リリアンナ・セフィールと不機嫌な皇子様

束原ミヤコ

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セフィール家での休暇と想起の夏

 庭園での交わり 2

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 まだゆっくりとしか動いていないのに、脳髄が痺れるぐらいにずっと気持ち良くて、フィオルド様に触れている体が全て性感帯になってしまったかのように、どこに触れても、お腹の底がじんじんした。

「我慢、して、ない……? 私、全部……ふぃおさまの、ものに、なりたい……ふぃおさまも、気持ちよく、なって、くださ……っ」

「十分、良いよ、リリィ……こんな場所で、お前を犯してしまうほど、自制ができないぐらいに」

「あ、あ……っ、あっ、ん、あぁ、……っ、あ、あぅ……」

 ゆるゆると自分をフィオルド様に擦り付けて遊んでいた私を咎めるように、いきなり激しく腰が打ちつけられる。

 私の腰や双丘を掴むようにして、フィオルド様は最奥を穿った。

 がつがつ貫かれるたびに私の体は歓喜に震えて、胎の底がフィオルド様の大きく膨らんだ先端を飲み込むように口付けては、離れていく。

「あ、あ、……っ、ふぃお、さま……っ、きもちい、すき……っ、すき、ぃ……っ」

「私も、リリィを愛している。淫らな、私の可愛いリリィ。……ここが、良い?」

「うん、……っ、あ、あ、そこ、あっ、あ……や、あ、あぁ……っ」

 じゅぶじゅぶとはしたない音を立てながら、蜜壺をかきまわされて、最奥の肉壁を何度も貫かれる。

 お腹の底を押し上げるように貫かれるたびに、浅いところから深いところまで、みっしり埋まったフィオルド様の肉杭と、私の柔らかいひだが擦れる。

 おしひらかれる感触も、一番気持ち良いところを的確に貫かれる感触も、深く沈んでいく快楽で頭が真っ白になるぐらいに気持ち良い。

「あ、あふ、あっ、ふぃおさま、すき、だいすき……っ」

 止まっていた時間が動き出すみたいに、私の世界は艶やかに色づいている。

 私たちを取り囲む、青から紫色へと変わっていく紫陽花のように、静けさの中に、深く激しい情熱が咲き乱れる。

「愛しているよ、リリィ……ずっと、好きだった。お前をはじめて見た、あの時から、ずっと……私の心は、お前だけに全て、捧げた」

「私も、……ふぃおさま、じゃなきゃ、嫌なの……っ、いっ、ぁあ……っ」

 熱に浮かされたような、艶やかな声が、私の鼓膜を舐めるように響く。

 あんな態度をとってしまった私を、好きでいてくださって、嬉しい。

 きっとフィオルド様は、他の誰かが婚約者に選ばれたとしても、今と同じように真摯にその方を愛そうとするのだろう。

 でも、私が、選ばれた。

 それは皇帝陛下のお母様に対する執着から、だったのかもしれないけれど。

 そんなことは今の私たちにとってはどうでもよくて、私はフィオルド様が好き。それだけが、確かなことで。

「ふぃお、さま、……もう、だめ……っ、気持ちいいの……いく、いっちゃ……っ」

「リリィ、私も……」

「ぅん、ん……一緒に、ふぃおさま、一緒が、いい……っ」

 体が軋むぐらいにきつくフィオルド様が私を抱きしめる。
 がつがつと、下から突き上げられて、目の前が白く濁った。

「い……っ、あ、ぁ……あぁああ……っ」

 体の中に熱いものが広がる。
 どくどくと私の中を、濃い魔力の塊が駆け巡っている。
 それは何かを無理やりこじ開けるようにして、私の体に、指先や髪の先まで全てを満たしていく。

「あ、は……ぁ、ああ……っ」

 いつまでも絶頂感がおさまらなくて、フィオルド様の腕の中で私の体は跳ねるようにして震えた。

 庭園の地面至る所から、さまざまな花が茎を伸ばし、大輪の花を咲かせる。

 体から、魔力が溢れ続けている。
 制御できないぐらいに暴虐に暴れ回るそれを鎮めるようにして、フィオルド様が私の背中を優しく撫でた。

「……大丈夫。リリィ、私がいる。お前が何者でも、関係ない。私は、リリィを愛している」

「……っ、は、……ぁ」

 くたりと体の力が抜けた私を、フィオルド様は腕の中にすっぽりと抱きしめた。

 季節外れの雪が、花の咲き乱れる庭園にちらちらと舞い落ちていた。



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