赤いリボンに包まれた七不思議

アズ

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 中学一年生の体育の最初の授業、集団行動をやらされたのを思い出した。指示された通りに皆は乱すことなく同じ動きをする。それを見てある人はまるで軍隊みたいだと言った。そういう見方もあるのかと、やっているうちはそういうのには気づかなかったものだが、あれが何の意味があったのかは謎だ。
 丁度1学期の一年生は体育館でその集団行動をやっているだろう。
 私はあれが嫌いだった。まるで、ロボットのように操られているみたいで。
 なんでそんなことを思い出したかというと、たまたまテレビで流れた番組でとある大学の集団行動の紹介をしていたからだ。しかし、これを見せられると確かに集団行動のかっこよさはハッキリ伝わってくる。それに比べて中学生のあれはこれに劣る。こんなかっこいいものではなかった。結局、私達のやってきたことは単なる触り程度で勉強と呼べる程本格的だったのか。それとも、中学生だからあの程度のレベルで許されたのか。
 バレーにしてもバスケにしてもサッカーにしても、ちょっと練習して、はい試合。それを一ヶ月以上やる。それが体育だった。しかし、バスケの部活動の練習メニューを考えてみたら、部活動の厳しさというものはあの授業の中にあっただろうか。
 体育の授業とは?
 正直、大人になれば出来た技も意味がなくなるだろう。ただ、子供の体力が大人達は心配なのだろうか。
 そう言えば、明日から女子の体育は平均台らしい。平均台か……バランス感覚とかあまり自信ないんだよな。



◇◆◇◆◇



「なに、この木……超斜めってるんだけど」
 傾いた木は、しかし倒れずにたっていた。
 その木は時期になれば柿ができるらしい。知り合いというわけではないというか全く知り合いじゃない人の庭にあるその木を私とあの三つ子は一緒に休みの日に見に来ていた。
 その三つ子も私も実は学校は休みであったが、部活動で結局学校に来ていて、半日で終わった帰りに寄ってみたというのが今の状況になる。と言っても分からないか。
 ようは、三つ子に私が昨日残りの七不思議について聞いたら、今日この場所に何故か案内されたというわけだ。うん、まだ今の私も分かっていない。
「あの……それでこの木が何か?」
「だ・か・ら、これが七不思議」
「えっと……」
 お互い部活で体操着姿で、制服ではないが体操着にも名札があるのだが、フルネームでなくて上の名前のみ。だから……誰だか分からん。
 とにかく話を合わせるか。
「つまり、あの木は斜めっていて倒れそうなんだけど倒れない、それが七不思議の一つ?」
「違う! 猿も木から落ちるって聞いたことあるでしょ? その木と言われているの」
「もしくは、さるかに合戦のモデルの木と言われている」
「え!? 本当?」
「え? 知らないよ、そんなの。そういう噂」
「でも、なにか原因もなければ噂にはならないでしょ?」
 あの墓地のように…… 。
「あの木は斜めっているから猿も油断したら落ちるとか?」
「と言うか、単なる噂なんだから真実かどうか知りようがないんじゃない? そもそも、人の家の庭にそんな昔話のモデルとかことわざのモデルがあると思う? それこそ有名になって全国の観光地になってるよ」
「それもそうね……」
「一様聞かれたから案内しただけだからね。私、本当にあの話をしたの正直本気じゃなかったんだからね」
 勿論、墓地が本当だったとは言え、全ての七不思議が本当とは限らない。
 でも、妙だ。噂事態は面白いが、本当かどうかは別として、二つの説には共通して猿が登場している。
「この木、猿と関係しているの?」
「そこまでは分からないわ」
「あの……この家の人に聞いてみるとか言わないでよね」
「え、どうして? あ、いや、別にするつもりはないからね」
「うん、変な噂で家の主人怒らせた人がいたらしいから。多分、何回かあってそれで流石にキレたんだと思う」
 なんとなく家の主人の気持ちが分かった気がした。
「でも、そんな話しなら害はなさそうね」
 そう言ってからもう一度木を見ると、木の枝に赤いリボンが巻き付いていた。
「え、嘘……」
「どうしたの?」
「あれ、見て。私が見たあのリボン」
「リボン? そんなのどこにも見当たらないよ?」
「え?」
 しかし、私にはハッキリ見えている。しかし、3人には見えていなかった。嘘をついてる様子も、驚かせようとしている感じでもないと思うけど…… 。となるとあのリボンは私にしか見えていないんだ!
 すると、背後から突然「またその木かい」とお婆さんの声がした。
 四人はビックリして後ろを振り向く。
「その木は単なる柿の木さね」
 腰の曲がったおばあちゃんだった。
「えっと……」
 私が困惑していると老女は「そこは私の家さね」と言った。
「す、すいませんでしたぁ!!」
「別に構わんよ。この木を噂する人なんて随分久しぶりだからねぇ」
「え、そうなんですか?」
「ああ。まさか今の子供でも噂はするもんだねぇ。もうとっくに途切れて忘れられたもんかと思ったよ」
「あの、それじゃあなんでそんな変な噂が広まったんでしょう」
「それをワシに聞くのかい?」
「あ! いえ、そうでした……」
「どうしてかは私にも分からん。だが、この木の根はしっかりと地面にはってあるんだ。つまり、おかしいのは斜めに傾いて育ったこの木なんだ。おそらく、この木はひねくれてるんだろうね」
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