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中間テストが終わると、皆の緊張感が解けたのが雰囲気だけで分かる。実際、大きな違いがあったわけではない。ただ、休み時間の私語が増えたなってぐらいだ。それと、試験の一週間前は部活動は休みとなる。その部活動の再開もあるだろう。
さて、中間テストが終わればあとは結果を待つだけだが、三年生の始めから転校したおかげで授業は皆と同じ内容で困ることはなかった。自分としてはよく出来たと思う。むしろ、三年生の1学期の中間テストで躓く方が進路において危うい。
とりあえず、進路は自分の成績を見て学校を決めることにした。先生もそれで納得してくれた。先生としても、私がどこまで出来るか知りたかっただろうし。勿論、私の過去の成績は先生には伝わっている。
まぁ、高校の進学にそう悩むこともないでしょう。自分が行けそうなレベルの高校を受験するぐらい。高い目標が私にあるわけではなかった。
それでも、地元のそこそこ偏差値のある公立高校を目指したいとは思ってはいるけど。
因みに、東京とか場所によっては私立を選ぶみたいだけど、この若干田舎みたいな町では、大抵公立を選択した。国立もないわけではないが、私には向いていない。というより行けない。
クラスには国立の高校を目指そうとしている男子が一人いた。眼中にないけど。
そう言えば、女子は国立目指す子の話しを聞いたことがない。
三年生ということもあってか、たまに進路の話題が出たりする。私も三つ子には進路について聞かれたこともあった。皆、他の子の進路先が気になるらしい。私は、まだクラスに完全には馴染めていないのでさほど皆程に興味が持てないだけだ。
この学校の特色を考えてみると、三つ子が言っていた通りヤンキーはいなかった。かと言って皆ガリ勉かと言えばそうでもない。普通だ。中には勉強が苦手な生徒もいた。虐めも特に聞かないし、平和的である。
先生と生徒の距離も近くもなく、遠くもなく。
悪くないんじゃないかな。
先生も決して悪くはない。ただ、校則はうるさいけれど。髪型や靴下まで指定。まぁ、それはどこもそうだろう。そういうのから解放されるのは大人になってからだ。大人になるまでは我慢してとっておく。
どちらにせよ、中学生におしゃれするお金なんてないのだから。
私の家はお小遣い制ではなかった。他の子は何人かはお小遣いを貰っているようだが、そこまで大きな額でもない。私の場合、必要なものは両親に言って買ってもらうしかなかった。
◇◆◇◆◇
昼休み、三つ子は私を音楽室へ呼び出した。音楽室と言ってもいつもとは別の音楽室だ。それを聞くと、ん? となりそうだが、この学校は何故か音楽室が二つあった。
私のいた学校に音楽室は二つあったか考えてみたが、やはり一つだった気がする。しかし、三つ子の話しでは小学校の時も音楽室は二つあったと言う。まぁ、そういうものか。
因みに、音楽の先生がこの学校に二人以上もいるわけではない。一人だ。だから、音楽室はやはり一箇所で足りるのだ。いつも使う音楽室は昼休みは吹奏楽部が練習に使用していた。この学校の特徴の話しの続きだが、この学校は吹奏楽部が強かった。県大会にもいっている。常連校だ。運動部はあまり強い部活動はないらしいが、三つ子は今年が最後ということもあってか、今年こそは勝ち進みたいと意気込んでいた。とは言え、今日の昼休みは他の部活動が練習に使用されていた。
体育館はローテーションで曜日で使用している。正直、卓球部は体育館じゃない別のところでやれよと三つ子が愚痴をこぼしたのにはなんだか分からくもなかった。とは言え、卓球部にも言い分はあるだろうけど。
約束通り音楽室に来ると、三つ子は既にいた。音楽室の扉は開いており、普段から鍵はかけられていない。いつも音楽の授業で使用しているここより小綺麗な音楽室の方は鍵の戸締まりを徹底としていた。
この教室には机も椅子もなく、あるのはピアノと肖像画しかない。そう言えば、小綺麗な音楽室には肖像画はなかった。
「この場所がどうしたの?」
三つ子の裕子が答える。
「この音楽室は旧音楽室と言われているの」
「まさか出るの?」
「何を?」
「え? 幽霊とか……」
「出ない出ない……知らないけど」
どっち!?
「まぁ、ここに呼んだのはその話しじゃなくて、この窓から外を見て欲しいの」
「外を?」
私はとりあえず言われた通りに外を見た。
そこには住宅が何軒も見える。音楽室は2階にあり、学校は更に住宅地より高台になる為、より広く見れる。
すると、裕子は私のそばに立った。
「あれ」
指を差したその先には煙突がある。住宅地にぽつんとだけ一つあるそれは見た感じ銭湯の煙突のようだ。
「煙突?」
私は聞いた。
「そう。あれが七不思議のもう一つ」
「あれが? どう七不思議なの?」
「あの煙突のある方向に向かって歩くと、たまにその煙突のある銭湯に辿り着けなくなることがある」
「なにそれ。単に方向音痴ってだけじゃない?」
「聞いた話しだから。でも、方向音痴じゃなくて本当にマジで行けなくなる不思議体験をした人が何人もいるんだって。行ったことある人が突然迷子になるんだよ。それっておかしいでしょ?」
「まぁ……それって突然起きるの?」
「そう。ルールがあるのか分からないけど、学校から行くと迷子になったって話しだよ。でも、銭湯がなくなったわけじゃないから、他の人は佳代子みたいに信じないってわけ」
地味な感じはするが、墓地のように皆が必ず体験するわけじゃないんだ。
さて、中間テストが終わればあとは結果を待つだけだが、三年生の始めから転校したおかげで授業は皆と同じ内容で困ることはなかった。自分としてはよく出来たと思う。むしろ、三年生の1学期の中間テストで躓く方が進路において危うい。
とりあえず、進路は自分の成績を見て学校を決めることにした。先生もそれで納得してくれた。先生としても、私がどこまで出来るか知りたかっただろうし。勿論、私の過去の成績は先生には伝わっている。
まぁ、高校の進学にそう悩むこともないでしょう。自分が行けそうなレベルの高校を受験するぐらい。高い目標が私にあるわけではなかった。
それでも、地元のそこそこ偏差値のある公立高校を目指したいとは思ってはいるけど。
因みに、東京とか場所によっては私立を選ぶみたいだけど、この若干田舎みたいな町では、大抵公立を選択した。国立もないわけではないが、私には向いていない。というより行けない。
クラスには国立の高校を目指そうとしている男子が一人いた。眼中にないけど。
そう言えば、女子は国立目指す子の話しを聞いたことがない。
三年生ということもあってか、たまに進路の話題が出たりする。私も三つ子には進路について聞かれたこともあった。皆、他の子の進路先が気になるらしい。私は、まだクラスに完全には馴染めていないのでさほど皆程に興味が持てないだけだ。
この学校の特色を考えてみると、三つ子が言っていた通りヤンキーはいなかった。かと言って皆ガリ勉かと言えばそうでもない。普通だ。中には勉強が苦手な生徒もいた。虐めも特に聞かないし、平和的である。
先生と生徒の距離も近くもなく、遠くもなく。
悪くないんじゃないかな。
先生も決して悪くはない。ただ、校則はうるさいけれど。髪型や靴下まで指定。まぁ、それはどこもそうだろう。そういうのから解放されるのは大人になってからだ。大人になるまでは我慢してとっておく。
どちらにせよ、中学生におしゃれするお金なんてないのだから。
私の家はお小遣い制ではなかった。他の子は何人かはお小遣いを貰っているようだが、そこまで大きな額でもない。私の場合、必要なものは両親に言って買ってもらうしかなかった。
◇◆◇◆◇
昼休み、三つ子は私を音楽室へ呼び出した。音楽室と言ってもいつもとは別の音楽室だ。それを聞くと、ん? となりそうだが、この学校は何故か音楽室が二つあった。
私のいた学校に音楽室は二つあったか考えてみたが、やはり一つだった気がする。しかし、三つ子の話しでは小学校の時も音楽室は二つあったと言う。まぁ、そういうものか。
因みに、音楽の先生がこの学校に二人以上もいるわけではない。一人だ。だから、音楽室はやはり一箇所で足りるのだ。いつも使う音楽室は昼休みは吹奏楽部が練習に使用していた。この学校の特徴の話しの続きだが、この学校は吹奏楽部が強かった。県大会にもいっている。常連校だ。運動部はあまり強い部活動はないらしいが、三つ子は今年が最後ということもあってか、今年こそは勝ち進みたいと意気込んでいた。とは言え、今日の昼休みは他の部活動が練習に使用されていた。
体育館はローテーションで曜日で使用している。正直、卓球部は体育館じゃない別のところでやれよと三つ子が愚痴をこぼしたのにはなんだか分からくもなかった。とは言え、卓球部にも言い分はあるだろうけど。
約束通り音楽室に来ると、三つ子は既にいた。音楽室の扉は開いており、普段から鍵はかけられていない。いつも音楽の授業で使用しているここより小綺麗な音楽室の方は鍵の戸締まりを徹底としていた。
この教室には机も椅子もなく、あるのはピアノと肖像画しかない。そう言えば、小綺麗な音楽室には肖像画はなかった。
「この場所がどうしたの?」
三つ子の裕子が答える。
「この音楽室は旧音楽室と言われているの」
「まさか出るの?」
「何を?」
「え? 幽霊とか……」
「出ない出ない……知らないけど」
どっち!?
「まぁ、ここに呼んだのはその話しじゃなくて、この窓から外を見て欲しいの」
「外を?」
私はとりあえず言われた通りに外を見た。
そこには住宅が何軒も見える。音楽室は2階にあり、学校は更に住宅地より高台になる為、より広く見れる。
すると、裕子は私のそばに立った。
「あれ」
指を差したその先には煙突がある。住宅地にぽつんとだけ一つあるそれは見た感じ銭湯の煙突のようだ。
「煙突?」
私は聞いた。
「そう。あれが七不思議のもう一つ」
「あれが? どう七不思議なの?」
「あの煙突のある方向に向かって歩くと、たまにその煙突のある銭湯に辿り着けなくなることがある」
「なにそれ。単に方向音痴ってだけじゃない?」
「聞いた話しだから。でも、方向音痴じゃなくて本当にマジで行けなくなる不思議体験をした人が何人もいるんだって。行ったことある人が突然迷子になるんだよ。それっておかしいでしょ?」
「まぁ……それって突然起きるの?」
「そう。ルールがあるのか分からないけど、学校から行くと迷子になったって話しだよ。でも、銭湯がなくなったわけじゃないから、他の人は佳代子みたいに信じないってわけ」
地味な感じはするが、墓地のように皆が必ず体験するわけじゃないんだ。
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