始まりの順序

春廼舎 明

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その後3

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 翠が俺の部屋に来てから数ヶ月。週に一、二度くらい自宅に戻っているようだ。そのペースも落ちて来ている。本当に引っ越して来てしまえばいいのに。

「引っ越しておいでよ。」
「まだ、荷物とか整理が面倒…」
「手伝ってやるよ、それくらい」
「…見られたくないものもあるし…」
「レディコミとかアダルトグッズとか?」
「…!」

 真っ赤になってブンブン顔を振る。その必死さが真実味を帯びさせる。

「バイブって、不眠症の女性の治療のために開発されたって知ってます?」
「…え、そうなの? って豆知識持っちゃってるってことは興味はあるんだ?」
「……一時期本気で悩みましたから。」
「迷ったんだ…」
「仮に持ってても真っ先に処分しますよ。」
「持ってたの?」
「そもそも気持ち良くなれることを知らない体で、それ使って眠りにつける様になるとは思えません。」
「コミックス見て想像してた?」

 真っ赤な顔のままプイとそっぽを向かれた。
 顔を見ないよう、後ろからそっと抱きしめてあげる。

「ごめんごめん。最近ご無沙汰してたから。」
「だって、竜一さん帰ってくるの遅いじゃない。」
「ごめん、冬場はイベントごとが多くて忙しくて。寂しかった?」

 コクリとうなずく。手首の辺りの服を掴むと、ぽてりと頭を俺の肩にもたせかける。さらりと髪が流れ、白い首筋が露わになる。立ち昇る色香にクラクラする。彼女の体に回した腕に、僅かに力を入れ白い肌に唇を寄せる。

「…ふふふ、くすぐったい」
「翠、明日の予定は?」
「特には…」
「じゃあ、いい?」

 コクリとうなずき、モゾモゾと体を反転し胸に埋まる。そっと抱きしめ、髪を梳くように頭を撫でる。
 翠は天性の甘え上手だと思う。スキンシップの取り方が、いちいち絶妙にツボだ。人混みに流されそうになると、ツンツンと袖を引っ張り、指を絡めて手を繋ぐ。エレベーターや電車、狭いところでは、さり気なく腕に絡まるように寄り添う。それほど混雑していないときは、横に並ぶ程度でちゃんと場をわきまえる。話が途切れ、ふと顔を覗き込むと俺を見上げ、にこっと笑い体をくっつけて来る。二人きりになれば、ぴったりくっついてうとうとしだすかキスをせがむ。それでのんびり過ごすこともあれば、そこから始める時もある。今日は、たっぷり可愛がる予定だ。
 啄ばむようなキスから、角度を変え何度も口付ける。次第に深くなる口付けに、翠はうっとりした表情になる。頬を撫で、首筋に指がそう。柔らかな胸を包み、そっと押さえるように持ち上げ揉み込む。
 ゆっくりその重さと柔らかさを堪能する。彼女は素のボリュームがあるからパッドや、カップに厚みのある下着を着けない。パッド入りブラ特有のもさもさゴワゴワした感触がなく、服の上からでもふんわり柔らかい。それでもやっぱり直に触りたくなり、もう片手を背中に回し、服の上からホックを外す。重ね着しているのか外しにくい。

「あ、それ服が伸びるからヤ…」
「ごめん」

 お小言のポイントはそこか、翠らしいと思いながら裾に手を入れ、1枚ずつ服を脱がす。肌触りのいいセーター、コットンの長袖Tシャツ、腹巻、発熱素材のアンダーシャツ・・・・・・

「意外と重ね着してるね…」
「だって、竜一さんと適温が違うんだもん。」

 全部脱がせてしまうと、寒がるかと思い、上を脱がせたところでベッドへ連れて行く。
 俺が自分の服を脱いでいると、彼女は布団をかぶったままごそごそとスカートと残りの下着を脱ぎ、ベッドの横に置いた。

「あ、俺が脱がせようとしたのに…」
「え~、上だけ下着、しかも脱げかけって、なんか間抜けで嫌です……」
「それがエロくていいのに…」
「どこがですか? ツボがわかりません…ひゃ…」

 彼女の横に潜り込もうと、上掛けを剥いだら寒かったのか可愛い悲鳴を上げる。横を向いて、彼女を抱き寄せる。サラサラと滑りの良い肌、柔らかな身体、ほんのり甘い香りの髪。口付けながら全てが欲しくなる。
 膝を割り込ませれば素直に応じ、潤んだそこを確かめさせる。蜜を絡めとり、外の敏感な粒に塗り付け、そっと撫で愛撫する。

「んっ…ふっ……んん」
「翠のここ、ほんと敏感だね。」
「っ…そんな…こと、言わなくても…んんッ!」

 声を漏らしながら、何かを逃すように体を逸らす。その仕草が色っぽくてさらに指先で弄り続ければ、翠の全身にぎゅっと力が入り、ふっと、息を吐いて軽く達したようだ。ビクビクと腰を跳ねさせている。

「翠、可愛い。久しぶりだから、体が待ちきれないの?」
「…あっ…ああっ……りゅ、いち、さん…あっ!…ああ!」

 達した後も変わらず攻め続ける。彼女が首に抱きついて、額を俺の肩に押し当て嬌声を上げる。耳元でそんな声を上げられて、興奮しないわけない。ますます彼女への愛撫を激しくする。
 あまりに激しく呼吸を荒げ、イヤイヤと顔をふるので、一息入れてやる。真っ赤な顔ではぁはぁと肩を上下させ、涙目で見つめられたら堪らない。そのままゴロリと彼女を仰向けに寝かせ覆い被さる。足を割り開き、腰の動きだけで入り口を探し当てがう。もう位置も角度も覚えきっているのに、トロトロにとろけ、ヌルヌル滑るそこになかなかたどり着けない。それが、彼女への焦らしになり涙目で訴えてくる。

「竜一さん……」
「ん? 翠、その顔、たまんない…」
「りゅ…んっあ!」
「あー、翠のナカ、すげぇいい…」

 ようやくたどり着いたそこに、ゆっくりと腰を進めると、ざわざわとナカが蠢いて吸い付いてくる。脈打つように締め付けてくる。

「あっあっ…あっ…ああああっ」
「翠、挿れただけで、そんな声あげて」

 彼女もこうしたかったんだと思うと、たまらなく愛おしい。ゆっくり腰を揺らす。
 クチュリ、クチュリと泥濘む音に、甘い吐息が漏れる。

「翠、愛してる…」

 彼女が毎日ピルを飲んでいるのは知っている。飲み忘れてくれたらいいのに、と思ったことがないわけじゃ無い。でも、彼女は望んでいないというのを知っていたから、いつもゴムはつける。それでも我慢ができなくなり思い切りしたいときはこうして初めに聞いてから直に触れる。ダメと断られる時と、いいと言ってくれる時の差はなんだろう。事後、もしくは翌朝ゆっくりお風呂に入れるかどうからしい。生でするときは中で出す、だから後でかき出してよく洗わないとペーハーのバランスが崩れ匂いが…と真っ赤な顔で説明された。
 腰を揺らしながら、ふとそんなことを思い出してしまった。
 翠が俺をじっと見てる。

「竜一さん、考え事してる。」

 ぷいっと横を向いて、拗ねられた。

「ごめ…」

 首に抱きついたかと思うと、ぐいっと体を起こした。対面座位の形になり、顔を覗き込まれる。あぐらをかき、深く刺さりすぎないよう彼女のお尻を後ろに少しずらしてやる。

「ごめん。翠のこと考えてたんだよ。」
「どんなこと?」
「生でいいときとダメなときの違い…」
「…前、話した。」
「俺は気にしないけど」
「私が気になる」
「うん。でも、翠好きだろ?」

 コテっと肩におでこを寄せ、こくりと頷く。
 相変わらず、こういうことは恥ずかしがって口にしてくれない。お返しに耳元で囁いてやる。

「今日は、いっぱいしよう?」

 うなじがかぁあっと紅潮するのが見える。腰を引き寄せ、下から優しく揺すぶってやる。
 クチュクチュとやらしい音と共に、熱い蜜が滴ってくるのが感じられた。甘い声に、ますますキツくなる締め付けに耐えきれず、彼女を押し倒し激しく中を突き上げる。彼女が達しさらに快感が増す。彼女の甘い悲鳴が上がる。それを合図に、俺も遠慮なく腰を振る。
 ヤッてる時の音としか言いようのない一定のリズムで、ギシギシとベッドが軋む音が響き、興奮する。抜き挿しするたびグジュグジュと繋がったところからさっきより水気を増した音が響く。掻き出されて溢れて、蜜がシーツに大きなシミを作ってる。豊かな乳房が激しく揺れる。絶景だ。彼女を貫き揺すぶる、突くたび彼女がエロい声をあげ感じてくれている。ゾクゾクする。
 全身白いはずの肌が薔薇色に染まり美しい、いつまでも見ていたいが俺もイキそうだ。彼女が絶頂に達した証に俺の射精を促すようなうごめきにそんないつまでも耐えられない。最奥に狙いを定めて切っ尖を打ち込み、肌を打ち合わせる音を響かせながら無心に腰を振りスパートをかける。体を弛緩させ俺にされるがまま突かれて惚けていた彼女が甲高い声を上げ体を痙攣させる。熱を放つ。腰を打ち付けて出し切り、彼女が放心し、痙攣が治りゆっくり目を閉じるのを見届ける。

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