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第3章 終焉
05 光
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一人の老人が住むには合わない立派な屋敷を出ると、通り道に頭のない天使の像を幾つか遭遇した。まるで、天使に恨みでもあるかのよう。だが、こうして見ると天使がどんな顔だったのか知らないことに気づく。神もそうだ。老人の言葉を思い出し、それがどんな顔をしているのか、どう見えるのか、それが自分には分かるのか、それはとても重要なことだと分かる。作者が想像したものではなく、自分がとても重要なんだ。
その道を抜けると目の前は崖になっていて、そこから景色が一望出来た。そこからの景色では山ぐらいの大きな盛り土が幾つもある。いくら人間でもこれ程の盛り土をしかも複数どうやったというのか?
アリスは辺りを見回した。近くに下り坂の道を見つけ、そちらに進む。
あの老人は魔法を知っていた。となれば、この世界は地球ではない筈。私の世界か?
下り坂を行くと今度は開けた場所でストーンサークルを見つけた。見た感じ古そうで勿論自然ではなく人為的であろうが、どんな理由かは不明だ。というよりここに来たのも、それからずっと変だ。そこから離れた草と土の大地では呼吸をしているかのように浮き沈みしている。ここの地盤もきっと弱い筈だ。なのに、この場所にストーンサークル? 遠くには大きな湖が見える。綺麗なブルー色だ。そこから巨大な醜い魚が浮かんでは泳ぎ、暫くしてまた沈んだりしている。空を飛んでいる鳥はみな首が長い。その鳥が餌を求め低く湖スレスレを飛ぶと、湖の中から長い赤い下が飛び出し長い首に巻き付くと、水面から巨大な口を開いたバカでかい白い蛙がその鳥を丸呑みして、また水の中へと沈んでいった。
「なんなのここ……」
その湖の端では巨大な錆びて朽ちた鉄の船が陸に乗り上げている。
アリスは魔法のコンパスを取り出した。コンパスなら現在地を示している筈だ。だが、そのコンパスが示す場所は地球になっていた。
「地球とは不思議な世界だな……」
まだ、知らない場所があったとは。
となると、あの老人は私のように魔法のコンパスで此方の世界に来た異世界人なのだろうか? もし、魔法消失前だとしたら、あの老人はもう自分の世界に戻れないことを意味する。
アリスの魔法のコンパスは既にチャージが出来ていて、いつでも使用可能状態になっている。
自分のミスですっかりヤマトをあの状況で置き去りにしてしまった。あの後、ヤマトはうまくやっているだろうか。早くコンパスで自分の世界に戻るべきだろうが、今目の前にあるこの場所がどうも気になってしまう。特に、よく分からない四人組にあった直後に飛ばされた場所だ。あの四人組が魔法のコンパスの行く先を変えられるなら、この場所に飛ばされたことにも何か意味がある気がしてならない。
もう少しだけ使うのを待って探索しようと思う。
湖から更に離れた先に見えるのは立派な陸橋だ。石造りで、それはまるでこの場所を囲っているように見える。この場所の裏側は分からないが、そう考えてもおかしくはない。その陸橋の先は深い霧に覆われよく見えない。
反対側も見てみるか…… 。
その頃、ヤマトは吐く息を白くしていた。船の窓には結露が出来ており、明らかに先程より気温が低くなっている。まるで真冬のようで、それなのに俺達は夏のような格好の上にそれは濡れていた。
「どうなってやがる……明らかに今日の天気はおかしいぞ。まるで、世界の終わりの前兆みたいじゃないか」
船の上では陸から追いかけるようにカラスが飛んで回っている。この嵐みたいな天気でだ。突風に吹かれ海に落ちていくカラスもいるというのに。それは分かっている……あれも死人の影響だ。
空は雷が複数連続で鳴り続けている。その下の荒れる遠くの海で渦が発生し、それは他の場所にも、またそこにも……そうやってどんどん増えていく。その渦の中心から不気味な人の悲鳴が聞こえてくる。
エギルは泣きながらしゃがみ込み耳を塞いだ。
荒れる波、遠くには大きな津波が押し寄せてくる。それは俺達の行く先を阻む壁のよう。
直後、分厚い雲から一本の光が射し込んだ。荒れる海は、嵐の風は、轟く雷鳴は、虹がかかるのと同時に引っ込み始め、恐ろしく静かな海へと戻った。
「た、助かったのか?」
エギルは気づけば気を失っていた。
さほど遠くない海から白い光が現れた。灯台の示す明かりのように、そこに小舟が此方に向かって来る。その小舟には白いローブと杖を持った老人が乗っていた。
「今度はいったい何だ……」
その道を抜けると目の前は崖になっていて、そこから景色が一望出来た。そこからの景色では山ぐらいの大きな盛り土が幾つもある。いくら人間でもこれ程の盛り土をしかも複数どうやったというのか?
アリスは辺りを見回した。近くに下り坂の道を見つけ、そちらに進む。
あの老人は魔法を知っていた。となれば、この世界は地球ではない筈。私の世界か?
下り坂を行くと今度は開けた場所でストーンサークルを見つけた。見た感じ古そうで勿論自然ではなく人為的であろうが、どんな理由かは不明だ。というよりここに来たのも、それからずっと変だ。そこから離れた草と土の大地では呼吸をしているかのように浮き沈みしている。ここの地盤もきっと弱い筈だ。なのに、この場所にストーンサークル? 遠くには大きな湖が見える。綺麗なブルー色だ。そこから巨大な醜い魚が浮かんでは泳ぎ、暫くしてまた沈んだりしている。空を飛んでいる鳥はみな首が長い。その鳥が餌を求め低く湖スレスレを飛ぶと、湖の中から長い赤い下が飛び出し長い首に巻き付くと、水面から巨大な口を開いたバカでかい白い蛙がその鳥を丸呑みして、また水の中へと沈んでいった。
「なんなのここ……」
その湖の端では巨大な錆びて朽ちた鉄の船が陸に乗り上げている。
アリスは魔法のコンパスを取り出した。コンパスなら現在地を示している筈だ。だが、そのコンパスが示す場所は地球になっていた。
「地球とは不思議な世界だな……」
まだ、知らない場所があったとは。
となると、あの老人は私のように魔法のコンパスで此方の世界に来た異世界人なのだろうか? もし、魔法消失前だとしたら、あの老人はもう自分の世界に戻れないことを意味する。
アリスの魔法のコンパスは既にチャージが出来ていて、いつでも使用可能状態になっている。
自分のミスですっかりヤマトをあの状況で置き去りにしてしまった。あの後、ヤマトはうまくやっているだろうか。早くコンパスで自分の世界に戻るべきだろうが、今目の前にあるこの場所がどうも気になってしまう。特に、よく分からない四人組にあった直後に飛ばされた場所だ。あの四人組が魔法のコンパスの行く先を変えられるなら、この場所に飛ばされたことにも何か意味がある気がしてならない。
もう少しだけ使うのを待って探索しようと思う。
湖から更に離れた先に見えるのは立派な陸橋だ。石造りで、それはまるでこの場所を囲っているように見える。この場所の裏側は分からないが、そう考えてもおかしくはない。その陸橋の先は深い霧に覆われよく見えない。
反対側も見てみるか…… 。
その頃、ヤマトは吐く息を白くしていた。船の窓には結露が出来ており、明らかに先程より気温が低くなっている。まるで真冬のようで、それなのに俺達は夏のような格好の上にそれは濡れていた。
「どうなってやがる……明らかに今日の天気はおかしいぞ。まるで、世界の終わりの前兆みたいじゃないか」
船の上では陸から追いかけるようにカラスが飛んで回っている。この嵐みたいな天気でだ。突風に吹かれ海に落ちていくカラスもいるというのに。それは分かっている……あれも死人の影響だ。
空は雷が複数連続で鳴り続けている。その下の荒れる遠くの海で渦が発生し、それは他の場所にも、またそこにも……そうやってどんどん増えていく。その渦の中心から不気味な人の悲鳴が聞こえてくる。
エギルは泣きながらしゃがみ込み耳を塞いだ。
荒れる波、遠くには大きな津波が押し寄せてくる。それは俺達の行く先を阻む壁のよう。
直後、分厚い雲から一本の光が射し込んだ。荒れる海は、嵐の風は、轟く雷鳴は、虹がかかるのと同時に引っ込み始め、恐ろしく静かな海へと戻った。
「た、助かったのか?」
エギルは気づけば気を失っていた。
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