赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

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 休み時間になると、次の授業の準備もせずに三つ子はニヤニヤしながら私の机にやって、両手をついた。
「えっと……どこから話せばいいですか」
 3人は声を揃えて「勿論、最初から」と言った。
「最初からね……」
 私は昨日の話し、下校辺りから話を始めた。一人で下校中、宙に浮いていた赤いリボンを見つけ、なんだろうと思っていると、まるで意思を持ったかのような動きで寺の方へ向かい、私はそれを追いかけて行くと、寺の裏側にある墓地に来て、直後、夜になっていた。そして、私がいっこうに帰宅しないことに心配した母親が通報し、近くの交番の警官が捜索しているところを発見された。それから交番にあれやこれやと聞かれても、私の話しは大人達には当然直ぐには信用できず、しかし、墓地で夜になるまでいたことから、肝試しで墓地にいたのではないかと疑われたが、懐中電灯もなにも持たず、帰宅もせずにずっと墓地にいたのもまた不気味な話しで、結局、あとは両親と警官との大人同士の話しをして、私は解放された。
 一番よく分かっていないのは私自身なのに、家に戻っても両親からはあれやこれやとまた質問され続けた。最初は怒られるのかと思ったが、実際は凄く心配していたようで、転校もあって学校では本当はうまくいっていないんじゃないかと逆に思われてしまった。勿論、そんなことはないと説明したが、今日家に帰った後でも話し合うことが既に決まっていた。と、個人的な話しが後半多くなってしまったが、おそらく3人が興味あったのは私が何故真夜中に墓地にいたのかということだろう。うん、彼女達はオカルトが好きなのだ。
「あなたが転校してくれて本当に良かった。退屈が退屈じゃなくなった」
「あれは何だったの? 昨日話してくれた七不思議と関係するんじゃない?」
 すると、裕子はいきなり「あんなの信じてるわけないじゃん」と言い放った。
「あの話を聞いたからあんな不思議体験をしたと思ったのに」
「私の話し信じてくれてたの?」
 嬉しそうにする裕子。
 ああ、この子は天邪鬼だ。昨日と言っていることが違う! あんなに太郎とはバチバチだったのに、なんで今日は全く立場が違うのよ。
「でもね、実際におかしなことがあったわけだからあの場所にはなにかあるんじゃないの?」
「うーん……ただの墓地だよ?」
 お、お前!! 七不思議はどうなった!
「七不思議でなにか分からない? 例えば、その七不思議と呼ばれている理由とか」
「こいつに聞いてもダメだぞ」
 太郎がそう言って、話しに入ってきた。
「こいついい加減だからさ」
「なによ、いい加減って」
「とにかく墓地の話しだろ。あの墓地はさ、古くからあるんだ。でも、大戦中に一度空襲で大破したんだ。戦時中はこの町には工場が幾つもあったからな。それで狙われたんだ。もう一度墓地はたてられたんだが、不思議な現象が起こってな、あの墓の墓参りに来た一人が突然暗闇になって夜になってしまったって言う話しがあるんだ。それで、その近くに寺が建てられ、それ以降はなにもおかしなことが起きなくなったっていうのがその七不思議の一つ目の話しさ。その墓地来たる者、未来へ飛ばされる。未来というのは昼間が夜になることだな。でも、さっきも言ったけど、そんなことはずっとなかったんだ。お前が初めてになるんじゃないのか」
「私、お祓いしてもらった方がいいかな?」
「うちのじいちゃんが言うには、あの墓地に悪い霊はいないってよ」
 悪い霊という言い方に気になった裕子は太郎に聞く。
「それって、霊はいるってこと?」
「じいちゃんは霊感があるんだ。一度だけ弱いけど感じたことがあるんだって。でも、それは墓地とは関係ないらしい。寺の近くで弱い霊が彷徨っていたんだそうだ。じいちゃん曰く、その霊は成仏させてもらおうと寺にやって来たんじゃないかって。でも、成仏させようとしたけど、その前にどこかに消えてしまったんだと。お前が見たのはそれかもな」
「へぇ……害がないならいいけど」
「だが、お前気をつけた方がいいぞ。じいちゃんは霊を感じるだけで、ハッキリ見れるわけじゃないんだ。中には見れる人もいるらしいが、同業者でそのような人はじいちゃんでもまだ出会ったことはないんだ。でも、いる。もし、あんたがハッキリ見えたなら、霊の方も気づく筈だよ。あ、こいつ見えてるなって。もし、それが悪霊だったらまずいことになっていた」
「え、どうすればいいの?」
「目を合わせないように、とにかく見ないようにしろ。見ると、引き寄せちまうぞ」
「そんなこと言われても。なんとかしてよ」
「そういうのはなんとかなるもんじゃない。とにかく、俺が言ったことを守るしかねぇ」
 今まで、霊なんて見たことがないのになんで…… 。
「ああ、それとこれはじいちゃんからお前に警告だが、この町は空襲があったり、他にも色々あるんだとか。だから、お前にとってはこの町はちょっと危ないかもって」
「そんな!?」
「とにかく町の中心や港にはあまり近づくなよ」
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