リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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遺跡探索と雪解けの春

 濁る意識と、氷の檻 2



 フィオルド様は私の腰を両手で掴んで浮かせると、蜜の滴る入り口に昂りの先端をあてがった。
 先端の膨らみが入って仕舞えば、簡単に最奥まで私の体は質量のあるそれを飲み込んだ。

「ぁ、あああ……っ、あ、は、……は、……あっ、ぁああ……」

 押し込まれた昂りが、私の一番奥に触れる。

 指先までびりびりとした快楽が走って、私は背中をそらせた。
 膝の上から落ちないように、フィオルド様がしっかりと私の体を抱きしめる。

 私もフィオルド様の首に腕を回して、その体にしがみついた。

「リリィ、好きだ、愛している、リリィ」

「ぅん、ん、私も、好き……好き……っ」

「気持ち良いな、リリィ。ずっと、お前の体を貪っていたい。……私たちは、もともと一つ、だったのかもしれないと思うぐらいに、……お前の体の中に私を埋めると、ひどく、満たされる」

「っ、あ、あっ、ひ、あああっ、あう、あっ、あああ……っ」

 昂りが、私の最奥を幾度も突き上げる。
 返事のかわりに、こらえきれない嬌声が、ひっきりなしに唇からこぼれた。

「ふぃお、さま、こえ……っ、きこえちゃ……っ」

「お前の愛らしい声を、私以外に聞かせたりしない。氷牢を、巡らせた。だから、思うままに乱れろ、リリィ」

「っ、ふ、ぁ……っ、ぁあ、ん、……や、ああ……っ」

 ベランダから見える空の境目に、薄い膜のようなものが張っている。

 それは星の光を弾いて、きらきらと輝いている。

 氷牢という、魔法なのだろう。よくわからないけれど、多分。

 安心したら、体の力が抜けた。
 最後まで必死にこびりついていた理性が、蕩ける。

「ふぃお、さま、きもちい、……っ、あ、ああ、きもちいよぉ……っ、すき、すき……っ」

「リリィ……っ」

 切羽詰まった、掠れた声でフィオルド様は私を何度も呼んだ。
 私は揺さぶられるままに快楽に体を染めて、意識を何度か濁らせる。

 両足が面白いぐらいに跳ねて、腰が浮いては、沈み込む。

 ぐちゅぐちゅとはしたない水音が響いて、フィオルド様の艶やかな呼吸音とともに淫らな夜想曲を、幻想的な空間の中で奏でた。

「あ、あふ、……あ、あぁ、いく、もう、いく……っ、ふぃお、さま、いくの……っ」

「あぁ、いけ、リリィ。私も、一緒に」

「ぅん、一緒、が、良い……っ、ふぃおさま、好き……っあ、ああああ……っ!」

 大きく膨らんだ昂りから、お腹の中に熱いほとばしりが溢れた。

 私の体を、フィオルド様の清廉であつい魔力が満たしていく。

 頭の中で、何かが壊れていく感覚がある。

 円形の楔のような戒めに、綻びができて、円が崩れるような、奇妙なものだ。

 泣きじゃくりたくなるほどの解放感と悦楽が私の体を駆け巡る。

 浮遊感に体を委ねたのも束の間、質量と熱を失わない昂りにもう一度下から突き上げられて私は目を見開いた。

「あ、あぅ、ひっ、あああっ、いってる、の、ふぃお、さま、も、こわれちゃ……っ」

「あぁ、壊れて良い。リリィ、もっと、おかしくなって。私は、もう、とっくに壊れている。お前が欲しいと思った時から。愛している、リリィ、リリィ……っ」

「あ、あああ……っ、ゃああ、ああ……っ」

 瞼の裏側が、真っ白に濁る。

 何かを思い出せそうな気がするのに、それが何かがわからずにもどかしい。

 私はフィオルド様に縋りつきながら、泣きじゃくった。
 気持ちよくて、幸せ。本当にこのまま壊れてしまったら、ずっとこの幸せが続くのかもしれない。

 体の全部をフィオルド様に支配される心地良さと快楽に、それから、愛しさに、私は私の全てを、フィオルド様に委ねる。

 幾度目かの絶頂を迎えて、私の意識はふつりと途切れた。

 私をきつく抱きしめたフィオルド様の愛の言葉が、いつまでも頭に響いていた。


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