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二つの夜 2
しおりを挟むルティエラの片足を肩に抱えるようにしながら、さらに強く腰をぶつけはじめる。
小刻みに軽く奥を揺らされていた時でさえ涙が出るほどに気持ちがよかったのに、手前まで引き抜かれて最奥を激しく貫かれると、どこか深いところに落ちていくような快感にルティエラはぎゅっとシーツを握った。
「ティエ、気持ちいいな、ティエ。ほら、ここ。好きだろう、ティエ」
「あ、あん、ん……っ、すき、れおさま、だめ……っ、やぁ、ああっ」
最奥の一番気持ちがいい場所を、抉るように突き上げられる。
ばちゅんと、皮膚がぶつかる音がする。休みなく絶え間なく、内壁が擦れて最奥が押し上げられる。
じわじわと新しい愛液が滲み、快楽によってルティエラの最奥に泉のようにあふれた。
その場所を容赦なくいじめられて、ルティエラの足の指の先に緊張が走る。
「ぃ、く、れおさま、いくの、もお、いっちゃう……っ」
「まだ、だめだ。少し我慢しろ、ティエ」
「やだぁ……っ」
「まだ、我慢しろ。俺が許すまで、耐えろ」
「そんな……っ、できな……れおさま、ん、ん……っ」
急に、律動が緩やかになった。
ゆっくり引き抜かれて、じわじわと中に押し付けられる。
焦らされる切ない感覚に再び襲われて、ルティエラは薄く目を開いてレオンハルトを見つめた。
中を味わうように、ゆったりと動かされると、泣きじゃくりたくなる。
「ティエ、気持ちいいな、ティエ。ほら、ここ。撫でられるのが好きだろう」
「あ、あぁ、れおさま、お願い、いきたいの、いきた……っ」
レオンハルトに許しを乞うように、ルティエラは懇願する。
もっと強く突き上げられたいのに、優しく撫でるように最奥に触れられ、円を描くようにぐるりとなぞられると、指先や足先までぞわぞわが広がっていく。
気持ちいいのに、達することができない。
辛いのに、気持ちよくて、もっとして欲しくて、頭の中がもっと、もっとと、その言葉だけでいっぱいになる。
「可愛いな。もっと、してやろうな。君の望み通りに」
「あ、あああっ、ゃ、ああっ、れおさま、嬉し……っ、気持ちい、の、すごい……っ」
体を折りたたむようにされて、がつがつと腰を押し当てられる。
内壁を激しく突き上げられて、欲しいものがすぐに与えられる喜びに、頭が真っ白になるような快楽に、ルティエラははくはくと息をつきながら悲鳴じみた声をあげる。
強く突き上げられるたびに、思考が濁る。
抱きしめられて、愛を囁かれながら意識を飛ばして──それでも揺り動かされて、覚醒をすることを繰り返した。
呼吸が苦しくて、けれど、幸せで。
痛いぐらいに抱きしめられて、「愛している、ずっと、こうしたかった」と囁かれた。
美しい空色の瞳が熱心にルティエラを見つめている。癖のある金の髪が汗で額に張り付いている様が、美しかった。
「っ、レオ、様、ぁ、あ、れおさま……っ」
「ん……?」
「わたし、ごめんなさい……っ、れおさま、同じ、あの時と、同じで……っ」
「あの時とは、どの時だ」
「あの、夜、酔って……わたし、忘れて……でも……っ」
「──思い出したわけではないのだろう。体は覚えているのか、ティエ。誰のものでも同じように感じるのだろうな」
「ごめ、なさ……っ、違うのに、レオ様、ごめんなさい……」
その金の髪が、似ていると思った。口元も、顎の形も、首も。
与えられる快楽が真っ白な記憶の箱を無理やりこじ開けるかのようだったのに──その声が、愛していると囁いたような気がしたのに。
違うの、だろうか。
だからレオンハルトは、こんなにも──心を傾けてくれているのだろうと、思ったのに。
悲しみと罪悪感で、蕩けていた理性が戻ってくるかのようだった。
何度もごめんなさいと繰り返すルティエラの涙を、レオンハルトは拭う。
それから、小さく舌打ちをして、邪魔くさそうに仮面を取り払った。
目元を覆う仮面が床に投げ捨てられて、カランと音を立てる。
「──泣くな。あれほど想いが通じたと感じたのに、朝になったら君はいなかった。その上忘れているという。少しは、意趣返しをしたくなるだろう。だが、もうやめた。すまなかったな」
「……っ」
髪をかきあげながら、レオンハルトは深く息をついた。
その顔は、数日前に同衾をした、ルティエラが男娼だとばかり思っていた男のものだった。
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