は、得意とする魔法にはそれまで歩んだ人生に影響されていると言われているからだ。
レイチェルは今、学校の授業を受けていた。
教室の席は決まっておらず、皆は自由に座った。レイチェルはいつも前の席に座った。
学校ではそれぞれの科目に先生がおり、担任と呼ばれる先生はいない。
今、受けている授業は実技ではなく座学中心の『基本魔法』である。その授業をするのは眼鏡をかけた男の先生だった。定年間近の白髪の先生の目はいつも生徒達に厳しかった。
だが、今はどの生徒もこの時期は真面目だった。それは卒業試験が近いからだ。試験が終われば、あとは卒業という学校イベントのみとなる。レイチェルにとっては学校の思い出はそれが最後になるのだ。
「回復魔法が得意とする魔法使いは大抵、優しい心を持った者が多いと統計で出ている。他にも、複雑な魔法が出来る魔法使いは大抵決まって手先も器用な者が多い。学校の授業では得意不得意関係なく実技で魔法を教えてきたが、それはどれも魔法レベルが低く、不得意とした魔法でもレベルが低くければ可能な範囲だったからだ。しかし、より高度な魔法となると、誰もが出来る範囲とは限らなくなってくる。君達は魔法を勉強している間に自分の得意分野を見つけてきた筈だ。それを活かし延ばすことが君達の魔法の能力を上げるコツになる。不得意な魔法を克服するやり方はオススメしない。ハッキリ言えば、時間を無駄にするだけだ。勿論、例外がないわけではないが」
今の話しは既に予習してきたことだし、むしろ今までの勉強の復習と言ってもいい。だが、そもそも卒業試験事態がそれに近い。
レイチェルにとって、今までの成績が良かったわけだから、卒業試験も特に苦労することはない。むしろ、成績が常にギリギリだった者にとっては卒業試験こそが地獄だろう。試験範囲も比にならない。
レイチェルはノートの白紙のページにボールペンの先を渦を巻くように転がしていた。
今、彼女の頭の中には先生の話しを元にマット達にそれを当てはめて考えていた。
それでいけば、マットは敵を取り込み自分の魔力に融合させ、鎧に変え、更には完全武装で姿を変えてしまう。完全武装事態は代用できる魔法があり、それが変身魔法になるが、それよりも完成度が高いのがマットの完全武装だった。しかし、マットがどのような人生を送ってそのような魔法を手にしたのか想像がつかない。それでいったらシシリーもそうだ。彼女は自分の武器を生成していた。むしろ、魔法武器では彼女の魔法が耐えられないからだ。どうやったらそんな攻撃特化のような魔力を手にできるのか。スイの魔法は特に不思議で謎だ。
これだけは言える。
私が見てきた強い人は、皆かなり強い魔法を持っている。
私はいったいどんな魔法が使えるというのか…… 。
正直に言えば、マット達の戦いを見て自分は自信をなくした。
成績が良かったのは、誰もができる魔法だったから。努力でなんとかなる。学校の授業がいかに、学校の敷地を出ると生易しかったかが分かる。
ただ、勉強ができるというだけだ。だが、勉強がゴールではない。スタートなのだ。学校には目標があり、努力で結果が出るシンプルでやりやすかった。でも、外はそうではない。むしろ、シンプルはなく複雑で混沌としていた。不安が大きい。自分は卒業してからやっていけるのか。
マット達のように今の自分が強いとは思えない。
せっかくあった自信が目の前の大きな壁で不安になるなんて…… 。
◇◆◇◆◇
その頃、マーズはギルドにいた。しかし、受付のカウンターにいたのはいつものバーリンではなく、片眼鏡に口髭を生やし煙草を加えながらタイプライターを打っているスーツ姿の男性だった。そばには冷めきったコーヒーが半分以上残っている。ほとんど、仕事に集中していて飲んでいる暇もなかったくらいだ。
「ローワンか。会計士がなんでそこで仕事している」
「俺が聞きたいくらいだ」
「バーリンはどうした?」
すると、ローワンは自分の腕時計を見た。
「あいつなら一時間と十二分前に出掛けていった。私に受付のかわりをさせてな」
「ああ、定例会議に行ったのか。もう、そんな時期か」
「そんなところだ」
「なら、今日は休むか」
「待て。俺に受付をやらせるつもりか」
「文句ならバーリンに言え。やらせたのは俺じゃない」
そう言って立ち去ろうとするマーズにしつこくもう一度ローワンは彼の名を呼んだ。
「なんだ? 言っとくが受付のかわりはしないぞ」
「そうじゃない。お前がギルドに報告した件、どうやらそれも今回の定例会議の議題に上がったらしい」
「そりゃそうだろう。その為に報告した」
「問題はそこじゃない。あれはどこまで本当なんだ?」
「何を言っているのか分からないな。嘘を報告するわけないだろ」
「まぁ……それもそうだが、しかし、お前があげた報告は全世界に衝撃を与えるぞ。まさか、本当に実在するとは。記憶を改ざんする魔法……」
「あっても今まで認知されなかったのは無理ないだろう。なにせ、そんな魔法が実在すると知られたくはないだろう、使用できる身としては。知られないからこそ、警戒もされない。まぁ、俺にやったのは運の尽きだったが」
「知らないんだろ、お前が魔法無効化出来ることを。耐性より、より強力な防御魔法が使えることを」
「別に隠しているわけじゃないんだが」
「お前の話しでは三叉槍を持った若い男……」
「おっと、その話しまでバーリンはしたのか。全く不用心だな、あの人も」
「俺は口が堅い」
「その点は心配していない。世界の均衡と安定を望むお前のことだからな」
「ああ。 ……それと、もう一つ聞いたぞ」
「?」
「お前、弟子をとったらしいな。お前らしくないな、孤独だったお前が」
マーズは鼻で笑った。
「なにがおかしい?」
「いや……俺はずっと一人だったわけじゃない。ギルドにも属しているしな。俺が召喚魔法使えるからって、そいつら全員一人ぼっちと考えるのは偏見と言うんだ。孤独の時もあった、というのが正確だ。誰かさんみたいにずっと孤独じゃない」
「そうか」
「それに、孤独なら誰かと喋ることもないんじゃないのか」
「……それもそうだな」
「三叉槍……アレを見てピンときたよ。アレを使いこなしている奴なら俺でも記憶に残る。話題の一つもならないのはおかしい。それに、俺の前だからか、魔力をだいぶ隠していた。多分、厄介だろうな」
ローワンは眉をピクリと動かした。
「お前が強者と認める相手なのか!?」
「俺はあいつをずっと見ていたが、呪文を唱えている様子はなかった。それに、アルファが現れた時にはその相手は気づいたらいなかった。なのに、俺以外誰も、一人いなくなったことに気づけていなかった。恐ろしいくらいに自然に消えていたんだ」
「記憶と共にか。それは厄介そうだ」
◇◆◇◆◇
その頃、バーリンは定例会議に出席する為、ギルド本部がある大都市メティスに来ていた。
ギルド本部は三角屋根のまるで大聖堂のような建物である。
その中心には円卓があり、そこが会議室となる。
会議室にはギルドの支部長を任されている人達が出席するのだが、一様述べておくとバーリンはギルド支部長ではない。
誰かが会議室に入っていきたバーリンを見て「また、ガニメデ支部の支部長は欠席か」「この会議の重要性を理解しているのか?」と、文句の声が聞こえてきたが、バーリンはいつものように耳の遠いフリをしたまま席についた。
まだ、席は一つ空席があった。それはテーベ支部の支部長の席だ。しかし、テーベ支部は壊滅している。
一つの空席のまま残し、会議室の扉は閉ざされた。
すると、スキンヘッドに左頬の縦に古い傷があるギルド本部長が最初の挨拶を始めだした。
「これより、定例会議を始める。その前に二つ皆に知らせたいことがある。一つ目はテーベ支部がやられた。したがって、テーベ支部は空席のままとなる」
これは皆事前に知っていたことだ。
「もう一つは、ギルドの人間になりすました謎の男についてだ」
これも事前に議題にあがることは知らされていたが、皆の動揺は隠せれないでいた。
当然である。それはギルドの危機、いや、それどころの問題ではない。国家転覆、世界征服、それが笑い話ではすまされない重大な問題、危機であるということ。
「ハッキリ言えば、今回の会議のメインと言える。それでは、まずそれから話しをしようではないか」
レイチェルは今、学校の授業を受けていた。
教室の席は決まっておらず、皆は自由に座った。レイチェルはいつも前の席に座った。
学校ではそれぞれの科目に先生がおり、担任と呼ばれる先生はいない。
今、受けている授業は実技ではなく座学中心の『基本魔法』である。その授業をするのは眼鏡をかけた男の先生だった。定年間近の白髪の先生の目はいつも生徒達に厳しかった。
だが、今はどの生徒もこの時期は真面目だった。それは卒業試験が近いからだ。試験が終われば、あとは卒業という学校イベントのみとなる。レイチェルにとっては学校の思い出はそれが最後になるのだ。
「回復魔法が得意とする魔法使いは大抵、優しい心を持った者が多いと統計で出ている。他にも、複雑な魔法が出来る魔法使いは大抵決まって手先も器用な者が多い。学校の授業では得意不得意関係なく実技で魔法を教えてきたが、それはどれも魔法レベルが低く、不得意とした魔法でもレベルが低くければ可能な範囲だったからだ。しかし、より高度な魔法となると、誰もが出来る範囲とは限らなくなってくる。君達は魔法を勉強している間に自分の得意分野を見つけてきた筈だ。それを活かし延ばすことが君達の魔法の能力を上げるコツになる。不得意な魔法を克服するやり方はオススメしない。ハッキリ言えば、時間を無駄にするだけだ。勿論、例外がないわけではないが」
今の話しは既に予習してきたことだし、むしろ今までの勉強の復習と言ってもいい。だが、そもそも卒業試験事態がそれに近い。
レイチェルにとって、今までの成績が良かったわけだから、卒業試験も特に苦労することはない。むしろ、成績が常にギリギリだった者にとっては卒業試験こそが地獄だろう。試験範囲も比にならない。
レイチェルはノートの白紙のページにボールペンの先を渦を巻くように転がしていた。
今、彼女の頭の中には先生の話しを元にマット達にそれを当てはめて考えていた。
それでいけば、マットは敵を取り込み自分の魔力に融合させ、鎧に変え、更には完全武装で姿を変えてしまう。完全武装事態は代用できる魔法があり、それが変身魔法になるが、それよりも完成度が高いのがマットの完全武装だった。しかし、マットがどのような人生を送ってそのような魔法を手にしたのか想像がつかない。それでいったらシシリーもそうだ。彼女は自分の武器を生成していた。むしろ、魔法武器では彼女の魔法が耐えられないからだ。どうやったらそんな攻撃特化のような魔力を手にできるのか。スイの魔法は特に不思議で謎だ。
これだけは言える。
私が見てきた強い人は、皆かなり強い魔法を持っている。
私はいったいどんな魔法が使えるというのか…… 。
正直に言えば、マット達の戦いを見て自分は自信をなくした。
成績が良かったのは、誰もができる魔法だったから。努力でなんとかなる。学校の授業がいかに、学校の敷地を出ると生易しかったかが分かる。
ただ、勉強ができるというだけだ。だが、勉強がゴールではない。スタートなのだ。学校には目標があり、努力で結果が出るシンプルでやりやすかった。でも、外はそうではない。むしろ、シンプルはなく複雑で混沌としていた。不安が大きい。自分は卒業してからやっていけるのか。
マット達のように今の自分が強いとは思えない。
せっかくあった自信が目の前の大きな壁で不安になるなんて…… 。
◇◆◇◆◇
その頃、マーズはギルドにいた。しかし、受付のカウンターにいたのはいつものバーリンではなく、片眼鏡に口髭を生やし煙草を加えながらタイプライターを打っているスーツ姿の男性だった。そばには冷めきったコーヒーが半分以上残っている。ほとんど、仕事に集中していて飲んでいる暇もなかったくらいだ。
「ローワンか。会計士がなんでそこで仕事している」
「俺が聞きたいくらいだ」
「バーリンはどうした?」
すると、ローワンは自分の腕時計を見た。
「あいつなら一時間と十二分前に出掛けていった。私に受付のかわりをさせてな」
「ああ、定例会議に行ったのか。もう、そんな時期か」
「そんなところだ」
「なら、今日は休むか」
「待て。俺に受付をやらせるつもりか」
「文句ならバーリンに言え。やらせたのは俺じゃない」
そう言って立ち去ろうとするマーズにしつこくもう一度ローワンは彼の名を呼んだ。
「なんだ? 言っとくが受付のかわりはしないぞ」
「そうじゃない。お前がギルドに報告した件、どうやらそれも今回の定例会議の議題に上がったらしい」
「そりゃそうだろう。その為に報告した」
「問題はそこじゃない。あれはどこまで本当なんだ?」
「何を言っているのか分からないな。嘘を報告するわけないだろ」
「まぁ……それもそうだが、しかし、お前があげた報告は全世界に衝撃を与えるぞ。まさか、本当に実在するとは。記憶を改ざんする魔法……」
「あっても今まで認知されなかったのは無理ないだろう。なにせ、そんな魔法が実在すると知られたくはないだろう、使用できる身としては。知られないからこそ、警戒もされない。まぁ、俺にやったのは運の尽きだったが」
「知らないんだろ、お前が魔法無効化出来ることを。耐性より、より強力な防御魔法が使えることを」
「別に隠しているわけじゃないんだが」
「お前の話しでは三叉槍を持った若い男……」
「おっと、その話しまでバーリンはしたのか。全く不用心だな、あの人も」
「俺は口が堅い」
「その点は心配していない。世界の均衡と安定を望むお前のことだからな」
「ああ。 ……それと、もう一つ聞いたぞ」
「?」
「お前、弟子をとったらしいな。お前らしくないな、孤独だったお前が」
マーズは鼻で笑った。
「なにがおかしい?」
「いや……俺はずっと一人だったわけじゃない。ギルドにも属しているしな。俺が召喚魔法使えるからって、そいつら全員一人ぼっちと考えるのは偏見と言うんだ。孤独の時もあった、というのが正確だ。誰かさんみたいにずっと孤独じゃない」
「そうか」
「それに、孤独なら誰かと喋ることもないんじゃないのか」
「……それもそうだな」
「三叉槍……アレを見てピンときたよ。アレを使いこなしている奴なら俺でも記憶に残る。話題の一つもならないのはおかしい。それに、俺の前だからか、魔力をだいぶ隠していた。多分、厄介だろうな」
ローワンは眉をピクリと動かした。
「お前が強者と認める相手なのか!?」
「俺はあいつをずっと見ていたが、呪文を唱えている様子はなかった。それに、アルファが現れた時にはその相手は気づいたらいなかった。なのに、俺以外誰も、一人いなくなったことに気づけていなかった。恐ろしいくらいに自然に消えていたんだ」
「記憶と共にか。それは厄介そうだ」
◇◆◇◆◇
その頃、バーリンは定例会議に出席する為、ギルド本部がある大都市メティスに来ていた。
ギルド本部は三角屋根のまるで大聖堂のような建物である。
その中心には円卓があり、そこが会議室となる。
会議室にはギルドの支部長を任されている人達が出席するのだが、一様述べておくとバーリンはギルド支部長ではない。
誰かが会議室に入っていきたバーリンを見て「また、ガニメデ支部の支部長は欠席か」「この会議の重要性を理解しているのか?」と、文句の声が聞こえてきたが、バーリンはいつものように耳の遠いフリをしたまま席についた。
まだ、席は一つ空席があった。それはテーベ支部の支部長の席だ。しかし、テーベ支部は壊滅している。
一つの空席のまま残し、会議室の扉は閉ざされた。
すると、スキンヘッドに左頬の縦に古い傷があるギルド本部長が最初の挨拶を始めだした。
「これより、定例会議を始める。その前に二つ皆に知らせたいことがある。一つ目はテーベ支部がやられた。したがって、テーベ支部は空席のままとなる」
これは皆事前に知っていたことだ。
「もう一つは、ギルドの人間になりすました謎の男についてだ」
これも事前に議題にあがることは知らされていたが、皆の動揺は隠せれないでいた。
当然である。それはギルドの危機、いや、それどころの問題ではない。国家転覆、世界征服、それが笑い話ではすまされない重大な問題、危機であるということ。
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