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11 嘘つき
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黒板にチョークが当たる音が廊下まで響いていた。俺達は細かいお辞儀を首だけ動かしながら、前と下を交互に見る。先生の言葉を文章へとノートに変換させ、その隣の教室は移動教室中で静かだった。
一年の廊下。
中学に慣れた生徒は最初の頃に比べれば落ち着きがある。
二年の廊下。
机を合わせ各班で黒板に書かれたテーマを話し合う教室もあれば、気合いの入った男性教師の声が廊下にまで漏れている教室もある。
三年の廊下。
教室によっては空席が目立つクラスがいつも通りに授業が進められている。名簿には名前があっても、ここではいないことになっている。受験生にとって不登校にかまけている余裕はなく、教師も気にせず登校している生徒に集中していた。
ニキビを増やしながら、仲間だった彼らがいつの間にか姿を現さなくなっても関心を持たれることはなかった。
散々やりたいように自分勝手でいつまでも反抗してばかりの彼らと違い、自分達は自分達の進路が大事で、むしろ、いつまでも反抗してないで落ち着くことが成長、大人になると思っている。
俺達二年はどうだろうか? この関係は偽物なのだろうか? 各々が進路を考え始め、この中学三年間が終われば卒業と同時にバラバラになる。勿論、高校で新しい出会い、仲間と出会うだろう。そしたら、俺達の関係はそこで終わってしまうのだろうか? 中学を卒業していない俺達にとって当然経験のないことだ。
夜のコンビニ帰りの俺は信号待ちをしていた。すると、向かいの交差点角で俺と同じように信号待ちをしている同じ中学生の男子がいたことに気づいた。そいつは水谷と言って三年で今は不登校の生徒だった。いわゆるヤンキーだった。学校では有名だった。そいつはいつも同じ不登校と一緒に行動していた。だが、今は一人で何故か顔面は痣が出来ていて、唇は切れていて血が固まっていた。身長は俺と同じくらいで、格好はジーパンに白のシャツ姿だった。水谷は俺に気がついた。なんとなく目が合ってしまい、俺は直ぐに目をそらしたが気まずい雰囲気になり、だからといってわざわざ引き返すのもおかしく、そうこうしているうちに信号が青になった。二人は前に進んだ。俺と水谷は横断歩道の真ん中ですれ違い、何事もなくお互いをスルーして進んだ。横断歩道を渡りきると、後ろで賑やかな男子達の会話が聞こえてきた。
「あらー? 水谷じゃん。ねぇ、無視すんなよ。俺達仲良かったじゃん。挨拶くらいしろって!」
そう言って金髪に染めた男は水谷の腹に一発食らわした。俺は振り返って水谷を囲む男子達を見た。ピアスをしていたり、髪を染めていたりしているが、どう見ても中学生だった。他校の不良達だ。彼らは他校ともトラブルを起こす問題集団だ。不登校問題には様々な問題があるように、様々な理由がある。その多くは家庭環境にあるが、連中はそれとは違う。彼らは反抗ではなく暴力的だった。大人達に対する抵抗とは違い、社会そのものを嫌い、自由を生きる。他人の迷惑なんて考えず、好き勝手の度合いも犯罪レベルだ。
「水谷君さぁ、俺達金ないんだわ。だからさ、分かるよね?」
そう言って金髪野郎は水谷の了承を得ずにポケットに手を突っ込み、確認していく。
「なんだよ、何もないじゃん。これは立派にあんのによぉ」
金髪はポケットに入れたまま水谷の股間を握りしめた。水谷が悲鳴をあげると周りは笑いだした。
信号は点滅し、赤になった。
水谷は何もやり返さなかった。それをいいことに金髪野郎は「早く金を持って来いよ」と言った。水谷は返事どころか頷きもしなかった。
「おい、無視してんじゃねぇよ!」
その直後、クラクションが鳴った。俺は信号を無視して横断歩道を渡ると、金髪野郎に蹴りを横腹めがけて入れた。
金髪野郎は脆く膝をついて自分の蹴られた横腹をおさえた。
「てめぇ」
金髪野郎を蹴った時、奴からは煙草臭がした。こいつ、中学生でもう煙草を吸ってやがる。してはいけないことをする、やってはいけないことをする、叱られる、今度はバレないようどう隠れるかを考える、そんなことを彼らはしない。やるなら堂々と、叱る大人がいれば囲みミンチ。大人達はそんな子どもを恐れ、何もせず、黙ったまま社会から無視する。彼らの思うつぼであり、それが彼らの自由だった。そんな馬鹿達にとって俺のような奴は想定外だった。
全員が唖然として驚いているなか、金髪が仲間に怒鳴った。
「なに突っ立ってんだ! とっととコイツをやりやがれ!」
我に返った連中はオラオラと猿みたいに騒ぐ。俺は失笑した。そしたら、ある一人が俺の顔を見て思い出したかのような顔をした。
「こいつ、例のキシという野郎ですよ! 吉川先輩を素手で止めた野郎です」
吉川という名前を聞いてピンときた。そうか、コイツら吉川とも知り合いだったのか。
吉川というのは、刃物を振り回した例の事件の犯人だ。逮捕され送検された筈。
「お前、そいつの名前は出すなって分かんねぇのか!」
金髪が怒鳴った。
「す、すいません」
すると、車の運転手が出てきたスーツの中年男性が出てきた。瀟洒なネクタイをし、小太りでメガネをかけていた。
「おい、お前達なにしてる! 危ないじゃないか。急に飛び出して。信号が赤なの分からないのか? 信号が赤の時は止まるんだよ!」
「おい、オッサン。うるせぇよ。俺は今コイツと喋ってんだ。見りゃ分かるだろ?」
「なんだと? 大人に向かって何様のつもりだ」
「ハッ、何様? なら、痛い目見るかオッサン?」
金髪と周りのガキ達を見てオッサンと呼ばれた男は足がすくんだ。
そこに更に男子達が現れた。それは水谷と同じ不登校の男子だった。
「お、来た来た。こっちこっち」
男子達はケラケラと笑いながら信号を無視して横断歩道を渡る。
オッサンは急いで運転席へ戻るとバックをし、急発進して角を曲がっていった。後ろの赤いランプがあっという間に消えていった。
後から来た男子達は俺を見て笑いが止まった。
「なぁ、水谷が生意気でさぁ、もう一度懲らしめてくれないかな。ついでにお前達の後輩もやってくれよ」
「それは……」
「お前、一緒にいた友達を何で殴れるんだ?」
俺は状況を悟ってそいつらに聞いた。水谷の怪我は、友達と喧嘩して出来た傷じゃない。
「お前ら酷いな。こんな奴の言いなりで簡単に友達裏切るのか? お前分かってるのか? 水谷がいなくなったら今度はお前らの中から水谷の二人目が選ばれる。分かりきったことだろ? なんでそんなことも分からない」
奴らは何も言い返せなかった。口を紡ぐのは、自分達の過ちに気づいているからだ。どう自己を肯定する言葉を探しても、したことを無くすことは出来ない。
「てめぇら最低だな」
「なにしてる! こいつをやっちまえ!」
それからは拳のやり合いだった。俺はムカつく金髪野郎の顔面を殴った。奴の歯が吹き飛んだ。血まみれの歯が側溝の隙間から落ちていった。水谷も抵抗したが、相手の方が喧嘩は上手かった。水谷の同級生が俺を後ろからとりおさえ、そこに複数で殴りかかった。俺は背中にひっついているゴミを払うように後ろへ足を蹴飛ばし、解放されると殴った男を殴り返した。
何時間やりやったか。流石に相手が多かった。無敵じゃないから、先に膝をついたのは俺だった。水谷はもっと早くに倒れていた。皆はズタボロだった。金髪野郎が腹いせに俺を何度か蹴ってから、皆と一緒に去っていった。
俺は血の混じったツバを吐き捨て、立ち上がった。水谷は仰向けのまま俺を見ていた。
「なんで、俺なんかを構った?」
「お前なんか嫌いだよ勘違いすんな。だが、見てられなかった」
「なら、あのオッサンのように見捨てりゃいいだろ」
「お前、自分を大事にしないんだな」
「ハッ……何を言い出すかと思えば……大事にされたことがないからだ。俺のクソ母親は不倫したんだ。それに気づいた父はショックで自殺した」
彼は絶対だった大人達が崩壊していく姿を目の当たりしたのだ。大人に不信をいだき、裏切られ、その不信は続き学校の教師という大人も同様で反発し、すると中学になってから今度は仲間を失い、行き場を失い、彼は空っぽの家で一人になっていた。そして、遂に家の外でも友人に裏切られ、本当の孤独になっていた。
「言っとくがお前に同情なんかされたくねぇ。誰にも俺を同情させねぇ」
「お前はそれでいいのか?」
「は? どういう意味だよ」
「このままどうするつもりなんだ?」
「お前には関係ない」
水谷は起き上がった。その時の俺を見る目は変わっていた。俺も水谷を見る目が変わった。
人は分からないものだ。不器用で時に拳をふるい喧嘩する。喧嘩はよくないと大人達に言われながらも、俺達は拳の痛みを確認し合って生きている。俺も水谷もボロボロだ。それが若さなんだろう。大人になったら出来ないことだ。
「俺は今もお前を恨んじゃいねぇよ」
水谷は黙ったまま外灯の光から影の中へと消えていった。俺はそれを見送った。
後日、水谷が何者かによって刃物で襲われた。怪我を負った水谷は救急搬送され、治療を受けている。その報道を朝から見た俺は学校を無断欠席した。犯人は分かっている。あいつらだ。
俺は適当に連中がたむろしてそうな場所を回った。すると、水谷の同級生が公園のブランコに座っていた。座りきらない一人はその横で立っている。俺が近づくと、奴らも気がついた。俺をただじっと見ている。
「お前の同級生がやられたのは知っているだろ?」
「なんのことだ」
俺はそう答えた奴の胸ぐらを掴んでブランコから強引に立たせた。ブランコが反動で揺れてそれがそいつの足に当たるが、男は俺に集中していた。
「水谷のことだ。やったのは誰だ?」
「知らねぇよ」
「お前らがつるんでる他校の奴らだろ?」
「……」
「そうなんだろ?」
「知ってどうする?」
「なんでお前らは何もしない? お前らなんで他校の言いなりになってるんだ?」
「は? そんなんじゃねぇよ」
「なら、何故たかが他校を庇う? あんなの仲間じゃないだろ? お前達が庇う理由はなんだ?」
「だから、お前には関係ないだろ? 第一、なんで二年のお前が水谷のことを気にするんだよ?」
そいつは胸ぐらを掴む俺の腕を払った。それから服のシワを戻している。そんなどうでもいいことは気にして、肝心なことに目をそらしている。
「あいつらの居場所を教えろ」
「どうすんだよ? 昨日どうなったのか忘れたのかよ」
「それはお前らに関係あんのか?」
「お前一人で何が出来る? 威勢馬鹿は引っ込んでろ」
「何もしない臆病者が俺の心配か?」
三年は舌打ちした。そして、遂に場所を教えた。
「廃工場だよ」
廃工場と聞いてなんともドラマシチュエーションに選ばれやすそうな場所だと思った。不良のたまり場か。単純に不法侵入。解体が決まった今は無人のその場所で彼らは集まって何をするのか?
俺は走ってその場所へ向かった。走りながら無断欠席した言い訳を考えた。橘にもこの怪我のことを説明しなきゃならない。朝、顔を洗った時にしみる痛みは目覚めによく効いた。親は俺の怪我を見て笑っただけだった。心配とかじゃなく、中学生らしいなという目だった。子どもの喧嘩に俺の親は注意すらしなかった。放任主義とは違う、子どもとはそういうものだという理解があるのか?
交差点を幾つかこえて、徐々に海の香りがした。廃工場はその近くにあった。俺はその工場の敷地に入った。例の金髪野郎もそこにいた。金髪野郎が先に気づくと、周囲の目線もそちらに向いた。
「なんだてめぇ、昨日の野郎か? またやられに来たのか?」
周りは笑った。昨日の件で自信がついたんだろう。集団でなきゃ何も出来ない連中が。
「ニュースを見た」
「なんだ、俺らがやったって言うのか? 証拠はあんのか?」
「ない」
また、連中は笑った。
「ないのに疑われてんのか俺達は? お前さ、一人でのこのこやって来てヒーローのつもりか? アメコミの見過ぎなんじゃねぇのか。現実を見ろよ」
「アメコミは面白いから好きだが、憧れはしない。あれは普通の人間が出ないだろ」
「余裕ぶってんじゃねぇよ」
金髪は走り出した。周りも続き、俺も走った。
拳がぶつかる鈍い音がした。俺の拳はまた金髪野郎の生意気な顔面が吹き飛んだ。その後は悲惨だった。囲まれた俺は沢山蹴られ、サンドバッグだった。昨日の痣がまだおさまっていないうちにまた新しい痣をつくる。俺の拳も赤くなっている。太陽が眩しく、周囲は馬鹿どもの雑音がうるさい。
「てめぇ! 覚悟しろよ。全裸にして土下座させてやる。俺は簡単には許さねぇからな!」
その時だった。遠くから加勢に入る戦士のような声が空高くまで響いた。水谷の同級生だった。
「なんだてめぇら!」
そこからは乱闘だった。拳のぶつかる音、蹴られる音、それがあちこちで起きては誰かが倒れ、また一人倒れる。
長い時間が過ぎ、他校の半分が倒れ地面に伏してる頃、こっちは全滅だった。かろうじて俺は膝をついているが、あとは皆地面に転がっている。
金髪は俺の髪を掴んで引っ張った。
「なぁ、そこに転がってるお前の先輩達はだらしがないよなぁ。前も俺達とちょっと喧嘩してよ、そん時もこいつらは今みたいに寝っ転がって、腹をかかえて痛がってよ、間抜けな面してたよ。せっかくそんときは許してやったのに。お前が悪いんだぞ」
金髪は煙草臭い口臭を近づけてから、喉もとに冷たい刃物が当たった。
「お前の言う通り、水谷は俺がやったんだよ」
「おい!」金髪の仲間がそれはマズいぞという慌てた顔をしていたが、金髪はそいつを睨みつけた。
「うるせぇよ」
俺は金髪がそっちに目をそらした瞬間、反撃に出た。そいつの喉もとに手刀の突きをした。
金髪は自分の喉をおさえた。深くはない。それでも、金髪は反撃されて直ぐに反応出来なかった。具体的には自分の喉をおさえている間も意識は俺からそらし自分の喉の心配をしていた。俺はよろめいた金髪野郎に蹴りを飛ばし腹に当てた。更に追撃をしたかったが、その前に奴はナイフを振ってきた。一度目は空気を切っただけだが、金髪はナイフを突き出しながら向かってきた。俺は避けたが、二の腕がかすって傷口から血が流れた。たかがかすり傷だ。俺は金髪のナイフに集中した。金髪は叫んだ。再び刃物の先が俺に向かってきた。俺はそれを避けながらそいつの腕を掴み、足を引っ掛け投げ技をした。刃物は男の手から離れ、金髪は地面に倒れ込んだ。金髪がやられたのを見て、まだ立っていた仲間達はその場から逃げ出した。所詮、こいつらの仲間意識はその程度だった。
金髪野郎は逮捕された。水谷の怪我はそこまで深くなく、暫くして退院した。水谷達はその後も学校に来ていない。だが、最近は不登校の生徒に対してもオンラインやメタバースを使った対応がなされるようになっていた。水谷達はようやく中学生をやり直していた。いや、ようやくスタートに立ったと言うべきか。他より遅いスタートになったが、ペースは人それぞれだ。
三年はもう完全に後輩にちょっかいが無くなった。
橘は俺がしていたことを知り、泣きながら怒った。
「無茶し過ぎ」
自分の為に泣いてくれる人がいることは幸せなことだと思った。
あいつらがあの後どうなったかは知らない。だが、水谷達と大きく違うのは、引き戻してくれる人がいるかいないかの問題だろう。水谷達があのままだったらどうなっていたかは分からない。
俺が窓から校庭を眺めていると、横に高田が現れた。
「俺はお前が分からないよ」
「三年を助けたからか?」
「お前が自分を大事にしてないからだ」
「そんなことはない。まだ死にたいとは思っていないし、あんな奴らに負ける気はしなかった。それよりお前はどうなんだ? 三年を恨んでるのか」
「俺は許せねぇ。お前みたいに誰彼構わず助けたりは出来ない」
「そんなんじゃないよ。俺だって助けるかは選ぶよ」
「嘘つけ」
「嘘じゃない」
「そうかよ」
「お前は俺を恨んでるか? あいつらを助けたことを」
「まさか」
「嘘だな」
「嘘じゃねぇよ」
一年の廊下。
中学に慣れた生徒は最初の頃に比べれば落ち着きがある。
二年の廊下。
机を合わせ各班で黒板に書かれたテーマを話し合う教室もあれば、気合いの入った男性教師の声が廊下にまで漏れている教室もある。
三年の廊下。
教室によっては空席が目立つクラスがいつも通りに授業が進められている。名簿には名前があっても、ここではいないことになっている。受験生にとって不登校にかまけている余裕はなく、教師も気にせず登校している生徒に集中していた。
ニキビを増やしながら、仲間だった彼らがいつの間にか姿を現さなくなっても関心を持たれることはなかった。
散々やりたいように自分勝手でいつまでも反抗してばかりの彼らと違い、自分達は自分達の進路が大事で、むしろ、いつまでも反抗してないで落ち着くことが成長、大人になると思っている。
俺達二年はどうだろうか? この関係は偽物なのだろうか? 各々が進路を考え始め、この中学三年間が終われば卒業と同時にバラバラになる。勿論、高校で新しい出会い、仲間と出会うだろう。そしたら、俺達の関係はそこで終わってしまうのだろうか? 中学を卒業していない俺達にとって当然経験のないことだ。
夜のコンビニ帰りの俺は信号待ちをしていた。すると、向かいの交差点角で俺と同じように信号待ちをしている同じ中学生の男子がいたことに気づいた。そいつは水谷と言って三年で今は不登校の生徒だった。いわゆるヤンキーだった。学校では有名だった。そいつはいつも同じ不登校と一緒に行動していた。だが、今は一人で何故か顔面は痣が出来ていて、唇は切れていて血が固まっていた。身長は俺と同じくらいで、格好はジーパンに白のシャツ姿だった。水谷は俺に気がついた。なんとなく目が合ってしまい、俺は直ぐに目をそらしたが気まずい雰囲気になり、だからといってわざわざ引き返すのもおかしく、そうこうしているうちに信号が青になった。二人は前に進んだ。俺と水谷は横断歩道の真ん中ですれ違い、何事もなくお互いをスルーして進んだ。横断歩道を渡りきると、後ろで賑やかな男子達の会話が聞こえてきた。
「あらー? 水谷じゃん。ねぇ、無視すんなよ。俺達仲良かったじゃん。挨拶くらいしろって!」
そう言って金髪に染めた男は水谷の腹に一発食らわした。俺は振り返って水谷を囲む男子達を見た。ピアスをしていたり、髪を染めていたりしているが、どう見ても中学生だった。他校の不良達だ。彼らは他校ともトラブルを起こす問題集団だ。不登校問題には様々な問題があるように、様々な理由がある。その多くは家庭環境にあるが、連中はそれとは違う。彼らは反抗ではなく暴力的だった。大人達に対する抵抗とは違い、社会そのものを嫌い、自由を生きる。他人の迷惑なんて考えず、好き勝手の度合いも犯罪レベルだ。
「水谷君さぁ、俺達金ないんだわ。だからさ、分かるよね?」
そう言って金髪野郎は水谷の了承を得ずにポケットに手を突っ込み、確認していく。
「なんだよ、何もないじゃん。これは立派にあんのによぉ」
金髪はポケットに入れたまま水谷の股間を握りしめた。水谷が悲鳴をあげると周りは笑いだした。
信号は点滅し、赤になった。
水谷は何もやり返さなかった。それをいいことに金髪野郎は「早く金を持って来いよ」と言った。水谷は返事どころか頷きもしなかった。
「おい、無視してんじゃねぇよ!」
その直後、クラクションが鳴った。俺は信号を無視して横断歩道を渡ると、金髪野郎に蹴りを横腹めがけて入れた。
金髪野郎は脆く膝をついて自分の蹴られた横腹をおさえた。
「てめぇ」
金髪野郎を蹴った時、奴からは煙草臭がした。こいつ、中学生でもう煙草を吸ってやがる。してはいけないことをする、やってはいけないことをする、叱られる、今度はバレないようどう隠れるかを考える、そんなことを彼らはしない。やるなら堂々と、叱る大人がいれば囲みミンチ。大人達はそんな子どもを恐れ、何もせず、黙ったまま社会から無視する。彼らの思うつぼであり、それが彼らの自由だった。そんな馬鹿達にとって俺のような奴は想定外だった。
全員が唖然として驚いているなか、金髪が仲間に怒鳴った。
「なに突っ立ってんだ! とっととコイツをやりやがれ!」
我に返った連中はオラオラと猿みたいに騒ぐ。俺は失笑した。そしたら、ある一人が俺の顔を見て思い出したかのような顔をした。
「こいつ、例のキシという野郎ですよ! 吉川先輩を素手で止めた野郎です」
吉川という名前を聞いてピンときた。そうか、コイツら吉川とも知り合いだったのか。
吉川というのは、刃物を振り回した例の事件の犯人だ。逮捕され送検された筈。
「お前、そいつの名前は出すなって分かんねぇのか!」
金髪が怒鳴った。
「す、すいません」
すると、車の運転手が出てきたスーツの中年男性が出てきた。瀟洒なネクタイをし、小太りでメガネをかけていた。
「おい、お前達なにしてる! 危ないじゃないか。急に飛び出して。信号が赤なの分からないのか? 信号が赤の時は止まるんだよ!」
「おい、オッサン。うるせぇよ。俺は今コイツと喋ってんだ。見りゃ分かるだろ?」
「なんだと? 大人に向かって何様のつもりだ」
「ハッ、何様? なら、痛い目見るかオッサン?」
金髪と周りのガキ達を見てオッサンと呼ばれた男は足がすくんだ。
そこに更に男子達が現れた。それは水谷と同じ不登校の男子だった。
「お、来た来た。こっちこっち」
男子達はケラケラと笑いながら信号を無視して横断歩道を渡る。
オッサンは急いで運転席へ戻るとバックをし、急発進して角を曲がっていった。後ろの赤いランプがあっという間に消えていった。
後から来た男子達は俺を見て笑いが止まった。
「なぁ、水谷が生意気でさぁ、もう一度懲らしめてくれないかな。ついでにお前達の後輩もやってくれよ」
「それは……」
「お前、一緒にいた友達を何で殴れるんだ?」
俺は状況を悟ってそいつらに聞いた。水谷の怪我は、友達と喧嘩して出来た傷じゃない。
「お前ら酷いな。こんな奴の言いなりで簡単に友達裏切るのか? お前分かってるのか? 水谷がいなくなったら今度はお前らの中から水谷の二人目が選ばれる。分かりきったことだろ? なんでそんなことも分からない」
奴らは何も言い返せなかった。口を紡ぐのは、自分達の過ちに気づいているからだ。どう自己を肯定する言葉を探しても、したことを無くすことは出来ない。
「てめぇら最低だな」
「なにしてる! こいつをやっちまえ!」
それからは拳のやり合いだった。俺はムカつく金髪野郎の顔面を殴った。奴の歯が吹き飛んだ。血まみれの歯が側溝の隙間から落ちていった。水谷も抵抗したが、相手の方が喧嘩は上手かった。水谷の同級生が俺を後ろからとりおさえ、そこに複数で殴りかかった。俺は背中にひっついているゴミを払うように後ろへ足を蹴飛ばし、解放されると殴った男を殴り返した。
何時間やりやったか。流石に相手が多かった。無敵じゃないから、先に膝をついたのは俺だった。水谷はもっと早くに倒れていた。皆はズタボロだった。金髪野郎が腹いせに俺を何度か蹴ってから、皆と一緒に去っていった。
俺は血の混じったツバを吐き捨て、立ち上がった。水谷は仰向けのまま俺を見ていた。
「なんで、俺なんかを構った?」
「お前なんか嫌いだよ勘違いすんな。だが、見てられなかった」
「なら、あのオッサンのように見捨てりゃいいだろ」
「お前、自分を大事にしないんだな」
「ハッ……何を言い出すかと思えば……大事にされたことがないからだ。俺のクソ母親は不倫したんだ。それに気づいた父はショックで自殺した」
彼は絶対だった大人達が崩壊していく姿を目の当たりしたのだ。大人に不信をいだき、裏切られ、その不信は続き学校の教師という大人も同様で反発し、すると中学になってから今度は仲間を失い、行き場を失い、彼は空っぽの家で一人になっていた。そして、遂に家の外でも友人に裏切られ、本当の孤独になっていた。
「言っとくがお前に同情なんかされたくねぇ。誰にも俺を同情させねぇ」
「お前はそれでいいのか?」
「は? どういう意味だよ」
「このままどうするつもりなんだ?」
「お前には関係ない」
水谷は起き上がった。その時の俺を見る目は変わっていた。俺も水谷を見る目が変わった。
人は分からないものだ。不器用で時に拳をふるい喧嘩する。喧嘩はよくないと大人達に言われながらも、俺達は拳の痛みを確認し合って生きている。俺も水谷もボロボロだ。それが若さなんだろう。大人になったら出来ないことだ。
「俺は今もお前を恨んじゃいねぇよ」
水谷は黙ったまま外灯の光から影の中へと消えていった。俺はそれを見送った。
後日、水谷が何者かによって刃物で襲われた。怪我を負った水谷は救急搬送され、治療を受けている。その報道を朝から見た俺は学校を無断欠席した。犯人は分かっている。あいつらだ。
俺は適当に連中がたむろしてそうな場所を回った。すると、水谷の同級生が公園のブランコに座っていた。座りきらない一人はその横で立っている。俺が近づくと、奴らも気がついた。俺をただじっと見ている。
「お前の同級生がやられたのは知っているだろ?」
「なんのことだ」
俺はそう答えた奴の胸ぐらを掴んでブランコから強引に立たせた。ブランコが反動で揺れてそれがそいつの足に当たるが、男は俺に集中していた。
「水谷のことだ。やったのは誰だ?」
「知らねぇよ」
「お前らがつるんでる他校の奴らだろ?」
「……」
「そうなんだろ?」
「知ってどうする?」
「なんでお前らは何もしない? お前らなんで他校の言いなりになってるんだ?」
「は? そんなんじゃねぇよ」
「なら、何故たかが他校を庇う? あんなの仲間じゃないだろ? お前達が庇う理由はなんだ?」
「だから、お前には関係ないだろ? 第一、なんで二年のお前が水谷のことを気にするんだよ?」
そいつは胸ぐらを掴む俺の腕を払った。それから服のシワを戻している。そんなどうでもいいことは気にして、肝心なことに目をそらしている。
「あいつらの居場所を教えろ」
「どうすんだよ? 昨日どうなったのか忘れたのかよ」
「それはお前らに関係あんのか?」
「お前一人で何が出来る? 威勢馬鹿は引っ込んでろ」
「何もしない臆病者が俺の心配か?」
三年は舌打ちした。そして、遂に場所を教えた。
「廃工場だよ」
廃工場と聞いてなんともドラマシチュエーションに選ばれやすそうな場所だと思った。不良のたまり場か。単純に不法侵入。解体が決まった今は無人のその場所で彼らは集まって何をするのか?
俺は走ってその場所へ向かった。走りながら無断欠席した言い訳を考えた。橘にもこの怪我のことを説明しなきゃならない。朝、顔を洗った時にしみる痛みは目覚めによく効いた。親は俺の怪我を見て笑っただけだった。心配とかじゃなく、中学生らしいなという目だった。子どもの喧嘩に俺の親は注意すらしなかった。放任主義とは違う、子どもとはそういうものだという理解があるのか?
交差点を幾つかこえて、徐々に海の香りがした。廃工場はその近くにあった。俺はその工場の敷地に入った。例の金髪野郎もそこにいた。金髪野郎が先に気づくと、周囲の目線もそちらに向いた。
「なんだてめぇ、昨日の野郎か? またやられに来たのか?」
周りは笑った。昨日の件で自信がついたんだろう。集団でなきゃ何も出来ない連中が。
「ニュースを見た」
「なんだ、俺らがやったって言うのか? 証拠はあんのか?」
「ない」
また、連中は笑った。
「ないのに疑われてんのか俺達は? お前さ、一人でのこのこやって来てヒーローのつもりか? アメコミの見過ぎなんじゃねぇのか。現実を見ろよ」
「アメコミは面白いから好きだが、憧れはしない。あれは普通の人間が出ないだろ」
「余裕ぶってんじゃねぇよ」
金髪は走り出した。周りも続き、俺も走った。
拳がぶつかる鈍い音がした。俺の拳はまた金髪野郎の生意気な顔面が吹き飛んだ。その後は悲惨だった。囲まれた俺は沢山蹴られ、サンドバッグだった。昨日の痣がまだおさまっていないうちにまた新しい痣をつくる。俺の拳も赤くなっている。太陽が眩しく、周囲は馬鹿どもの雑音がうるさい。
「てめぇ! 覚悟しろよ。全裸にして土下座させてやる。俺は簡単には許さねぇからな!」
その時だった。遠くから加勢に入る戦士のような声が空高くまで響いた。水谷の同級生だった。
「なんだてめぇら!」
そこからは乱闘だった。拳のぶつかる音、蹴られる音、それがあちこちで起きては誰かが倒れ、また一人倒れる。
長い時間が過ぎ、他校の半分が倒れ地面に伏してる頃、こっちは全滅だった。かろうじて俺は膝をついているが、あとは皆地面に転がっている。
金髪は俺の髪を掴んで引っ張った。
「なぁ、そこに転がってるお前の先輩達はだらしがないよなぁ。前も俺達とちょっと喧嘩してよ、そん時もこいつらは今みたいに寝っ転がって、腹をかかえて痛がってよ、間抜けな面してたよ。せっかくそんときは許してやったのに。お前が悪いんだぞ」
金髪は煙草臭い口臭を近づけてから、喉もとに冷たい刃物が当たった。
「お前の言う通り、水谷は俺がやったんだよ」
「おい!」金髪の仲間がそれはマズいぞという慌てた顔をしていたが、金髪はそいつを睨みつけた。
「うるせぇよ」
俺は金髪がそっちに目をそらした瞬間、反撃に出た。そいつの喉もとに手刀の突きをした。
金髪は自分の喉をおさえた。深くはない。それでも、金髪は反撃されて直ぐに反応出来なかった。具体的には自分の喉をおさえている間も意識は俺からそらし自分の喉の心配をしていた。俺はよろめいた金髪野郎に蹴りを飛ばし腹に当てた。更に追撃をしたかったが、その前に奴はナイフを振ってきた。一度目は空気を切っただけだが、金髪はナイフを突き出しながら向かってきた。俺は避けたが、二の腕がかすって傷口から血が流れた。たかがかすり傷だ。俺は金髪のナイフに集中した。金髪は叫んだ。再び刃物の先が俺に向かってきた。俺はそれを避けながらそいつの腕を掴み、足を引っ掛け投げ技をした。刃物は男の手から離れ、金髪は地面に倒れ込んだ。金髪がやられたのを見て、まだ立っていた仲間達はその場から逃げ出した。所詮、こいつらの仲間意識はその程度だった。
金髪野郎は逮捕された。水谷の怪我はそこまで深くなく、暫くして退院した。水谷達はその後も学校に来ていない。だが、最近は不登校の生徒に対してもオンラインやメタバースを使った対応がなされるようになっていた。水谷達はようやく中学生をやり直していた。いや、ようやくスタートに立ったと言うべきか。他より遅いスタートになったが、ペースは人それぞれだ。
三年はもう完全に後輩にちょっかいが無くなった。
橘は俺がしていたことを知り、泣きながら怒った。
「無茶し過ぎ」
自分の為に泣いてくれる人がいることは幸せなことだと思った。
あいつらがあの後どうなったかは知らない。だが、水谷達と大きく違うのは、引き戻してくれる人がいるかいないかの問題だろう。水谷達があのままだったらどうなっていたかは分からない。
俺が窓から校庭を眺めていると、横に高田が現れた。
「俺はお前が分からないよ」
「三年を助けたからか?」
「お前が自分を大事にしてないからだ」
「そんなことはない。まだ死にたいとは思っていないし、あんな奴らに負ける気はしなかった。それよりお前はどうなんだ? 三年を恨んでるのか」
「俺は許せねぇ。お前みたいに誰彼構わず助けたりは出来ない」
「そんなんじゃないよ。俺だって助けるかは選ぶよ」
「嘘つけ」
「嘘じゃない」
「そうかよ」
「お前は俺を恨んでるか? あいつらを助けたことを」
「まさか」
「嘘だな」
「嘘じゃねぇよ」
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