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その後2
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人垣の後ろから、ぼんやりと全体像を眺める。人が切れた瞬間にスッと近寄り丹念に眺める。
ふう、と息を吐いて展示の横にある解説を読み、またじっくりと展示物を見つめる。たっぷり時間をかけ眺めた後、じゃあ次、と俺の肘を軽く引き顔を見上げる。
朝っぱらからじりじりと焼き付ける日の光に、照り返し。出かける前に丹念に日焼け止めを塗り、サングラスに日傘と完全防備。日焼け対策の長袖で熱中症にならないか不安になるが、焼きつくような日から肌を守るならシースルーから透ける白い肌はむしろ涼しげだった。白いフレンチスリーブのブラウスに、レースの薄い長袖羽織物。大柄な花が描かれた濃いめのブルー地に透け感のある白い生地の重なったロングスカート。コルクとジュートのオープントゥのパンプスから、肌の白さを際立たせる深いローズピンクに染めた爪がのぞく。落ち着いた大人っぽい装いのはずだけど、どこか品の良さげなお嬢様に見えた。
「お嬢様、お手をどうぞ。」
わざとフザケて言うと、ぷっと笑った後、でも困ったように返された。
「竜一さん、それ20年前だったらにっこり笑って返せるけど、私のこと、幾つだと思ってるんですか?」
「知ってるよ。」
「ふざけるにしても、痛々しすぎ。目、大丈夫か心配になりますよ?」
そうは言うものの、彼女は一体自分がいくつくらいに見られているのか、わからないのだろうか。いくら身内の贔屓目、惚れたらあばたもえくぼ、とは言うけど、少なくとも年齢相応には見えない。俺と同年代、彼女と同年代の女性はもっと、言っちゃ悪いが衰えている。肌も髪もハリツヤがない。二の腕もだるだるして腰回りもどっしりしている。痩せている人は肌も髪も栄養がいっていないようにカサカサパサパサ、シワのある肌をしている。
翠は、プニプニの腕やお腹を気にしているらしいけど、触り心地もいいし許容範囲だ。肌も、バーであった日は目の下にひどいクマを作っていたけど、それも今では薄れ、きめ細かい白い肌をしている。とてもあの女どもと同じ年齢層には見えない。腫れぼったいといった奥二重の目は、綺麗なアーモンド型をして、くりっとした瞳が彼女の愛らしさを引き立ててる。ハーフアップにした栗色の髪が肩から胸にかけて垂れ、くるりと巻いた毛先がご機嫌さを表してる。
やっぱり、あばたもえくぼなんだろうか……
焼け付くような屋外から、空調の効いた建物の入り口で、翠は傘をたたみ、サングラスを取る。
しっかりと効いているはずの冷房も、盛況な人の熱気で涼しいのだか暑いのだかよくわからない状態だ。はぐれないよう、彼女に手を差し出そうとして、やっぱり今日はこっちだろうと肘を曲げて、つかまりやすいよう脇を開けてみせた。
彼女が肘に手を置き捕まると、俺はぎゅっと彼女の手を挟み込んだ。翠がするりと腕に絡まった。柔らかなものが押し付けられる。
「翠って、こう言うのも慣れてるの?」
「え?」
「手を繋ごうかなって思ったんだけど、こっちにしてみたけど気取りすぎ? …」
「ん~、こう言う場所だと、こっちの方が体が離れなくていいですよ?」
実証するように、腕がVの字に体が離れ、ペースのあっていない二人組が通りすぎる。後ろの人が通せんぼ状態になって、傍から追い抜こうかどうしようかしてるのが目に見えた。
「なるほどな。ゆっくり歩くから、歩きにくかったら言って?」
「はい。……ああ、でも歩む速度が違うと体が離れるのは同じですね。」
何もないところでつまずいて、慌てて彼女を支える。
「……大丈夫? どうやったら何も無い所でつまずくのさ。」
「手提げ袋がスカートに引っかかって…」
「…気が利かなくてごめん。」
日傘の入った袋を反対側に持ち、展示スペースに足を進めた。
彼女の背では、人の後ろからじゃ見えないのではと心配したが、うまいこと人だかりの隙をつき近寄り展示物を眺める。
ふと、彼女が興味深げにたっぷり時間をかけて眺めるものと、あっさり次に行くもの、自分と同じもの、同じタイミングで見ていると言うことに気がついた。もしかして彼女が俺に合わせてるのか、そう思ってこっそり横を見る。俺ももっとじっくり見ていたいものの時は翠も食い入るようにじっと見ている。これはもういいかな、そう思うと肘をクイッと引かれ、隣を見ると俺の顔を見上げて、次行こう、と目が言う。
気が合う、息が合うってこう言うことなのか、そう気がついて無性にドキドキしてきた。解説文章が全然頭に入らない。クイっと翠が腕を引くのでそっと歩き出す。展示物が途切れ、休憩スペースが見えてきたので、ベンチに誘う。
紙コップの自販機で冷茶を買い、翠の元に戻る。冷たい茶を一口飲んで、ホッと息をつき、満足げな翠の顔を眺めた。
途中の休憩スペースで私を座らせ、竜一さんが冷茶を持ってきてくれた。キンと冷えたお茶を口に含み、味わう。給茶機の安いお茶だろうけど、真夏の真昼間出歩き、空調の効いた室内で興奮し、渇いていることを忘れていた私には美味しくて思わずため息をついた。さっきまで見ていた美しいものたち、解説文を読んで当時の世界や人々を思い描く。ポーッとなっていると、隣で空になった紙コップを置く、コンという軽やかな音が聞こえハッと気がつく。
竜一さんがくすくす笑っている。
「熱心に見てたね。連れて来た甲斐がある。」
「はい、ありがとうございます。」
ゆっくりお茶を飲み、斜め後ろでああだこうだ言っているご老人方のお話を聞くとはなしに聞く。すっとぼけた意見にくすりと竜一さんが笑いをこぼす。思わず目を合わせ、またクスッと二人で笑い合う。言葉はないのに、確かに何かが交わされ、通った。なんか良いなと思う。
たっぷり時間をかけて残りの展示を見て、建物を出る前、化粧室に寄り、日焼け止めを塗り直す時間をもらう。待合スペースに戻れば男性ばかりで、ああ、女性の化粧直しを待っているのかと気がつく。私たちもそういうカップルに見えるのかな、ちょっと気恥ずかしく思う。
外は時間をかけて展示を見ていたおかげか、焼け付くような暑さはほんの少しだけ和らいでいた。公園の木立の間をゆっくり散歩し、駅に戻る。木陰が切れる直前で足が重くなる。よく熱せられたアスファルトに逃げ水が見える。日傘をさしてしまうと、彼と手をつないでいられない。どうしようか戸惑う。竜一さんが日傘の入った手提げから私の帽子を取り出した。
ぽすっと頭に乗せられ、髪を手櫛で整えてくれる。
「持って来てたの?」
「どれ着ようか迷ってる時、カバンから出してたの見えた。」
「うん…」
「日傘さしてると、腕、組めないから。」
「うん…」
同じこと考えてたのか、ちょっと嬉しくなる。
ハッと、気がつく。
「どうした?」
「私、展示を見てた時、完全に竜一さんの存在忘れてました。」
「そうか? 袖引っ張ったり、顔見上げて来たりしてたよな?」
「あ、完全にじゃなかったですね、なんていうか、思いっきり構わずに自分のペースで見てました。」
私は人と一緒に行動するのが苦手だ。買い物するなら、心ゆくまで悩んだり何度も店を行ったり来たりして迷う。かと思えば一目惚れで衝動的に購入したりする。映画も自分が面白いと思っていない箇所で笑い声が上がったり、自分しか笑わなかったり、飲み食いしている人がいると気になる。もぞもぞ動く頭が見えたりするとイライラしてしまうので、映画館で映画を見るのは嫌いだ。一人で見ててもハラハラするシーンは見ていられず、一旦止めてしまう。こんなんだから人付き合いが苦手で、妙に気疲れしてしまい一人の方が気楽でいたのに、今日は一緒にいる竜一さんが全く気にならなかった。
竜一さんがくすくす笑う。
「うん、俺も自分のペースで見てた。」
「本当ですか?」
「途中で、ゆっくり見たいもの、そうでないもの、翠と同じペースで見てることに気がついた。」
「え…」
「休憩の時話そうかなって思ったけど、変に意識させるのもと思ったから、今言った。」
「そうでしたか…」
竜一さんがゆっくり笑みを向ける。その甘い表情に、今更ながらドキドキする。この人って、こんな包み込む様に柔らかく優しい表情をする人だったんだ、と発見する。
「少し早いけど、夕飯食ってく?」
「そうですね。遅めの朝ごはんしか食べてませんから、お腹すきました。」
「うーん、せっかくここまで出て来たんだから、洋食屋? 天ぷら? …って気分じゃないな…あ、うなぎ」
「……」
「あれ、苦手だった?」
「いいえ、好きです。」
「じゃなんで?」
「…それ以上精力つけてどうするんですか。」
「あ…そういうつもりじゃなかったんだけど。」
一人じゃまずは食べない、美味しいうな重を食べて帰った。部屋に帰れば、昨夜控えめだったせいか(あれで?)、明日も休みだからか夕食のうなぎのおかげか、やっぱり翌日は昼過ぎまで起きられなかった。
ふう、と息を吐いて展示の横にある解説を読み、またじっくりと展示物を見つめる。たっぷり時間をかけ眺めた後、じゃあ次、と俺の肘を軽く引き顔を見上げる。
朝っぱらからじりじりと焼き付ける日の光に、照り返し。出かける前に丹念に日焼け止めを塗り、サングラスに日傘と完全防備。日焼け対策の長袖で熱中症にならないか不安になるが、焼きつくような日から肌を守るならシースルーから透ける白い肌はむしろ涼しげだった。白いフレンチスリーブのブラウスに、レースの薄い長袖羽織物。大柄な花が描かれた濃いめのブルー地に透け感のある白い生地の重なったロングスカート。コルクとジュートのオープントゥのパンプスから、肌の白さを際立たせる深いローズピンクに染めた爪がのぞく。落ち着いた大人っぽい装いのはずだけど、どこか品の良さげなお嬢様に見えた。
「お嬢様、お手をどうぞ。」
わざとフザケて言うと、ぷっと笑った後、でも困ったように返された。
「竜一さん、それ20年前だったらにっこり笑って返せるけど、私のこと、幾つだと思ってるんですか?」
「知ってるよ。」
「ふざけるにしても、痛々しすぎ。目、大丈夫か心配になりますよ?」
そうは言うものの、彼女は一体自分がいくつくらいに見られているのか、わからないのだろうか。いくら身内の贔屓目、惚れたらあばたもえくぼ、とは言うけど、少なくとも年齢相応には見えない。俺と同年代、彼女と同年代の女性はもっと、言っちゃ悪いが衰えている。肌も髪もハリツヤがない。二の腕もだるだるして腰回りもどっしりしている。痩せている人は肌も髪も栄養がいっていないようにカサカサパサパサ、シワのある肌をしている。
翠は、プニプニの腕やお腹を気にしているらしいけど、触り心地もいいし許容範囲だ。肌も、バーであった日は目の下にひどいクマを作っていたけど、それも今では薄れ、きめ細かい白い肌をしている。とてもあの女どもと同じ年齢層には見えない。腫れぼったいといった奥二重の目は、綺麗なアーモンド型をして、くりっとした瞳が彼女の愛らしさを引き立ててる。ハーフアップにした栗色の髪が肩から胸にかけて垂れ、くるりと巻いた毛先がご機嫌さを表してる。
やっぱり、あばたもえくぼなんだろうか……
焼け付くような屋外から、空調の効いた建物の入り口で、翠は傘をたたみ、サングラスを取る。
しっかりと効いているはずの冷房も、盛況な人の熱気で涼しいのだか暑いのだかよくわからない状態だ。はぐれないよう、彼女に手を差し出そうとして、やっぱり今日はこっちだろうと肘を曲げて、つかまりやすいよう脇を開けてみせた。
彼女が肘に手を置き捕まると、俺はぎゅっと彼女の手を挟み込んだ。翠がするりと腕に絡まった。柔らかなものが押し付けられる。
「翠って、こう言うのも慣れてるの?」
「え?」
「手を繋ごうかなって思ったんだけど、こっちにしてみたけど気取りすぎ? …」
「ん~、こう言う場所だと、こっちの方が体が離れなくていいですよ?」
実証するように、腕がVの字に体が離れ、ペースのあっていない二人組が通りすぎる。後ろの人が通せんぼ状態になって、傍から追い抜こうかどうしようかしてるのが目に見えた。
「なるほどな。ゆっくり歩くから、歩きにくかったら言って?」
「はい。……ああ、でも歩む速度が違うと体が離れるのは同じですね。」
何もないところでつまずいて、慌てて彼女を支える。
「……大丈夫? どうやったら何も無い所でつまずくのさ。」
「手提げ袋がスカートに引っかかって…」
「…気が利かなくてごめん。」
日傘の入った袋を反対側に持ち、展示スペースに足を進めた。
彼女の背では、人の後ろからじゃ見えないのではと心配したが、うまいこと人だかりの隙をつき近寄り展示物を眺める。
ふと、彼女が興味深げにたっぷり時間をかけて眺めるものと、あっさり次に行くもの、自分と同じもの、同じタイミングで見ていると言うことに気がついた。もしかして彼女が俺に合わせてるのか、そう思ってこっそり横を見る。俺ももっとじっくり見ていたいものの時は翠も食い入るようにじっと見ている。これはもういいかな、そう思うと肘をクイッと引かれ、隣を見ると俺の顔を見上げて、次行こう、と目が言う。
気が合う、息が合うってこう言うことなのか、そう気がついて無性にドキドキしてきた。解説文章が全然頭に入らない。クイっと翠が腕を引くのでそっと歩き出す。展示物が途切れ、休憩スペースが見えてきたので、ベンチに誘う。
紙コップの自販機で冷茶を買い、翠の元に戻る。冷たい茶を一口飲んで、ホッと息をつき、満足げな翠の顔を眺めた。
途中の休憩スペースで私を座らせ、竜一さんが冷茶を持ってきてくれた。キンと冷えたお茶を口に含み、味わう。給茶機の安いお茶だろうけど、真夏の真昼間出歩き、空調の効いた室内で興奮し、渇いていることを忘れていた私には美味しくて思わずため息をついた。さっきまで見ていた美しいものたち、解説文を読んで当時の世界や人々を思い描く。ポーッとなっていると、隣で空になった紙コップを置く、コンという軽やかな音が聞こえハッと気がつく。
竜一さんがくすくす笑っている。
「熱心に見てたね。連れて来た甲斐がある。」
「はい、ありがとうございます。」
ゆっくりお茶を飲み、斜め後ろでああだこうだ言っているご老人方のお話を聞くとはなしに聞く。すっとぼけた意見にくすりと竜一さんが笑いをこぼす。思わず目を合わせ、またクスッと二人で笑い合う。言葉はないのに、確かに何かが交わされ、通った。なんか良いなと思う。
たっぷり時間をかけて残りの展示を見て、建物を出る前、化粧室に寄り、日焼け止めを塗り直す時間をもらう。待合スペースに戻れば男性ばかりで、ああ、女性の化粧直しを待っているのかと気がつく。私たちもそういうカップルに見えるのかな、ちょっと気恥ずかしく思う。
外は時間をかけて展示を見ていたおかげか、焼け付くような暑さはほんの少しだけ和らいでいた。公園の木立の間をゆっくり散歩し、駅に戻る。木陰が切れる直前で足が重くなる。よく熱せられたアスファルトに逃げ水が見える。日傘をさしてしまうと、彼と手をつないでいられない。どうしようか戸惑う。竜一さんが日傘の入った手提げから私の帽子を取り出した。
ぽすっと頭に乗せられ、髪を手櫛で整えてくれる。
「持って来てたの?」
「どれ着ようか迷ってる時、カバンから出してたの見えた。」
「うん…」
「日傘さしてると、腕、組めないから。」
「うん…」
同じこと考えてたのか、ちょっと嬉しくなる。
ハッと、気がつく。
「どうした?」
「私、展示を見てた時、完全に竜一さんの存在忘れてました。」
「そうか? 袖引っ張ったり、顔見上げて来たりしてたよな?」
「あ、完全にじゃなかったですね、なんていうか、思いっきり構わずに自分のペースで見てました。」
私は人と一緒に行動するのが苦手だ。買い物するなら、心ゆくまで悩んだり何度も店を行ったり来たりして迷う。かと思えば一目惚れで衝動的に購入したりする。映画も自分が面白いと思っていない箇所で笑い声が上がったり、自分しか笑わなかったり、飲み食いしている人がいると気になる。もぞもぞ動く頭が見えたりするとイライラしてしまうので、映画館で映画を見るのは嫌いだ。一人で見ててもハラハラするシーンは見ていられず、一旦止めてしまう。こんなんだから人付き合いが苦手で、妙に気疲れしてしまい一人の方が気楽でいたのに、今日は一緒にいる竜一さんが全く気にならなかった。
竜一さんがくすくす笑う。
「うん、俺も自分のペースで見てた。」
「本当ですか?」
「途中で、ゆっくり見たいもの、そうでないもの、翠と同じペースで見てることに気がついた。」
「え…」
「休憩の時話そうかなって思ったけど、変に意識させるのもと思ったから、今言った。」
「そうでしたか…」
竜一さんがゆっくり笑みを向ける。その甘い表情に、今更ながらドキドキする。この人って、こんな包み込む様に柔らかく優しい表情をする人だったんだ、と発見する。
「少し早いけど、夕飯食ってく?」
「そうですね。遅めの朝ごはんしか食べてませんから、お腹すきました。」
「うーん、せっかくここまで出て来たんだから、洋食屋? 天ぷら? …って気分じゃないな…あ、うなぎ」
「……」
「あれ、苦手だった?」
「いいえ、好きです。」
「じゃなんで?」
「…それ以上精力つけてどうするんですか。」
「あ…そういうつもりじゃなかったんだけど。」
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